男女雇用機会均等法では,性別を理由とする差別を禁止しています。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練 二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの 三 労働者の職種及び雇用形態の変更 四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新 |
それ以外に間接差別も禁止しています。
間接差別とは
性別以外の事由を要件とする措置であって,他の性の構成員と比較して,一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを合理的な理由がないときに講ずること。 |
〈間接差別の例〉 ・労働者の募集又は採用に当たって,労働者の身長,体重又は体力を要件とするもの ・総合職の労働者の募集又は採用に当たって,転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること ・労働者の昇進に当たり,転勤の経験があることを要件とすること |
上記の場合であっても,合理的な理由がある場合は,間接差別とはなりません。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題31
男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は,女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために,事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は,理由のいかんを問わず,全国転勤を要件とすることは差支えないとされている。
4 育児休業を取得できるのは,期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
5 女性労働者が出産した場合,その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。
今日のテーマは,選択肢3に出題されています。
それでは,解説です。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は,女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
女性の活躍に関する一般事業主行動計画は,女性活躍推進法で規定されているものです。
常時雇用する労働者数が101人以上の事業主には,策定が義務づけられています。
努力義務ではありません。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために,事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
これが正解です。
男女雇用機会均等法に規定されています。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は,理由のいかんを問わず,全国転勤を要件とすることは差支えないとされている。
前説のように,・総合職の労働者の募集又は採用に当たって,転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすることは,間接差別になり,禁止されます。
ただし合理的な理由があれば認められます。
〈合理的な理由の例〉
・広域にわたり展開する支店,支社等があり,広域にわたり展開する計画がある場合。
4 育児休業を取得できるのは,期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
育児休業は,有期契約の労働者でも取得できます。
2022年に,申出時点で入社1年以上という要件も原則として廃止されています。
5 女性労働者が出産した場合,その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。
このような規定はありません。