国家試験問題は,大きく分けると3種類のタイプがあります。
②知識を用いて推測しながら答えを探し出すタイプ
③知識なしで解くタイプ
①知識そのもので解けるタイプ
国家試験は,社会福祉士としての素養を育てるものでもあります。
しかし,現場はそんな人は求めていません。
国家試験に合格するためには,
②知識を用いて推測しながら答えを探し出すタイプ
を確実に正解することが必要です。
知識があっても知恵のない社会福祉士は,現場で必要とされていません。
②知識を用いて推測しながら答えを探し出すタイプ
第33回・問題3 健康の概念と健康増進に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 WHOは,健康を身体的,精神的,社会的,スピリチュアルに良好な状態と定義した。
3 健康増進法は,生活習慣病対策を含まない。
4 健康増進は,一次予防には該当しない。
5 健康寿命とは,平均寿命を超えて生存している期間をいう。
この問題で得点するには,選択肢1を確実に消去できなければなりません。
WHOの健康の定義が出題されるとき,「身体的」「精神的」「社会的」に何かをくっつけて間違いにするのは今まで何度も何度も使われてきた手です。
健康の定義に「スピリチュアル」を入れることを検討したこともありますが,実現しないまま,今に至ります。その布石があるので,第23回,第26回で「スピリチュアル」をくっつけて出題されています。
第26回国試問題
https://fukufuku21.blogspot.com/2017/04/blog-post_26.html
WHOの健康の定義を勉強して国試に臨んだにもかかわらず,ここで間違った人は,本当に要注意です。
あわてるタイプだからです。
どれだけ勉強を積み重ねても,こういった問題でミスすると,点数はアップしていきません。この問題を正解できなくて1・2点足りなくて合格できなかったという人は,早とちりタイプであると思われるので,そこを変えることも同時に対策しなければなりません。
それができれば,必ず合格できるはずです。
この問題の難易度がそれほど高くないのは,知識がなくても消去できる選択肢が含まれるからです。
そういった意味で,問題づくりが下手です。
この問題で共通しているのは,「一次予防」です。
2 「健康日本21」は,一次予防を重視している。
4 健康増進は,一次予防には該当しない。
この2つは矛盾した内容です。
選択肢4を正解にする人はまずいないでしょう。そうすると健康増進は一次予防を含むと考えられます。
ここから一次予防が重要なのだということが理解できます。
そうすると,健康日本21が何を重視しているのか,覚えていなくても「2 「健康日本21」は,一次予防を重視している」が正解っぽいと思えるでしょう。
そして,これが正解です。
一次予防は,病気にならないようにすること。
二次予防は,病気を早期発見すること。
三次予防は,病気を悪化させないこと。
一次予防が続けて出題されることは少ないと思いますが,しっかり覚えておきたいです。
<今日の一言>
第33回国試では,「一次予防」についてもう1問出題されています。
第33回・問題4 日本におけるがん(悪性新生物)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 近年において,がんは死因の第2位となっている。
2 がんと食生活は関係がない。
3 早期発見を目的とするがん検診は,がんの一次予防である。
4 近年の傾向として,胃がんの「死亡率」は低下している。
5 がんの治療は,手術療法に限られる。
(注) 「死亡率」とは,年齢構成を基準人口で調整した「年齢調整死亡率」を指す。
目の前の問題だけに気がとらわれると,直前の問題であっても気がつかないと思いますが,問題3を正解できる人は,問題4の選択肢3は選ばないはずです。
国家試験問題同士でヒントを出し合うのは,めったに見られるものはないので,珍しいタイプだと言えます。
国試全体のチェック機能があまり効いていなかったのかもしれません。
次回も1点をどのように積み上げるのを考えていきたいと思います。