2025年1月22日水曜日

障害福祉サービスの覚え方

 日本の障害者福祉は,障害種別ごとに発展してきたことが特徴です。


2005年(平成17年)の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)は,障害種別をなくした障害福祉サービスに一元化したのが特徴です。


障害者福祉になじみがないとそれでも複雑に思うかもしれません。


高齢者福祉と異なり,就労支援系のサービスがあるのが,少しばかり複雑に感じさせる理由なのかもしれません。


しかし,旧体系に比べるとずっとシンプルで覚えやすくなっています。


障害福祉サービスは,名称で覚えることが可能です。


例えば,就労支援系サービスは,


就労していない → 就労移行支援 → 就労継続支援(A型・B型)

                 → 就労定着支援 


のイメージで覚えると押さえると良いです。


就労していない者が一般就労を目指して「就労支援移行」,一般就労できれば,「就労定着支援」,一般就労できなければ「就労継続支援」を利用する


というイメージです。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題58 

「障害者総合支援法」の障害福祉サービスに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 生活介護とは,医療を必要とし,常時介護を要する障害者に,機能訓練,看護,医学的管理の下における介護等を行うサービスである。

2 行動援護とは,外出時の移動中の介護を除き,重度障害者の居宅において,入浴,排せつ,食事等の介護等を行うサービスである。

3 自立生活援助とは,一人暮らし等の障害者が居宅で自立した生活を送れるよう,定期的な巡回訪問や随時通報による相談に応じ,助言等を行うサービスである。

4 就労移行支援とは,通常の事業所の雇用が困難な障害者に,就労の機会を提供し,必要な訓練などを行うサービスである。

5 就労継続支援とは,就労を希望し,通常の事業所の雇用が可能な障害者に,就労のために必要な訓練などを行うサービスである。

(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。


早速解説です。


1 生活介護とは,医療を必要とし,常時介護を要する障害者に,機能訓練,看護,医学的管理の下における介護等を行うサービスである。


法制度では「医療」は「療養」という名称が使われることが多いようです。


障害福祉サービスでは,「介護」の名称がつくのが複数ありますが,そのうち医療に関するものは「療養介護」です。


生活介護は,高齢者分野ではデイサービスに近いです。

つまり,医療は含まない通所系サービスです。


国家試験では,居宅介護(介護保険では訪問介護)と混同させるように出題されるので,注意が必要です。



2 行動援護とは,外出時の移動中の介護を除き,重度障害者の居宅において,入浴,排せつ,食事等の介護等を行うサービスである。


重度障害者というヒントがあります。


重度訪問介護だとわかります。


行動援護は,知的障害者や精神障害者に対する外出支援です。


似たものには,同行援護があります。これは,視覚障害者に対する外出支援です。


3 自立生活援助とは,一人暮らし等の障害者が居宅で自立した生活を送れるよう,定期的な巡回訪問や随時通報による相談に応じ,助言等を行うサービスである。


これが正解です。


もしも自立生活援助がわからずとも,「自立した生活」というヒントから「自立生活援助」だと考えることが可能です。


4 就労移行支援とは,通常の事業所の雇用が困難な障害者に,就労の機会を提供し,必要な訓練などを行うサービスである。


通常の事業所の雇用が困難な障害者に対する就労支援サービスは,就労継続支援です。


A型は,雇用契約を締結して利用します。


B型は,雇用契約を締結しないで利用します。


5 就労継続支援とは,就労を希望し,通常の事業所の雇用が可能な障害者に,就労のために必要な訓練などを行うサービスである。


就労を希望して通常の事業所の雇用が可能な障害者が利用するのは,就労移行支援です。

就労継続支援と異なり,期間を定めて利用するのが特徴です。

2025年1月21日火曜日

「基本指針」「基本計画」は要注意!!

今回の問題は中央政府の役割です。

社会福祉士の国家試験では,厚生労働省と内閣府のものが出題されています。


内閣府が所管している法制度の代表

・障害者基本法

・子ども・子育て支援法


それでは,今日の問題です。



第30回・問題46 

次の記述のうち,厚生労働大臣の役割として,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。

2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。

3 障害者基本法に規定される障害者基本計画を作成しなければならない。

4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。

5 子ども・子育て支援事業計画の基本的な指針を定める。




国は,市町村・都道府県の上位計画である,基本指針,基本計画を策定します。

注意すべきなのは,厚生労働大臣ではなく,内閣総理大臣(政府)が定めるものがあることです。


それでは解説です

1 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定める。

これが正解です。


2 都道府県が老人福祉計画に確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるに当たって従うべき基準を定める。

従うべき基準
標準
参酌すべき標準


というレベルがあります。

拘束力が高いのは,従うべき基準

拘束力が中くらいなのは,標準

拘束力が低いのは,参酌すべき標準


従うべき基準が定められるのは,職員配置,建物などの大きさなどです。

標準を定めるのは,施設や通所施設の定員などです。

参酌すべき標準が定められるのは,民生委員の定員などです。

確保すべき老人福祉事業の量の目標は,地域の実情によって変わります。

従うべき基準は適さないと思えればOKです。

正しくは,参酌すべき標準です。よって間違いです。


3 障害者基本法に規定される障害者基本計画を作成しなければならない。

障害者基本法は,特別な法律です。

なぜなら,障害者施策は,障害者権利条約に沿った国際的な協調が必要であり,多面的な施策が必要だからです。

そのため,内閣府が所管しています。内閣総理大臣が司令塔となり,関係省庁に対して,障害者施策を推進していきます。

障害者基本計画は,政府が作成します。よって間違いです。


4 市町村が市町村地域福祉計画を策定する際に参酌すべき基準を定める。

地域福祉計画には,国による上位計画がないことが特徴です。

よって,間違いです。


5 子ども・子育て支援事業計画の基本的な指針を定める。

子ども子育て支援法を含めた子ども・子育て関連3法も内閣府が所管しています。

そのため基本指針を定めるのは,内閣総理大臣となります。

よって間違いです。


〈今日のまとめ〉

 基本指針,基本計画を定めるのは,国です。

 その中には,厚生労働大臣が定めるものと内閣総理大臣(政府)が定めるものがあります。

 内閣総理大臣(政府)が定めるものは

 障害者基本計画
 子ども・子育て支援事業計画の基本指針


 要注意です!!

