2021年3月12日金曜日

法の定義~特定妊産婦

 社会福祉士の国家試験に合格するためには,法律に関連する問題に強くなることが必要です。

 

しかし,法律は読みにくいものです。

 

今回は,児童福祉法を取り上げますが,同法では定義として以下のように記述されています。

 

第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。

一 乳児 満一歳に満たない者

二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

② この法律で、障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害児を含む。)又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であつて障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度である児童をいう。

第五条 この法律で、妊産婦とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。

第六条 この法律で、保護者とは、第十九条の三、第五十七条の三第二項、第五十七条の三の三第二項及び第五十七条の四第二項を除き、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。

 

重要なことが書かれていますが,ものすごく読みにくいです。

 

そのため,参考書などでは,覚えやすく記述し直しています。

 

とはいうものの,主要な法律は,一度は目を通しておきたいものです。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題138 児童福祉法における用語の意味として,正しいものを1つ選びなさい。

1 「少年」とは,中学校入学の始期から,満18歳に達するまでの者をいう。

2 「妊産婦」とは,妊娠中又は出産後3か月以内の女子をいう。

3 「要支援児童」とは,保護者に監護させることが不適当であると認められる児童をいう。

4 「保護者」とは,児童の扶養義務を負う者をいう。

5 「特定妊婦」とは,出産後の養育について,出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦をいう。

 

先に紹介していないものも出題されています。

難易度としては,ちょっと高めかもしれません。

 

それでは,解説です。

 

1 「少年」とは,中学校入学の始期から,満18歳に達するまでの者をいう。

 

うっかりすると間違ってしまいそうです。

 

少年の定義が出題されるときのポイントは,満18歳,満20歳かをチェックするのが王道です。

 

児童福祉法では満18歳未満,少年では満20歳未満,というように少年の年齢が異なっているからです。

 

しかしこの問題では,その部分は正しいですが,前半部分に誤りがあります。

 

中学校入学の始期

  ↓  ↓

小学校入学の始期

 

 

2 「妊産婦」とは,妊娠中又は出産後3か月以内の女子をいう。

 

妊産婦については,これまでも何度か出題実績のあるものです。

こういったものは,確実に覚えておかなければなりません。

 

妊産婦は,妊娠中又は出産後1年以内の女子です。

 

具体的な数字は覚えるのが大変です。しかしそこを変えて出題されるので,覚えないわけにはいきません。

 

3 「要支援児童」とは,保護者に監護させることが不適当であると認められる児童をいう。

 

要支援児童とは,乳児家庭全戸訪問事業の実施その他により把握した保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童(要保護児童除く)です。

 

保護者に監護させることが不適当であると認められる児童は,要保護児童です。

 

4 「保護者」とは,児童の扶養義務を負う者をいう。

 

保護者とは,親権を行う者,未成年後見人その他の者で,児童を現に監護する者です。

 

5 「特定妊婦」とは,出産後の養育について,出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦をいう。

 

これが正解です。

 

特定妊産婦の出題は,後にも先にもなく,この時のたった1回しかありません。

 

しかし,もうそろそろ出題されてくるのではないかと思います。

 

<今日の一言>

 

この問題では,児童福祉法の定義としては地味目の特定妊産婦が正解になりました。

 

そのため,この時に受験した人は,正解できた人はそれほど多くなかったのではないかと思います。

しかし,社会福祉士の国家試験の特徴は,出題される問題数が多いことです。

1問の重みはそれほどありません。難易度が高いと思われる問題を正解できずとも,合格することは可能です。

 そのためには,参考書に書かれた内容をひたすら覚えていくことが大切です。

 

3か月で合格できる試験ではありません。

最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事