2017年7月29日土曜日

しっかり勉強することの重要性

国試では,頻出の人物にもかかわらず,見たことのない文になっていることがあります。

「自分が勉強不足だったのか」と不安になる瞬間でしょう

しかし・・・

「この人はこんなことを言ったのかな」と思うものは,多くの場合は間違い選択肢です。


しっかり参考書を勉強してきた方はこの感覚を信じてください。


たとえば・・・ティトマス(第25回・問題22・選択肢5

ティトマス(TitmussR.)の「福祉の社会的分業(Social Division of Welfare)」の考え方によれば,福祉制度は,政府部門・非営利部門,営利部門,インフォーマル部門の四部門から構成される。

ティトマスのポイントは

(1)3つのモデル

(2)普遍主義の上に選別主義がある

という2つです。

この問題文を見て「こんなことをティトマスは述べたのかな?」と思ってしまったことをよく覚えています。


しかしやっぱりティトマスはそんなことは述べておらず,よく調べてみると,4部門について論じたのは「ウォルフェンデン(ウルフェンデン)報告」でした。

本試験では,どれだけ勉強しても,勉強していないが出題されます。

しかし,多くの場合,その中にヒントを織り込んでいます。

そのヒントに気がつくためには,とにかく落ち着いて試験に臨むことです。


今の国試は,しっかり勉強した人は得点できるように問題が作成されています。


国試はいかにも難しそうに見えるように,予防線を張って作問しています。


それは間違いとなる選択肢を「いかに正しいように見せるか」にかかっています。


のパターンは見えていますので,試験委員を逆手にとることはできそうです。


国試は,決して怖くはないです。



それでは,今日の問題です。


第26回・問題132 


地域密着型サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。



2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。



3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。



4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。



5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。




地域密着型サービスは,2005年の法改正で創設されたものです。

その前からあった「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は,地域密着型サービスとなりました。


地域密着型サービスは,従来型と違い小規模の事業所であり,指定は市町村が行います。

基本的には,その市町村の住民が対象となるものです。

それでは詳しく見ていきましょう。



1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。



先述のように地域密着型サービスはその市町村の住民を対象としています。そのため,住所地特例がありません。

しかし,完全に利用できないかというと,実はそうでもなく,市町村同士の同意があれば利用可能です。

よって×。



2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。




この問題はおそらく,市町村特別給付と混同させるための出題のように思います。


市町村特別給付には,第1号被保険者の保険料だけが使われます。


これは市町村が把握できるのは第1号被保険者の保険料のみでせあるという事情があります。

地域密着型サービスは,市町村が指定するサービスですが,市町村特別給付と違って,介護保険の基準内サービスです。


そのため。第2号被保険者の保険料も使われます。

よって×。


3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。




地域密着型サービスは,市町村が指定するするので,ある程度の自由が認められています。

基準を超えてしまうと,上乗せサービスになり市町村特別給付の範ちゅうになってしまいますが,それを超えない範囲で定めることができるようになっています。

よって正解。


 4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。




いくつも列記される選択肢は,その中に間違いを織り込むことができるので,間違い選択肢になりやすくなります。

この問題では・・・


通所介護

短期入所

訪問介護

訪問リハビリテーション

の4つがあります。

落ち着いて見てみる必要があります。

列記されたものの中で小規模多機能型居宅介護のサービスに含まれないのは訪問リハビリテーションです。

よって×。



5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。




定期巡回・随時対応型訪問介護看護は,夜間に限定されるものではありません。


夜間に巡回訪問するのは,夜間対応型訪問介護です。


よって×。


国試は,日本語で出題されます。


落ち着いて問題文を読めば,知識が足りなくても,分かるものもあります。



自分を信じましょう。


信じるものは救われる!! 

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