2025年1月20日月曜日

社会福祉法における地域福祉の推進の規定

社会福祉法は,地域共生社会の実現に向けて,近年は頻繁に改正を重ねています。

 

現在の地域福祉の推進については,以下のように規定されています。

 

(地域福祉の推進)

第四条 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない。

 2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(以下「地域住民等」という。)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない。

 3 地域住民等は、地域福祉の推進に当たつては、福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立その他の福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題(以下「地域生活課題」という。)を把握し、地域生活課題の解決に資する支援を行う関係機関(以下「支援関係機関」という。)との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする。

 

この中で注意すべきなのは,2点あります。

 

①地域福祉の推進主体

 ・地域住民

 ・社会福祉を目的とする事業を経営する者

 ・社会福祉に関する活動を行う者

 

これらは「地域住民等」と表記されます。

 

②地域住民等は,生活課題を把握し,支援関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする。

 

地域住民等と表記されると違和感がありますが,これで良いのです。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題36 

社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。

2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。

3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し,支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。

4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。

5 国及び地方公共団体は,地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

 

知識がなければ,正解するのはかなり難しいと思うかもしれません。

 

しかしおかしな内容の選択肢もあるので,落ち着いて問題を読めば,正解できなくもないでしょう。

 

この問題の正解は,選択肢5です。

5 国及び地方公共団体は,地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

 

迷うのは,義務なのか,努力義務なのか,だと思いますが,丁寧に読んでいけば,消去法でこの選択肢が残ります。

 

それでは,消去していきたいと思います。

 

1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。

 

体制の整備は,国あるいは地方公共団体が行うものです。

 

この場合(域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制)の整備を行うのは,市町村の役割です。

 

2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。

 

市町村によっては,地域福祉活動計画は,市町村地域福祉計画と一体のものとして作成しているところもあります。

 

しかし,だからといって,法で規定されていると考えるのは浅はかです。こんな規定はありませんし,地域福祉活動計画は根拠法はない民間計画です。かなり重要なことだと思いますが,意外とこの視点が抜け落ちるみたいです。

 

3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し,支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。

 

地域住民に対して,直接的なサービスを行うのは,市町村です。

 

都道府県が行うのは,広域的な立場から行うものや専門性の高いものなどです。

 

この基本を押さえておくと何かと役立つと思います。

 

4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。

 

このような規定はありません。

 

ということで,選択肢5が残ります。

 

こういった問題を解く際,重要なことは慌てて答えを選ばないことです。

どこかにヒントはあるものです。試験委員もそのように作っている様子が問題からうかがえます。

2025年1月19日日曜日

成年後見制度における職権

 成年後見制度は,請求権者(「本人」「配偶者」「四親等以内の親族」「検察官」等)の請求によって,家庭裁判所が後見人等を職権で選任することで開始します。


ここで混同しないように覚えてほしいのは

職権

職権は,文字通り,その職に対して与えられている権利です。

成年後見制度では,成年後見人等や成年後見監督人の選任は,家庭裁判所の職権で行われます。

成年後見等の開始の審判は,請求権者の請求があって行われます。

後見人等の選任 → 家庭裁判所の職権
成年後見等の開始の審判 → 請求権者の請求

何度も間違い選択肢として出題されるのは,これをクロスした

成年後見等の開始の審判は,家庭裁判所の職権で行う。

知識のない人は正解にしそうですが,よくよく考えてみるとこれは制度的にはあり得ないことなのです。なぜなら,家庭裁判所は日本国民1億2千万人全員の判断の能力を把握していなければならないからです。

そんなことはあるはずがないです。無理です。

そのため,請求権者の請求が必要なのです。請求権者の請求があって初めて,家庭裁判所は動き始めることができます。

家庭裁判所が成年後見人等の選任を職権で行うとは,請求権者が後見人等の希望を出しても出さなくても,家庭裁判所が後見人等にふさわしい人を選ぶことを指しています。

被後見人の財産が多額であったなどの場合には,さらに成年後見監督人等を職権で選任することもあります。

ついでに言えば,職権で選任した者は職権で解任することができます。つまり請求権者の請求がなくても,家庭裁判所はその人物が不適切だと考えた場合は解任することができるということです。

それでは今日の問題です。過去に一度紹介したものですが,今一度考えてみましょう。


第26回・問題80 

成年後見制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判をすることができる。

2 成年被後見人のなした日常生活に関する法律行為については,成年後見人が取り消すことができる。 

3 家庭裁判所は,成年後見開始の審判をするときは,職権で成年後見人を選任し,保佐人及び補助人についても同様に職権で選任する。

4 成年後見人は,いつでも家庭裁判所に届け出ることによって,その任務を辞することができる。

5 家庭裁判所は,破産者を成年後見人に選任することはできないが,未成年者を成年後見人に選任することはできる。


成年後見人には,被後見人がなした法律行為を取り消すことができる「取消権」が付与されています。

ただし,被後見人の結婚などの「身分行為」と「日用品の購入その他日常生活に関する行為」は取り消すことができません。

日用品の購入その他日常生活に関する行為を取り消すことができないのは,大した金額てもないので,そのくらいは認めましょう,という観点からです。これは保佐人,補助人も同様です。

繰り返し出題されているので,必ず覚えておかなければなりません。

それでは解説です。

1 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判をすることができる。

これは間違いです。

前説の通り,家庭裁判所が職権で行うのは,補助人を含めた成年後見人等の選任です。

補助開始の審判は,請求権者の請求によって行います。


2 成年被後見人のなした日常生活に関する法律行為については,成年後見人が取り消すことができる。

これも間違いです。

日用品の購入その他日常生活に関する行為は取り消すことができません。


3 家庭裁判所は,成年後見開始の審判をするときは,職権で成年後見人を選任し,保佐人及び補助人についても同様に職権で選任する。

これが正解です。

成年後見人等の選任は,家庭裁判所の職権で行います。


4 成年後見人は,いつでも家庭裁判所に届け出ることによって,その任務を辞することができる。

これは間違いです。

「いつでも」ということがあるので,正解にはなりにくいですが,正当な理由があって,家庭裁判所の許可があって辞任することができます。

職権で選任しているのですから,勝手にやめることはできないのです。


5 家庭裁判所は,破産者を成年後見人に選任することはできないが,未成年者を成年後見人に選任することはできる。

これも間違いです。

成年後見人に選任できない者には,未成年者も含まれます。未成年者自身が保護者の保護下にあります。未成年が成年後見になれるわけがありません。


<今日の一言>

家庭裁判所が職権で行うのは,成年後見人等の選任です。

成年後見等の開始の審判は,請求権者の請求によって行われます。

整理しておきましょう。

2025年1月18日土曜日

労働者災害補償保険(労災保険)のまとめ

 労働者災害補償保険法は,日本国憲法の勤労の義務及び権利を保障するために1947年・昭和22年に作られました。

 

