今回は,母子保健法について学んでいきたいと思います。
かつての日本は,乳児死亡率が高く,その対策の一つとして成立したのが,母子保健法(1965年)です。
1960年代は,高度経済成長の真っただ中です。
母子福祉法,特別児童扶養手当法,そして母子保健法を次々と成立させ,児童関連の施策が充実していきます。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題140 次の記述のうち,母子保健法に規定されていることとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 母子保健の向上に関する措置は,妊産婦のみを対象として規定している。
2 低体重児の届出について規定している。
3 予防接種の実施について規定している。
4 乳児家庭全戸訪問事業について規定している。
5 母子生活支援施設について規定している。
1 母子保健の向上に関する措置は,妊産婦のみを対象として規定している。
「のみ」は多くの場合,正解になりません。
2 低体重児の届出について規定している。
これが正解です。
2,500グラム未満の乳児が出生した場合,市町村への届け出の義務があります。
これが乳児死亡率の低下のために極めて重要な役割を果たして来ました。
未熟児が把握できるようになり,未熟児の医療費を支給する「養育医療」が実施されます。
母子保健法の「養育医療」し障害者総合支援法の育成医療は混同しやすいので注意が必要です。
育成医療は,障害児に対する医療です。
3 予防接種の実施について規定している。
予防接種は,予防接種法が規定しています。
4 乳児家庭全戸訪問事業について規定している。
これを見て,「あれっ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
第33回国試では,以下のようにされています。
第33回・問題140
5 母子保健法に基づき,乳児家庭全戸訪問事業では,生後8か月に達した乳児の家庭を訪問して,指導を行う。
乳児家庭全戸訪問事業について規定しているのは,児童福祉法です。
5 母子生活支援施設について規定している。
母子生活支援施設について規定しているのも児童福祉法です。
<今日の一言>
今日の問題でわかるように,児童福祉法と母子保健法は,混同させるよう出題されます。
根拠法を意識しないで勉強している人は,間違いやすいので注意が必要です。