今回は,地域若者サポートステーション(サポステ)を取り上げます。
以下は,厚生労働省のホームページからの引用です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html
地域若者サポートステーションとは 地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では,働くことに悩みを抱えている15歳~49歳までの方に対し,キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談,コミュニケーション訓練などによるステップアップ,協力企業への就労体験などにより,就労に向けた支援を行っています。 サポステは,厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがあるNPO法人,株式会社などが実施しています。 「身近に相談できる機関」として,全国の方が利用しやすいよう全ての都道府県に必ず設置しています(全国177箇所)。 サポステの支援対象者 「働きたいけど,どうしたらよいのかわからない・・・」,「働きたいけど,自信が持てず一歩を踏み出せない・・・」,「働きたいけど,コミュニケーションが苦手で・・・不安」,「働きたいけど,人間関係のつまずきで退職後,ブランクが長くなってしまった・・・」など,働くことに悩みを抱えている15歳~49歳までの方の就労を支援しています。 |
サポステは,若者という名称がついていますが,現在は49歳までを対象としています。
この背景にあるのは,中高年の引きこもりです。8050問題と呼ばれる80歳代の親が50歳代の引きこもりの子どもを支える家庭が増える中,それを防止するために2020年にそれまでの39歳から49歳に対象を広げました。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題146 事例を読んで,B相談支援員(社会福祉士)の対応として,次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(32歳男性)は両親と同居している。大学卒業後直ぐに就職したが半年で離職しその後,身の回りのことは自分でこなすが,積極的な就職活動などをすることなく自宅にとどまり家族以外とは交流を持たない状態が10年近く続いている。今回,親に促されて,生活困窮者自立相談支援事業を実施するR市役所の相談窓口を訪れた。Cさんは「就職したいという焦りと,失敗するのではという不安がある」とB相談支援員に話している。
2 求人情報誌の利用による求職を勧める。
3 障害者就業・生活支援センターの利用を勧める。
4 福祉事務所の相談窓口を勧める。
5 地域若者サポートステーションの利用を勧める。
前回に引き続いて,またまた障害者就業・生活支援センターが出題されています。
https://fukufuku21.blogspot.com/2021/03/blog-post_25.html
さて,この事例は,生活困窮者自立相談支援事業の相談支援員の対応です。
絶対に正解にならないのは,
1 医療機関の受診を勧める。
医療的な判断が含まれるものは,福祉職の役割ではないからです。
第一選択にはなり得ません。
実際には統合失調症があるかもしれません。しかし,この事例の中では,精神疾患を疑わせるような情報は一切ありません。
それにもかかわらず「こうに違いない」といった余計なことを考えるとミスすることになります。
事例問題は,判断が分かれるような内容だと不適切問題になってしまうので,そのようには問題は作られません。
この事例の中の手がかりは
就職したいという焦りと,失敗するのではという不安がある
とCさんが話していることです。
ずばりサポステの支援対象者です。
正解は選択肢5です。
5 地域若者サポートステーションの利用を勧める。
余計なことを考えるとミスする原因となるので注意が必要です。
一応そのほかの選択肢も解説します。
2 求人情報誌の利用による求職を勧める。
3 障害者就業・生活支援センターの利用を勧める。
4 福祉事務所の相談窓口を勧める。
この3つの選択肢はすべて就労支援に直結するものですが,Cさんの不安を解決するための要素に欠けます。
うまくすると猫の手も借りたいような事業所に就職できるかもしれません。
しかし,もしそれが失敗すると,もっと深い傷を負うこととなります。
Cさんは親に連れられて,しぶしぶ相談機関に訪れたのかもしれません。
しかし,それはCさんにとって大きな一歩です。ここに着目した支援が必要です。
焦ると変化の芽をつぶすことになりかねません。
<今日の一言>
今日の問題は,決して難しいものではありません。
しかし,「こうあるべきだ」という思い込みがあると,正解するのは意外と簡単ではありません。
こういったタイプの事例問題は数多くあるので注意が必要です。
何度も受験しても合格できないという方は,事例問題でミスしていないか,確認してみてください。
知識をつけることには目が向きますが,事例問題の強化は抜けがちです。