当初は,労働者の業務災害を対象としていましたが,昭和40年代のモータリゼーションの高まりに伴い,通勤災害も対象となりました。

 

労働者とは,雇用されて給与が支払われるすべての人をいいます。

 

そのためこの制度は,ほかの社会保険制度と異なり,被保険者という概念がありません。

 

労働者であれば適用されるので,被保険者という概念は必要ではないからです。

 

労働者は,被保険者ではないので保険料の支払いはありません。

 

雇用保険は,労使折半で保険料を支払いますが,労災保険は事業主のみが保険料を支払います。

※雇用保険二事業の保険料は,事業主のみ負担。

 

事業主が保険料の支払いを滞納していたとしても補償されます。

 

労災保険の給付内容を整理すると,所得の補償と療養費(治療にかかる費用)の保障の2種類があります。

 

これらは,医療保険と重なります。

 

医療保険と労災保険では,労災保険が優先されるので,同一の事由に傷病の場合は,医療保険は給付されません。

 

また,医療保険と異なり,治療にかかる費用の本人の負担はありません。

ただし,通勤災害の療養給付には,一部負担(200円)があり,休業給付から差し引かれて給付されます。ここまでは出題されたことがありません。


なお,労災保険は労働者を対象とした保険ですが,一人で事業を行っているような個人タクシーの運転手なども特別加入することができます。

 

それでは,今日の問題です。

 

30回・問題53 

事例を読んで,労働者災害補償保険(以下,「労災保険」という。)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Aさんは正社員として建設会社に就職した。正社員は他に7名いて,アルバイトとして学生のBさんが雇われている。Aさんは業務上の事由により右足を骨折してしまった。

1 この会社は,正社員が10名以下なので労災保険は適用されない。

2 Bさんは,学生なので労災保険の適用対象にならない。

3 骨折した事故が労災認定された場合,療養の給付について,Aさんに自己負担はない。

4 骨折した事故が労災認定された場合,Aさんが治療のため会社を休み,賃金が得られなくなった初日から休業補償給付を受けることができる。

5 会社が労災保険の保険料を滞納していた場合,Aさんは,労災保険の給付を受けることができない。

 

労災保険は,医療保険や年金保険と異なり,制度がシンプルなので,しっかり覚えると確実に得点できると思います。

 

それでは解説です。


1 この会社は,正社員が10名以下なので労災保険は適用されない。

 

事業所の規模に限らず,労働者が雇用されているすべての事業所に対して適用されるのが労災保険の特徴です。

 

2 Bさんは,学生なので労災保険の適用対象にならない。

 

すべての労働者に適用となるのが労災保険の特徴です。

 

3 骨折した事故が労災認定された場合,療養の給付について,Aさんに自己負担はない。

 

これが正解です。

 

医療保険と異なり,本人の自己負担がないのが労災保険の特徴です。

 

4 骨折した事故が労災認定された場合,Aさんが治療のため会社を休み,賃金が得られなくなった初日から休業補償給付を受けることができる。

 

休業補償給付は,業務災害のため労務不能になって給与が支払われない場合の所得補償です。

 

連続して3日を休業し,4日目から給付されます。

 

この仕組みは,医療保険の所得補償である傷病手当金と同じです。

 

同一の事由による傷病の場合,休業補償給付と傷病手当金は,当然のことながら併給できません。

 

休業補償給付が給付されます。

 

5 会社が労災保険の保険料を滞納していた場合,Aさんは,労災保険の給付を受けることができない。

 

事業主が保険料を滞納していたとしても給付されるのが労災保険の特徴です。

2025年1月16日木曜日

イギリスの福祉の発展

 今回は,イギリスの福祉の歴史を取り上げます。


イギリスは,世界で初めて産業革命を成し遂げ,世界の工場と呼ばれるほど経済が発展した国です。


しかし,その時代は今と異なり,経済活動の自由が貫き通された重商主義であったために,様々な弊害が発生しました。


今は,その失敗をもとに,イギリスを含めた資本主義の国々は福祉国家に変貌しています。


福祉国家は,資本主義で得られた利益をその仕組みの弊害を解消するために用います。


イギリスの失敗とその変化は,世界の参考となったのです。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題24 

イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。

2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。

3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。

4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。

5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。


歴史問題は難しいですが,この年の問題は,比較的解きやすいものとなりました。


その理由は,答えがすぐわかるからです。


正解は選択肢3です。


3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。


何のひねりもなく,参考書に書かれているのと同じように出題しています。


ブースの貧困調査の結果,実にロンドン市民の3割が貧困線以下の生活を送っていることが明らかとなりました。


ブースは,貧困は怠惰などの理由によるものだと考えるタイプの企業の経営者でした。それはそのころの一般的な考え方です。

そのころ,人々が貧困に陥るのは,環境などの原因によるものだという考えを否定しようと貧困調査を行ったところ,逆にその考え方を肯定することとなったのです。


1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。


新救貧法は,救済基準の全国一律化劣等処遇の原則などが特徴です。


2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。


COSは,貧民を「救済に値する貧民」と「救済に値しない貧民」に分けて,救済に値する貧民を救済しました。


救済に値しない貧民は,救貧法が救済しました。


この役割分担を「平行棒理論」といいます。


4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。


老齢年金法は,社会保険方式ではなく,税負担による社会扶助方式が採用されました。


そのため,給付には,資力調査(ミーンズテスト)が実施されました。


5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。


社会保障計画を提唱したのは,ベヴァリッジ報告です。


ウェッブ夫妻が提唱したのは,ナショナルミニマム(国家による最低限度の生活保障)です。

ウェッブ夫妻が提唱したナショナルミニマムのこの考え方を取り入れてまとめたのが,ベヴァリッジ報告です。

2025年1月15日水曜日

社会福祉の理論

 ソーシャルワーク専門職のグローバル定義

ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。

社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。

ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。

この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。

 

