介護保険法が定める居宅サービスには,以下のサービスがあります。
訪問介護 訪問入浴介護 訪問看護 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 通所介護 通所リハビリテーション 短期入所生活介護 短期入所療養介護 特定施設入居者生活介護 福祉用具貸与及び特定福祉用具販売 |
これらサービスを提供するのが,指定居宅サービス事業者です。
「指定」と出てきたら,どこによって指定されるのかを覚えるようにしたいです。
指定居宅サービス事業者を指定するのは,都道府県の役割です。
それでは今日の問題です。
第28回・問題132 介護保険制度における指定居宅サービス事業者の責務に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 市町村,他の居宅サービス事業者,保健医療サービスや福祉サービスを提供する者との連携に努める義務が課せられている。
2 常にサービスを受ける者の立場に立ってサービスを提供するために,サービスの質に関する第三者評価を定期的に受ける義務が課せられている。
3 サービス利用者の介護保険被保険者証に介護認定審査会の意見が記載されている場合には,それに配慮してサービスを提供するよう努める義務が課せられている。
4 事業の廃止・休止をする場合であっても,当該事業者には,サービスが継続的に提供されるよう調整する義務は課せられていない。
5 法令等遵守に関する義務の履行が確保されるように,業務管理体制の整備について,事業者の所在する市町村に届け出るよう努める義務が課せられている。
問題のつくり方がちょっと雑です。
というか,選択肢4だけがちょっと違います。
「場合であっても」は,明らかに変です。
そして,この選択肢だけが,「課せられていない」となっています。
それでは解説です。
1 市町村,他の居宅サービス事業者,保健医療サービスや福祉サービスを提供する者との連携に努める義務が課せられている。
これが一つめの正解です。
2 常にサービスを受ける者の立場に立ってサービスを提供するために,サービスの質に関する第三者評価を定期的に受ける義務が課せられている。
介護保険では,第三者評価を受けることが義務づけられているのは,地域密着型サービス事業者のうち,認知症対応型共同生活介護(グループホーム)です。
3 サービス利用者の介護保険被保険者証に介護認定審査会の意見が記載されている場合には,それに配慮してサービスを提供するよう努める義務が課せられている。
これがもう一つの正解です。
4 事業の廃止・休止をする場合であっても,当該事業者には,サービスが継続的に提供されるよう調整する義務は課せられていない。
これは,絶対に正解にならない文章です。
この文章がおかしなものとなっている理由は,
事業の廃止・休止をする場合,当該事業者には,サービスが継続的に提供されるよう調整する義務は課せられている。
を無理やり否定形にしたからです。
手抜きの文章です。
5 法令等遵守に関する義務の履行が確保されるように,業務管理体制の整備について,事業者の所在する市町村に届け出るよう努める義務が課せられている。
市町村は,介護保険の保険者ですが,指定居宅サービス事業者の指定は,都道府県の役割です。
つまり,届出等は,都道府県に対して行います。
<今日の一言>
今日の問題を確実に正解するためのポイントは,「指定」です。
事業者の指定のほとんどは,都道府県の役割です。
介護保険では,地域密着型サービスがあるので,市町村が指定するのがよくあることのように思うかもしれません。
しかし,これは例外です。
これから勉強を進めていくうえで,指定が市町村の役割であるものが出てきたら,そこをしっかり覚えるようにします。
何が市町村の役割となっているのかの答えは知っていますが,ぜひ自分で見つけていってください。
今日の問題では選択肢5に引っ掛けられなければ,正解するのはそれほど難しくはないはずです。
国試に合格するには,こういうところをきっちり消去できる確実な知識が必要です。