今回は,非行少年を取り上げます。
今まで非行少年をどれだけ取り上げたかわからないくらいに何度も取り上げていますが,それだけ重要だということです。
非行少年に関する過去記事
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/10/blog-post_25.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/04/20200506.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/05/20200507.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html
非行少年
犯罪少年 |
14歳以上で,罪を犯した少年。 |
触法少年 |
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年 |
虞犯少年 |
その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年 |
このように3種類に分けられますが,「犯罪少年」と「触法少年&虞犯少年」と整理したほうが理解しやすいと言えます。
今日の問題にもつながりますが,刑事処分の対象となるのは,犯罪少年のみだからです。
別な言い方をすれば,「触法少年&虞犯少年」は検察官に送致されることはないということです。
検察官に送致されるということは,起訴されて裁判にかけられる可能性があるということです。
それでは今日の問題です。
第28回・問題150 少年保護審判を担当する家庭裁判所と他の機関との連携に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 家庭裁判所は,犯罪少年については,警察官から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
2 家庭裁判所は,触法少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
3 家庭裁判所は,審判を開始する前に,少年鑑別所に命じて,審判に付すべき少年の取調その他の必要な調査を行わせることができる。
4 家庭裁判所は,犯行時14歳以上の少年が犯した犯罪については原則的に検察官に送致しなければならない。
5 家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,保護観察官の観察に付することができる。
この問題が出題された当時,最後の最後に頭を使わせる問題を出題したと感じました。
疲れ切って解くには,かなり酷です。
そういった意味では正解するのが難しいので,正解できなくてもそんなに大きな痛手とはならないでしょう。
しかし,正解できるならできたほうが良いに決まっています。
それでは解説です。
1 家庭裁判所は,犯罪少年については,警察官から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
犯罪少年が検挙されると「全件送致主義」というのが取られ,すべて家庭裁判所に送致されます。
その送致には2種類があります。
犯罪が軽い場合は,警察官から家庭裁判所に直接送致されます。
犯罪が重い場合は,警察官は検察庁に送致して,検察庁によって取り調べを行ったうえで,家庭裁判所に送致されます。
2 家庭裁判所は,触法少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた場合に限り審判に付することができる。
この問題の難易度が高くなった理由は,この選択肢です。
解答テクニック的に言えば,「限り」は「のみ」と同じ意味なので,消去してしまいます。
しかし,この選択肢が正解です。やられた感が強いです。
「虞犯少年&触法少年」は,児童福祉法が優先されます。
そのため,犯罪少年と異なり,家庭裁判所に送致されることは基本的にありません。
都道府県知事又は児童相談所長が保護処分が必要だと考えた場合に限り,家庭裁判所に送致されます。
3 家庭裁判所は,審判を開始する前に,少年鑑別所に命じて,審判に付すべき少年の取調その他の必要な調査を行わせることができる。
必要な調査を行うのは,家庭裁判所調査官です。
4 家庭裁判所は,犯行時14歳以上の少年が犯した犯罪については原則的に検察官に送致しなければならない。
家庭裁判所から検察官に送致することを「逆送致」といいます。
逆送致されるのは,家庭裁判所が刑事処分が妥当だと判断した場合です。
5 家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,保護観察官の観察に付することができる。
家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,家庭裁判所調査官による「試験観察」が行われます。