赤字で示した「地域・民族固有の知」とは,世界各地に根ざし,人々が集団レベルで長期間受け継いできた知のことを指しています。

 

ソーシャルワークは,欧米生まれであるため,欧米の理論が中心となり,発展してきましたが,もちろん日本にも日本の固有の知があります。

 

国家試験には,日本古来の住民の互助について出題されたこともあります。

 

ここまで読んでいて,勘の良い人は,推測ができたかもしれませんが,本日のテーマ「社会福祉の理論」とは,日本の理論のことです。

 

出題基準では,

 

社会福祉の理論(政策論、技術論、固有論、統合論、運動論、経営論)

 

と示されています。 

 

系譜

特質

人物名

政策論

経済システム(資本主義)の中の社会(福祉)事業の位置づけを説明するもの。

大河内一夫

孝橋正一

技術論

ソーシャルワーク理論の科学化を志向するもの。

竹内愛二

統合論

政策論と技術論の折衷論。

島田啓一郎

木田徹郎

固有論

社会福祉の固有の視点を志向するもの。

岡村重夫

運動論

社会問題・生活問題の改善を求める運動を志向するもの。

一番ヶ瀬康子

真田 是

経営論

福祉政策(ニード論や供給体制)を志向するもの。

三浦文夫

 

国家試験では,それぞれの特徴的なところを出題してくると思うので,そのポイントを押さえて勉強すると良いと思います。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題24 

1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 木田徹郎は,社会事業を,資本主義の維持という側面から,賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。

2 三浦文夫は,政策範疇としての社会福祉へのアプローチの方法として,ニード論や供給体制論を展開した。

3 岡村重夫は,生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。

4 孝橋正ーは,社会福祉の固有の機能を,個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し,環境への適応を促すことと論じた。

5 一番ヶ瀬康子は,政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。

 

すごく難しい問題ですが,今後はこういった問題の出題頻度は高くなるのではないかと思います。

 

それではポイントを押さえながら,解説します。

 

1 木田徹郎は,社会事業を,資本主義の維持という側面から,賃金労働の再生産機構における「社会的問題」の緩和・解決の一形式と捉えた。

 

資本主義という言葉が入っているので,政策論の系譜であると推測できます。

 

政策論は,大河内一夫は孝橋正一です。

 

そのうち,「社会的問題」に対応するものが社会事業であることを述べたのは,孝橋正一です。

 

2 三浦文夫は,政策範疇としての社会福祉へのアプローチの方法として,ニード論や供給体制論を展開した。

 

これが正解です。

 

ニード論や供給体制論を展開したのは,経営論の系譜に位置づけられる三浦文夫です。

 

3 岡村重夫は,生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じた。

 

運動という言葉が入っているので,運動論の系譜であると推測できます。

 

運動論は,一番ヶ瀬康子や真田是などです。

 

そのうち,生活権を起点に据えた実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないと論じたのは,一番ヶ瀬康子です。

 

4 孝橋正ーは,社会福祉の固有の機能を,個人とそれを取り巻く環境との間の不均衡を調整し,環境への適応を促すことと論じた。

 

固有という言葉が入っているので,固有論の系譜であると推測できます。

 

固有論を論じたのは,岡村重夫です。

 

5 一番ヶ瀬康子は,政策論よりも援助技術論を重視すべきと論じた。

 

一番ヶ瀬康子は,運動論の系譜の人です。

 

重視するのは,社会問題・生活問題の改善を求める運動です。

2025年1月14日火曜日

社会的ジレンマに関する出題は限られている

 国家試験に出題される社会的ジレンマの例は,ほとんど固定されています。


有名なものには限りがあるからなのか,絞り込んで出題した結果であるのかはわかりません。


とにかく,出題されているのは限られています。


・フリーライダー

・囚人のジレンマ

・共有地の悲劇


これらに加えて,選択的誘因が出題されています。


これらを押さえたところで,今日の問題です。


第31回・問題21 

次のうち,「フリーライダー」に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 他者からの矛盾した命令を受け取ることで身動きがとれない者

2 自分の利益を得るために他者を裏切ることを選択する者

3 他者との比較で剥奪感を抱いている者

4 自ら負担することなく集合財を享受する者

5 自分の効用を引き上げるために他者の効用を引き下げる者



フリーライダーを少しでも勉強していれば,正解できる問題です。

悩む余地がありません。


こういった問題で取りこぼすと合格が遠ざかります。


それでは,解説です。


1 他者からの矛盾した命令を受け取ることで身動きがとれない者


これは,ダブルバインド(二重拘束)です。


この選択肢のように,矛盾した明確な2つがあるとダブルバインドとしてわかりやすいですが,心理学的に言えば,言葉では「学校に無理して行かなくていいよ」と言いながら,その一方で「本当は学校に行ってほしい」というノンバーバル的なメッセージを送っているようなものもダブルバインドです。


