2021年3月9日火曜日

介護支援専門員とは

今回は,介護支援専門員(ケアマネジャー)を取り上げたいと思います。


介護支援専門員は介護保険法に規定されていますが,国家資格ではありません。


介護支援専門員実務研修受講試験に合格した後,介護支援専門員実務研修を受講して,都道府県知事の登録を受けることで,介護支援専門員となります。

介護支援専門員は,業務独占でも名称独占でもありませんが,ちょっと変わっているものとして,介護支援専門員証の有効期間は5年間で,更新研修を受けることで更新することがあります。

介護支援専門員でなければ,介護報酬の居宅介護支援費を請求し,受け取ることができないので,介護保険でわざわざ業務独占や名称独占を規定する必要がないのです。


法律を作る人は,無駄のない制度を作るものです。そう思いませんか?


それでは今日の問題です。


第28回・問題134 介護支援専門員に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 介護支援専門員は,名称独占の資格として法定されている。

2 介護支援専門員の登録は,社会福祉士の場合,実務経験の有無を問わず,介護支援専門員実務研修受講試験に合格した者について行われる。

3 介護支援専門員は,居宅サービス計画の作成に当たって,サービス担当者会議を召集しなければならない。

4 介護支援専門員は,利用者の自立した生活を支援する上で,介護給付等対象サービスを中心として居宅サービス計画を作成することが望ましい。

5 介護支援専門員証の有効期間の更新に当たっては,法令に定められた研修を受けなければならない。


介護保険に規定される施設・事業所で働いている人は,「こんな簡単な問題」と思うことでしょう。

そうだと思います。極めて常識的な問題でしょう。


この問題に限らず,国家試験で出題される問題の大半は,知っている人にとっては,ものすごく簡単です。

しかし,制度を知らない人にとっては,とてつもなく難しく感じます。

深く深く勉強した人でなければ解けないという問題はほとんど存在しません。


それでは,解説です。


1 介護支援専門員は,名称独占の資格として法定されている。


前説で述べたように,介護支援専門員は名称独占として法定されていません。


有効期間が過ぎて更新しなかった介護支援専門員は,介護保険給付を受けられないので,名称独占の資格として法定化する意味がないからです。


2 介護支援専門員の登録は,社会福祉士の場合,実務経験の有無を問わず,介護支援専門員実務研修受講試験に合格した者について行われる。


社会福祉士は,児童福祉司や身体障害者福祉司などのように,実務経験がなくても任用されるものもあります。


しかし,介護支援専門員の場合は,社会福祉士であってもそのほかの資格であっても,実務経験がなくても受験できるという優遇はありません。

実務経験が5年以上あって初めて介護支援専門員実務研修受講試験を受験することができます。


3 介護支援専門員は,居宅サービス計画の作成に当たって,サービス担当者会議を召集しなければならない。


これが1つめの正解です。


4 介護支援専門員は,利用者の自立した生活を支援する上で,介護給付等対象サービスを中心として居宅サービス計画を作成することが望ましい。


居宅サービス計画は,一般的に「ケアプラン」のことを言います。


介護給付等対象サービスだけではなく,インフォーマルな社会資源を生かすことが大切です。


5 介護支援専門員証の有効期間の更新に当たっては,法令に定められた研修を受けなければならない。


これがもう一つの正解です。

事業所の指定取消し事例の中には,更新せずに業務を行って,保険者に対しても虚偽の報告をした,というものが見られます。

つい,うっかりというレベルではありません。

先に書きましたが,介護支援専門員でないものが介護報酬を請求しても保険給付されません。つい,うっかりの場合だとすれば,気づいた時点で報告し,受け取った介護報酬を規定に従って返還することで最悪の事態を回避することができます。

指定取消しを見るたびに,それに社会福祉士が絡んでいないことを祈るのです。

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