社会福祉士の国家試験は,すべて1問1点です。大学入試などと異なり,問題の難易度によって,配点の差はありません。
難しい問題でもそれほど難しくない問題でも1問は1点です。
国家試験の結果には点数が書かれています。
以前は,点数を知るためには別料金が必要でした。つまりすべての人が自動的に自分の得点を知り得たわけではありません。
合格をつかめなかった人にとって,自分の点数を知ることは,とても辛いことかもしれません。
さらにもっと前は合格基準点さえも明らかとされていませんでした。
合格基準点が上がることは不満にも通じますが,社会福祉振興・試験センターもそれなりに努力はしてきているのだと思います。
さて,今年の国試を受験された方は,国試が終わった後に国家試験問題を開いたことがあるでしょうか。
国家試験問題は,大きく分けると3種類のタイプがあります。
①知識そのもので解けるタイプ
②知識を用いて推測しながら答えを探し出すタイプ
③知識なしで解くタイプ
国試が終わると,試験対策の専門集団などは,国試の難易度を発表します。
その時の尺度が上記のようなものです。
受験者側は,問題の色分けはできないかもしれませんが,国家試験に詳しい人だと,明確に色分けできます。
国家試験に不合格になると知識不足を嘆く人が多いと思います。
もちろん知識不足は最低限必要ですが,
②知識を用いて推測しながら答えを探し出すタイプ
が正解できないと次の年も同じ結果となる可能性が高いです。
第33回・問題27 各国の社会福祉や社会保障の現状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アメリカの公的医療保障制度には,低所得者向けのメディケアがある。
2 スウェーデンの社会サービス法では,住民が必要な援助を受けられるよう,コミューンが最終責任を負うこととなっている。
3 ドイツの社会福祉制度は,公的サービスが民間サービスに優先する補完性の原則に基づいている。
4 中国の計画出産政策は,一組の夫婦につき子は一人までとする原則が維持されている。
5 韓国の高齢者の介護保障(長期療養保障)制度は,原則として税方式で運用されている。
この問題が②のタイプです。
正解は選択肢2ですが,これが正解だとわかった人はほとんどいないはずです。
知識で絶対に消去しなければならないのは,選択肢1と5です。
この問題を正解するために必要にカギは,選択肢3です。
ここに推測力が求められます。
公的サービスが中心なのは,社会民主主義レジームの国々ではないのか,という推測です。
答えを先に言えば,ドイツなどの保守主義レジームは,伝統的な職域などが社会保障制度を形作るところが特徴です。そのために「保守主義」レジームなのです。
丸暗記タイプの勉強法で得点できるのは,法制度に関するものだけです。
今日の問題は難易度が高い問題ですが,②のタイプをいかに得点できるかは,知恵にかかっていると言えます。
自分で考えて工夫できること
これこそが社会福祉士に求められる姿だと思いませんか?
次回は,問題の難易度はそれほど高くない②のタイプを紹介したいと思います。