2 自分の利益を得るために他者を裏切ることを選択する者


これは,囚人のジレンマです。


3 他者との比較で剥奪感を抱いている者


これは,相対的剥奪です。


4 自ら負担することなく集合財を享受する者


これが正解です。


水道代を払わずに水道を利用するといった例がフリーライダーです。


5 自分の効用を引き上げるために他者の効用を引き下げる者


これは,パレート効率性です。


財の分配に関してよく使われる用語です。この言葉自体はまだ国家試験には出題されたことがありません。


100万円という財源が決まっていて,これを10人に分配しているとします。


そうすると,10万円ずつ受け取ることができます。


これを20人に分配しようとすると,もともと分配されていた人は金額が減って不満足になります。


しかし,新しく分配を受ける人は,もともと0円だったものが,5万円が受け取れるので満足します。


パイが決まっている場合は,必ずこの問題が生じます。これをパレート効率性といいます。

2025年1月13日月曜日

コミュニティとアソシエーション

 コミュニティとアソシエーションは,今までに何度か取り上げてきたテーマです。


国家試験に出題されたものでそのまま表現すると,以下のようになります。


コミュニティは,地理的・文化的な地域性を結合要素とした社会集団です。


アソシエーションは,特定の関心を共同して追求するために設立された,人為的な機能集団です。


ヒラリーは,種々あるコミュニティの定義を整理し,コミュニティには「社会的相互作用」「空間の限定」「共通の絆」があることを見出しました。


しかし,通信・交通手段が発達する現代社会では,地域に限定されない新しいコミュニティが展開されています。


それをウェルマンは「コミュニティ開放論」と名付けています。


アソシエーションは,組織,会社などが分類され,家族もアソシエーションに含まれます。


テンニースが提唱したゲマインシャフト(本質意思に基づく集団)とゲゼルシャフト(選択意思に基づく集団)と重ね合わせると以下のようになります。


コミュニティ ≒ ゲマインシャフト

アソシエーション ≒ ゲゼルシャフト


自然科学系のものは,誰が見ても同じです。


例えば,1+1=2 というのは,世界共通でしょう。


それに対して,自然科学系ではないものは,誰かが提唱して初めて存在するので,「〇〇によると」というような条件をつけなければ,確実性に欠けることになります。


本当は「〇〇によると」をつけることが大切なのかもしれませんが,広く浸透しているものは,共通認識になっているので,要件をつけなくとも意味が通ります。


今日の問題は,いかにもそういった問題です。


第28回・問題19 社会集団に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 ゲマインシャフトとは,本質意思に基づく結合が解体した,近代以降の社会集団である。

2 インフォーマルグループとは,メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団である。

3 第一次集団とは,家族や親族などの第二次集団とは異なる,会社や学校などの社会集団である。

4 コミュニティとは,特定の関心を共同して追求するために設立された,人為的な機能集団である。

5 アソシエーションとは,地理的・文化的な地域性を結合要素とした社会集団である。


この中で,提唱者が明確ではないのは,インフォーマルグループでしょう。


それ以外は,以下のようになります。


1 テンニースが提唱したゲマインシャフトとは,本質意思に基づく結合が解体した,近代以降の社会集団である。

3 クーリーが提唱した第一次集団とは,家族や親族などの第二次集団とは異なる,会社や学校などの社会集団である。

4 マッキーバーが提唱したコミュニティとは,特定の関心を共同して追求するために設立された,人為的な機能集団である。

5 マッキーバーが提唱したアソシエーションとは,地理的・文化的な地域性を結合要素とした社会集団である。


人名は覚えないよりも覚えたほうがよいことに決まっていますが,特に社会学に関して言えば,大御所以外は覚える優先度はかなり低いです。


社会学は,極端なことを言えば,ほとんどすべての問題に「〇〇によると」をつけることになってしまいます。


問題を作る技術で言えば,人名を入れ替えるのは,かなり低俗なものだと言えます。


人名を覚えたければ覚えたらよいですし,覚えたくなければ覚えなくてもよいと言えるのがこの科目の特徴です。


それでは,解説です。


1 ゲマインシャフトとは,本質意思に基づく結合が解体した,近代以降の社会集団である。


ゲマインシャフトは,本質意思に基づく集団です。

太古の昔からおそらく存在します。


2 インフォーマルグループとは,メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団である。


これが正解です。


インフォーマルとは「非公式の」という意味です。フォーマル(公式の)にインをつけて否定形にしたものです。


3 第一次集団とは,家族や親族などの第二次集団とは異なる,会社や学校などの社会集団である。


第一次集団は,仲間などの対面的な関係の集団です。

第二次集団は,会社や学校など非対面的な集団です。


4 コミュニティとは,特定の関心を共同して追求するために設立された,人為的な機能集団である。

5 アソシエーションとは,地理的・文化的な地域性を結合要素とした社会集団である。


この2つは,コミュニティとアソシエーションを入れ替えたものです。

2025年1月12日日曜日

社会学で絶対に覚えたいテンニース

 「社会学と社会システム」は,現代問題なども出題されるので,つかみどころがないように感じるかもしれません。


実は国試中で最も難しいと思える問題が出題されるのがこの科目です。

人名や歴史は覚えるのが苦手だと感じる人もいるかもしれません。

しかし,これらは出題ポイントが決まっているので,しっかり覚えれば確実に得点源になります。



<テンニースの出題ポイント>


ゲマインシャフトとゲゼルシャフト

たったこれだけです。

旧カリ時代にさかのぼってもたったこれだけしかありません。

しかし,いやな感じがするのは,テンニース,ゲマインシャフト,ゲゼルシャフト,いずれも聞き慣れないドイツ語だからでしょう。


ゲマインシャフト

愛情などの本質意志で結びついた社会です。血縁による家族,地縁による村落,友情による(古代)都市などで,前近代社会です。


ゲゼルシャフト

目的を達成するための打算による選択意志で結びついた社会です。結社,大都市などで近代社会です。

社会進化では,ゲマインシャフトからゲゼルシャフトに進化するととらえます。

社会集団としては,マッキーバーが提唱した

コミュニティ(共同体)≒ゲマインシャフト
アソシエーション(結社など)≒ゲゼルシャフト
に対応します。

しかし,イコールではないのは,マッキーバーは,家族はアソシエーションに分類したからです。

それでは,テンニースの問題を確認しましょう。

■テンニース(Tonnies,F.)は,どのような意志により人々が結合するかをとらえようとし,本質意志に基づく基礎社会から選択意志に基づく派生社会へと変化すると考えた。 (第22回・問題17・選択肢4)

■テンニース(Tonnies,F.)は,全体意志に基づく第一次集団が解体し,一般意志に基づく第二次集団が優越するようになると考えた。 (第26回・問題16・選択肢3)

テンニースが出題されたのは2回ですが,旧カリ時代も含めると8回も出題されています。

しかも出題ポイントは,
本質意志で結びついたゲマインシャフト → 選択意志で結びついたゲゼルシャフト

これだけ覚えていれば,対応できます。

それでは,解説します。


■テンニース(Tonnies,F.)は,どのような意志により人々が結合するかをとらえようとし,本質意志に基づく基礎社会から選択意志に基づく派生社会へと変化すると考えた。

テンニースが提唱したのは,ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへです。
よって間違いです。


■テンニース(Tonnies,F.)は,全体意志に基づく第一次集団が解体し,一般意志に基づく第二次集団が優越するようになると考えた。 

テンニースが提唱したのは,ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへです。
よって間違いです。

2025年1月11日土曜日

心理療法の出題確率は100%

社会福祉士の国家試験の出題範囲は広いので,毎年出題されるようなものはほとんどありません。


その中で,心理療法はこれまでは毎年必ず出題されていた数少ないものの一つです。


つまり,出題確率は100%!

