専門科目は,共通科目に比べると事例問題が多くあるので,点数が取りやすいように思うかもしれません。
確かに知識がなくても解ける問題もあるので,その点では点数が取りやすいというのは正しいと思います。
しかし,苦手科目をカバーするためには,つまらないミスは許されません。
それでは今日の問題です。
第28回・問題128 事例を読んで,市の地域包括支援センターの社会福祉士の初期対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(85歳)は,在宅で認知症の妻Hさん(83歳要介護2)を介護している。Hさんは認知症が進行してきた。最近,Gさんは持病の腰痛が悪化して,日々の介護がつらくなってきた。Hさんは要介護認定を受けているにもかかわらず,介護サービスを利用していない。県外で暮らす一人息子のJさんは,心配になり,自分のところへ引っ越しをして一緒に住むことを勧めるが,Gさんは乗り気ではない。Jさんは,両親の住むP市の地域包括支援センターに相談に行った。
1 Gさんの腰痛の治療を優先するように指示した。
2 Jさん宅に引っ越しするように,Gさんを説得することを約束した。
3 HさんのみJさん宅に引っ越しさせるようにアドバイスをした。
4 Hさんが介護保険サービスを利用していない理由を,Gさんに確認したいと伝えた。
5 Jさんが親元に引っ越しをして両親の介護をするように勧めた。
事例問題で気をつけたいのは,ワーカーの思い込みです。
自己覚知ができていないワーカーはやりがちです。
具体的に言えば,「〇〇が良い」と思うことです。
それはワーカーの価値観です。
この問題で言えば,これです。
5 Jさんが親元に引っ越しをして両親の介護をするように勧めた。
子が親の介護をするものだ,という思い込みです。
正解は,選択肢4です。
4 Hさんが介護保険サービスを利用していない理由を,Gさんに確認したいと伝えた。
Gさんは,日々の介護がつらくなったために,息子のJさんが地域包括支援センターに相談に来ました。
介護保険サービスを使えば,ニーズは充足するかもしれません。
重要なことは,初期対応であることを忘れないことです。
この問題は,それを忘れてもほかに選ぶものがないので,間違える恐れは少ないものの,やはり基本は押さえておきたいです。
さて,初期対応の基本です。
情報収集に努めること
これだけです。
ただ,気をつけたいのは,それはソーシャルワーク系の事例の場合であることです。すべての事例であてはまるものではありません。
あてはまらないのは,虐待が疑われる事例問題の場合です。
児童,高齢者,障害者虐待防止法では,通報(通告)義務があるので,最も優先されるのは,通報(通告)です。
<今日の一言>
国家試験では,合格基準点に数点差で届かないという人はたくさんいます。
勉強不足の人は致し方ないと思いますが,精いっぱい勉強して何度受験しても結果はいつも同じという人は,どこか勉強方法に間違いがあるはずです。
その一つが事例問題の解き方でしょう。
そこに気がつかないと,正解できたりできなかったり,とても不安定となってしまいます。
人はミスをするものですが,自分なりの法則を見つけ出すと,ミスはおそらくゼロに近づけることができます。
今の時点(3月上旬)で,国試の振り返りをしている人はあまりいないように思います。
もし,今年の国試で合格できなくて,次回の国試で合格を目指すなら,問題を解いた時の思考を覚えている今,振り返りをすることで思考のエラーに気づくことができます。
単に知識不足だという認識だけにとどまり,勉強方法を変えることがなければ同じような結果になる恐れがあります。
勉強方法を変えるとは,使う参考書を買えることではありません。
具体的な方法は,個々で考えることが必要です。