とはいって,これからも毎年出題されるとは限らないのが国家試験です。


しかし,出るか出ないかわからないものに時間をかけるよりも,こういったものを確実に正解できるようにすることはとても大切です。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題14 

心理療法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 自律訓練法は,筋肉を漸進的に弛緩させる技法である。

2 認知行動療法は,転移関係についての解釈と洞察が重要である。

3 家族療法のシステムズ・アプローチでは,家族間の関係性の悪循環を変化させる。

4 来談者中心療法は,夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。

5 精神分析療法は自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。


 

心理療法は,必ず出題されると言っても,難易度が高い問題が多いです。

 


なぜなら,少しずつ表現を変えて出題されるからです。


丸暗記の学習では,おそらくこういった問題が出題された時,対応不能です。


自分なりに,おおよそこういうことだということをつかんでおくことが必要です。

 


暗記を中心に勉強している人は,表現を変えられると対応が難しいのです。

 


さて,今日の問題の正解は,選択肢3です。


3 家族療法のシステムズ・アプローチでは,家族間の関係性の悪循環を変化させる。


 家族メンバーのうち,問題のある人は,「IP」と言います。


IPに目が向きがちですが,ほかのメンバーに原因があることもあります。


家族システムズ・アプローチではIPにだけ働きかけるものではなく,家族全体にアプローチします。


そのことによって,家族というシステムが変化を起こします。


システムというと,機械的なイメージを持ちがちですが,システムは,変化・成長するものだととらえるのが特徴です。


機械的なイメージだと,そのシステムは初期条件がその後を拘束するものになってしまいます。


理解を間違えないようにしましょう。


 それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。


1 自律訓練法は,筋肉を漸進的に弛緩させる技法である。


 自律訓練法は,一種の催眠療法で,受動的注意集中という態度を通してリラックス状態になるようにするものです。


 2 認知行動療法は,転移関係についての解釈と洞察が重要である。


 認知行動療法は,自己認知の変容のために認知再構成法を用います。

学習理論を用いて,認知を変えていきます。


4 来談者中心療法は,夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。


 来談者中心療法の基本的態度は,「共感的理解」,「無条件的肯定的関心」,「自己一致」でかかわります。


5 精神分析療法は自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。


精神分析療法は,無意識の領域に働きかけます。

2025年1月10日金曜日

アルマ・アタ宣言とオタワ憲章

 「健康の社会的決定要因」という言葉を知っていますか?


健康でいることは,社会の状態に大きな影響を受けます。


経済格差と同じように健康格差もあります。

健康は自己管理の側面もありますが,社会環境に大きな影響を受けています。


1978年,当時のソビエト連邦のアルマ・アタという都市で,WHO(世界保健機関)によって「プライマリヘルスケアに関する国際会議」が開催されました。


「すべての人々に健康を」を達成するものが「プライマリヘルスケア」という考え方です。


この会議の最終日にプライマリヘルスケアの活動を打ち出したアルマ・アタ宣言が採択されました。


具体的な活動内容として,


・健康教育

・安全な水の供給とその基本的環境

・栄養の供給と栄養状態の改善

・感染症防止


などが掲げられました。


もともとは「2000年までにすべての人々に健康を」を目標にしていましたが,40年以上経った今でもそのまま活きる内容です。


健康を「基本的人権」であるととらえていることが特徴です。


1986年には,カナダのオタワ市でWHOの「第1回ヘルスプロモーション世界会議」が開催されました。


この会議の成果として「オタワ憲章」が制定されています。


ヘルスプロモーションは,「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし,改善することができるようにするプロセス」と定義されます。


この定義は,国家試験では出題されたことがありませんが,2005のバンコク憲章で採択されたものです。


そのため,バンコク憲章は覚える必要はないでしょう。


覚えるべきなのは,今日のテーマであるアルマ・アタ宣言とオタワ憲章です。


それぞれの内容が詳しく問われたことがないので,覚えるべきポイントは


アルマ・アタ宣言 → プライマリヘルスケア


オタワ憲章 → ヘルスプロモーション


これでとりあえず十分でしょう。


第30回・問題3 

世界保健機関(WHO)の活動に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 アルマ・アタ宣言では,プライマリヘルスケアの重要性が示された。

2 リハビリテーションという言葉を初めて用いた。

3 憲章前文の中で,健康とは,身体的,精神的,社会的,政治的に良好な状態であると定義した。

4 国際疾病分類であるICIDHを策定した。

5 健康寿命とは,健康上の問題で制限されることなく仕事ができる期間と定義した。


勉強不足の人が正解するのはなかなか難しい問題でしょう。


正解は,選択肢1です。

1 アルマ・アタ宣言では,プライマリヘルスケアの重要性が示された。


アルマ・アタ宣言といえば,プライマリヘルスケアです。


内容については問われていないことに注目です。

勉強をしっかりした人には,迷うことなく正解できる問題でしょう。

もし,迷うことがあったら,勉強方法を見直すことが必要です。


それではほかの選択肢も確認します。


2 リハビリテーションという言葉を初めて用いた。


リハビリテーションという言葉は,結構古いです。


一般化したのは第1次世界大戦後のことです。


第1次世界大戦は,戦闘が長期にわたったことから傷ついた人が多く,その人たちの社会復帰のためにリハビリテーションが行われました。


3 憲章前文の中で,健康とは,身体的,精神的,社会的,政治的に良好な状態であると定義した。


健康の定義は,「身体的,精神的,社会的に完全に良好の状態」です。


4 国際疾病分類であるICIDHを策定した。


国際疾病分類は,ICDです。


ICIDHは,国際障害分類です。


うっかりしたら,間違いそうです。


5 健康寿命とは,健康上の問題で制限されることなく仕事ができる期間と定義した。


健康寿命とは,病気や障害のために日常生活に制限を受けない期間のことをいいます。


仕事ができる期間ではありません。

2025年1月9日木曜日

過去問の類似問題

今回は,趣向を変えて,第30回の問題を中心として,その類似問題を見ていきたいと思います。


第30回・問題1 

標準的な身体の成長と発達に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 生後2か月までに,首がすわる。

2 生後3か月までに,座位保持ができる。

3 生後6か月までに,乳歯が生えそろう。

4 生後6か月までに,大泉門は閉鎖する。

5 生後18か月までに,一人で歩くことができる。


正解は5。


第22回・問題1 

身体の正常な成長・発達に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 大泉門は,生後6か月までに自然に閉鎖する。

2 すべての原始反射は,生下から認められ幼児期には消失する。

3 受精後8週目を過ぎると,人としての基本的生理機能を担う器官の形成期に入る。

4 学童期から青年期における顕著な身長の伸びには,成長ホルモンが関与している。

5 脳や感覚器官は,生後から成人まで穏やかなS字カーブを描いて成長する。


正解は4。

選択肢5は,第36回の問題にも出題されていました。


第30回・問題2 

人体の各器官に関する次の記述のうち,解剖学的に正常なものを1つ選びなさい。

1 頸椎は12個の骨で構成される。

2 頸動脈は体表から触知できる。

3 大腸は空腸と回腸に分けられる。

4 右肺は2つの肺葉からなる。

5 胃は横隔膜の上にある。


正解は2。頸動脈に関する出題は過去になし。


第22回・問題3 

心身機能と身体構造の概要に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 心臓の左の心房と心室の間にある弁を三尖弁,右の心房と心室の間にある弁を僧帽弁という。

2 健康な成人において,血液細胞を作り出しているのは骨髄である。

3 脳幹は,上部から橋・中脳・延髄の順に並んでいる。

4 肺は左右2つからなり,左は3つ,右は2つの肺葉に分かれている。

5 細胞性免疫は,主にBリンパ球が関与する免疫である。


正解は2。

選択肢5の免疫は近年の出題がありませんが,そのほかのものは,何度も出題されているものです。


第30回・問題3 

世界保健機関(WHO)の活動に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 アルマ・アタ宣言では,プライマリヘルスケアの重要性が示された。

2 リハビリテーションという言葉を初めて用いた。

3 憲章前文の中で,健康とは,身体的,精神的,社会的,政治的に良好な状態であると定義した。

4 国際疾病分類であるICIDHを策定した。

5 健康寿命とは,健康上の問題で制限されることなく仕事ができる期間と定義した。


正解は5。


第26回・問題3 

健康に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 健康寿命とは,介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに自立して生活できる期間をいう。

2 WHO憲章では,「健康とは,身体的,精神的,社会的,そしてスピリチュアル的に完全に良好な状態をいう」と定義された。

3 集団の健康を図る指標に罹患率は用いられない。

4 プライマリ・ヘルスケアの理念は,一次医療(フライマリケア)による治療で健康を改善すべきという考えである。

5 「健康日本21」(第二次)の基本的な方針は,活力ある社会の実現のために高齢者の死亡率を減少させることである。


正解は1。


第30回・問題4 

高齢者に多くみられる病態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 脱水になると,脈拍が少なくなる。

2 老人性難聴では,低音領域から聴力が低下する。

3 甲状腺機能低下症は,浮腫の原因となる。

4 栄養過多は,褥瘡の発生要因になる。

5 葉酸が不足すると,味覚障害が生じる。


正解は3。甲状腺機能低下症に関する出題は過去になし。ちょっと難しいかも。


第29回・問題2 

加齢に伴う生理機能の変化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 体重に占める水分の割合は増加する。

2 収縮期血圧と拡張期血圧の差は縮小する。

3 聴力は高周波音域から低下する。

4 肺活量は維持される。

5 流動性知能は維持される。


正解は3。



第30回・問題5 

肢体不自由となる疾患に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは,呼吸困難が初発症状である。

2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動失調を主体とする変性疾患である。

3 脊髄損傷では,排尿障害が起こりやすい。

4 分娩時の高酸素血症は,脳性麻痺の原因となる。

5 遺伝性の脊髄小脳変性症では,歩行障害は起こらない。


正解は3。

選択肢4は,高酸素ではなく,低酸素。


第22回・問題5 

神経・筋疾患に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 筋萎縮性側索硬化症では,多くの場合,知的能力は障害されない。

2 パーキンソン病では,脳内のドーパミンという神経伝達物質が増加している。

3 大多数のてんかん発作は,服薬によっても抑制できない。

4 小脳疾患では,自らの意志によって身体を動かすことができない麻痺症状を生じる。

5 デュシェンヌ型進行性筋ジストロフィーは,女性に発症する遺伝性疾患である。


正解は1。


第30回・問題6 

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,「統合失調症」と診断するための5つの症状に含まれているものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。

1 まとまりのない発語

2 観念奔逸

3 強迫行為

4 抑うつ気分

5 不眠または過眠


正解は1。


第27回・問題6 

精神疾患の診断・統計マニュアルDSM-5に基づく統合失調症の診断に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 妄想や幻覚は,陰性症状である。

2 まとまりのない会話あるいは発語は,症状の一つである。

3 症状は,発症から2週間で消失する。

4 仕事,対人関係,自己管理などの面での機能が低下することはない。

5 原因として,乱用薬物の摂取がある。


正解は2。


第30回・問題7 

廃用症候群に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 関節拘縮は起こりにくい。

2 筋の萎縮は起こりにくい。

3 高齢者では起こりにくい。

4 起立性低血圧が起こりやすい。

5 急性期リハビリテーションで離床を早期から行うことで起こりやすい。


正解は4

これは経験的にわかるかも。


第16回・問題74 

高齢者の生活不活発病の症状について,誤っているものを一つ選びなさい。

1 起立性低血圧 

2 聴覚障害

3 尿失禁

4 筋肉の委縮 

5 関節の拘縮


正解2。


初めて出題されているものと,繰り返し出題されているものがあることがわかると思います。


初めて出題されるものでも,正解できるのが国家試験です。


焦りが高まる時期ですが,参考書に書かれている内容の範囲をしっかり覚えていけば,必ず合格できます。


2025年1月8日水曜日

個人情報保護法の規定

 

今回は,個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)です。

この法律に示されている各種定義を確認したいと思います。

 

個人情報

生存する個人に関する情報

個人識別符号

特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字,番号,記号その他の符号。

個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ,又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され,若しくは電磁的方式により記録された文字,番号,記号その他の符号。

要配慮個人情報

本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの。

仮名加工情報

他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報。

匿名加工情報

特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報。

個人情報取扱事業者

個人情報データベース等を事業の用に供している者。

〈対象外〉

・国の機関

・地方公共団体

・独立行政法人等

・地方独立行政法人

なお,法ができた時は,個人情報取扱事業者には,規模の小さい事業者が除かれていましたが,今は規模の大小にはかかわりはなく,個人情報取扱事業者となり,この法律の対象となります。

 

個人情報取扱事業者の義務

個人情報を取り扱うに当たっては,利用目的をできる限り特定しなければならない。

利用目的を変更する場合には,変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題116

次の記述のうち,個人情報の保護に関する法律の内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 個人情報取扱事業者には,国・地方公共団体が含まれる。

2 個人情報の取扱いが5,000人以下の事業者は,法律の適用対象外である。

3 個人情報には,個人の身体的な特徴に関する情報が含まれる。

4 認定個人情報保護団体とは,市町村の認定を受けた民間団体である。

5 要配慮個人情報とは,本人が配慮を申し立てた個人情報のことである。

 

 

選択肢2は,中途半端な知識だと間違えます。

 

それでは,解説です。

 

1 個人情報取扱事業者には,国・地方公共団体が含まれる。

 

個人情報取扱事業者には,国・地方公共団体が含まれません

 

これは,今までに何度も出題されているのでしっかり覚えておきたいです。

 

2 個人情報の取扱いが5,000人以下の事業者は,法律の適用対象外である。

 

前説に書いたように,現在はこの規定はありません。

 

3 個人情報には,個人の身体的な特徴に関する情報が含まれる。

 

これが正解です。

 

4 認定個人情報保護団体とは,市町村の認定を受けた民間団体である。

 

認定個人情報保護団体が認定を受けるのは,内閣府にある個人情報保護委員会です。

 

なお,認定個人情報保護団体は,本人その他の関係者から対象事業者の個人情報等の取扱いに関する苦情について解決の申出があったとき,相談,助言,調査などを通して,解決を求める団体です。

 

 

5 要配慮個人情報とは,本人が配慮を申し立てた個人情報のことである。

 

要配慮個人情報とは,本人の人種,信条,社会的身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別,偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものです。


2025年1月7日火曜日

サービスマネジメント論による施設運営~無形性と同時性

 今回は,サービスマネジメント論,つまりサービスの質管理を取り上げていきたいと思います。


それでは今日の問題です。

第24回・問題11 

福祉サービスの管理運営を考える上で基礎となるサービスマネジメント論に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 サービスにとって重要な要素は,人と人とが接する部分であり,施設・設備などの物的要素はサービス水準には影響を与えない。

2 サービスが集合的に提供されていても,同じ場にいる他の利用者が,そのサービスの水準に影響を与える要素にはなりにくい。

3 サービスは,無形性や同時性といった特徴があり,有形の製品と比較して,利用者が質の評価を行うのは難しい。

4 サービスの提供者が適切なスキルを有していれば,状況が変わっても,提供されるサービスの水準が変動することはない。

5 サービスの質を評価する次元のなかに,利用者やその家族の満足を含めることは妥当ではない。

まずサービスマネジメント論という言葉で,ペースが狂わされてはいけません。

サービスマネジメント論は勉強したことがないと思うと焦ります。
しかし,内容は落ち着いて考えることで答えは見えてきます。

国試で焦ることは絶対に避けなければなりません。

この問題の答えは,

3 サービスは,無形性や同時性といった特徴があり,有形の製品と比較して,利用者が質の評価を行うのは難しい。

無形性と同時性というところに引っ掛けポイントはありません。
それもかかわらず,ここが違っているのではないのか,というと間違えます。
国試問題は多くの場合,それほど複雑には作られません。

無形性とは,サービスに形がないということです。
同時性とは,サービスは提供と消費は同時に行われるという意味です。

言われてみれば,「あぁ,そういうことか」と思うでしょう。
しかし,国試会場では教えてくれる人はいません。
すべて自分で考えないといけません。

他の選択肢も見てみましょう。

1 サービスにとって重要な要素は,人と人とが接する部分であり,施設・設備などの物的要素はサービス水準には影響を与えない。

こういったものは,ほかのものと置き換えて考えてみるとよいです。

例えばホテル。
汚いホテルよりも清潔なホテルの方が気持ちが良いです。

例えばレストラン。
汚いレストランよりも清潔なレストラン。

サービスの受け手には,「事前期待」と呼ばれるものがあります。事前期待とは,サービスに対する期待度のことです。

事前期待が高いと満足する水準は高まり,事前期待が低いと満足する水準が低くなります。


2 サービスが集合的に提供されていても,同じ場にいる他の利用者が,そのサービスの水準に影響を与える要素にはなりにくい。

国家試験の会場は,しーんと静まりかえっていたり,ほかの人が発する音が大きく聞こえたり,普段にはない環境の中で受験しなければなりません。

ほかの人の影響は大きいです。サービスも同じです。


4 サービスの提供者が適切なスキルを有していれば,状況が変わっても,提供されるサービスの水準が変動することはない。

人的サービスは,サービスの受け手による協力も大きな影響を与えます。


5 サービスの質を評価する次元のなかに,利用者やその家族の満足を含めることは妥当ではない。

サービスの質の評価には,サービスの受け手の満足は重要です。


<今日の一言>

国試会場では,調べ物ができません。
ヒントを教えてくれる人もいません。
すべて自分で考えなければなりません。

国試には,知恵が必要です。
知識は必要十分条件ではありません。

勉強する時も知恵をつけるための訓練が必要です。
知らないものは,自分で考えてみてから,調べると良いです。

大体の意味さえ合っていれば,OKです。

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