2022年1月30日日曜日

ICF(国際生活機能分類)で用いられる用語

ICFは,それまでのICIDHに変わって用いられているものです。

 

まずは,用語を確認します。

  

心身機能

身体系の生理的機能(心理的機能を含む)

身体構造

身体の解剖学的部分

機能障害

心身機能または身体構造上の問題

活動

課題や行為の個人による遂行のこと

参加

生活・人生場面への関わりのこと

活動制限

個人が活動を行うときに生じる難しさのこと

参加制約

個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと

環境因子

人々が生活し,人生を送っている物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のこと

 

背景因子には,環境因子のほかに個人因子がありますが,ICFでは,社会的・文化的に差があるため,定義づけしていません。しかし,それまでの人生の経験など個人的なものであることには間違いありません。

 

これらのうち,「心身機能・身体構造」「参加」「活動」は,「生活機能」という概念でまとめられています。

 

それでは,今日の問題です。

 

第31回・問題3 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活機能とは,心身機能,身体構造及び活動の三つから構成される。

2 活動は,能力と実行状況で評価される。

3 活動とは,生活や人生場面への関わりのことである。

4 個人因子には,促進因子と阻害因子がある。

5 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

 

「社会福祉士の国家試験は,日本語の問題である」と豪語する人がいます。

 

確かにそういった問題もありますが,それだけでは絶対に合格することはできません。

 

こういった問題を見てもらうとわかりますが,確実な知識が求められます。

 

今の時点(国家試験の1週間前)に,この問題が解ける人は,もうほとんど仕上がってきていると言えます。

 

自信をもって良いです。

 

 

さて,解説です。ポイントは,「活動」と「参加」を整理して覚えていることです。

 

1 生活機能とは,心身機能,身体構造及び活動の三つから構成される。

 

「生活機能」は3つあるという覚え方では間違います。

 

生活機能は,「心身機能・身体構造」「参加」「活動」で構成されています。

 

ここでは示しませんが,ここで間違った人は,ICFの図をもう一度目に焼き付けておく必要がありそうです。

 

2 活動は,能力と実行状況で評価される。

 

これが正解です。

 

この問題は,かなり難しいです。なぜなら,今なら評価はどのようになされるか,参考書などに書いてあるので勉強できますが,この当時はおそらく記述がなかったと思います。

 

ほかの選択肢を消去することで結果的にこの選択肢が残ります。

これが国家試験の怖いところです。

 

国家試験がとても難しく感じるのは,こういったタイプの問題が出題されるからです。解答速報で答えを確認するまで正解できたかどうか実感できません。

 

3 活動とは,生活や人生場面への関わりのことである。

 

活動は,「課題や行為の個人による遂行のこと」です。

 

今まで何度も何度も繰り返して出題されてきたものです。

 

活動と参加の区別が大切であることを教えてくれます。

 

4 個人因子には,促進因子と阻害因子がある。

 

個人因子には,促進因子も阻害因子もありません。個人因子は,その人そのものなので,こういったものがあると,その人を否定することにつながります。

 

促進因子と阻害因子があるのは,環境因子です。

 

 

5 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

 

参加制約は,「個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと」です。

 

「個人が活動を行うときに生じる難しさのこと」は,活動制限です。

 

〈今日の一言〉

 

国家試験は,まったく同じ表現で出題されることは,ほとんどありません。

 

しかし,ICFの用語は,厚生労働省が用いている用語がそのまま出題されています。

 

特に「活動」と「参加」は,区別しておくことが大切です。それがうまくできないことがそれぞれ「活動制限」「参加制約」となります。

2022年1月29日土曜日

脊髄は中枢神経,脊髄神経は末梢神経

中枢神経とは,多くの神経が集まっている神経です。


中枢神経には,大脳,間脳,小脳,脳幹,延髄,脊髄があります。


脳幹は,中脳,橋(きょう),延髄の順に並んでおり,その先に脊髄があります。


脳幹の並びは,覚えるのが大変ですが,中脳と延髄の橋渡しをする「橋」,つまり,この3つの中では,「橋」が真ん中にあると覚えるとばっちりです。


末梢神経は,中枢神経から全身に分かれて分布する神経です。


末梢神経には,脳神経と脊髄神経があります。


脳は,中枢神経

脳神経は,末梢神経


脊髄は,中枢神経

脊髄神経は,末梢神経


それでは今日の問題です。


第31回・問題2 体の各器官の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 副交感神経は,消化管の運動を亢進する。

2 脳幹は,上部から延髓・中脳・橋の順で並んでいる。

3 大脳の側頭葉は,視覚に関わる。

4 脊髓神経は,中枢神経である。

5 三半規管は,外耳と中耳の境目に位置する。


この問題が出題された当時,とても「やられた~」という気持ちがしました。


というのは,脊髄は,中枢神経ですが,脊髄神経は,末梢神経だからです。


脳神経外科の医師にこの問題を見てもらったことがありますが,「こんな引っ掛けを出して何の意味があるのだろう」と頭をかしげていました。


社会福祉士,精神保健福祉士は,医療スタッフではないので,人体の構造として出題するとすれば,このような出題のしかたになってしまうのかもしれません。


それでは,解説です。


1 副交感神経は,消化管の運動を亢進する。


交感神経と副交感神経は,同時に活発に活動することがありません。


交感神経が活発化すれば,副交感神経は鎮静化します。

交感神経が沈静化すれば,副交感神経は活発化します。


人が活動しているときは,交感神経は活発化します。

人が休んでいるときは,副交感神経が活発化します。


交感神経は,動物学的に言えば,敵を発見したとき,攻撃したり,逃げたりするために血圧を高めて,運動神経を活発化させます。


副交感神経は,体を休めているときに活発化して,消化管などに作用します。攻撃するときや逃げるときに,悠長に消化しているわけにはいかないからでしょう。


人の体はなんと面白いことでしょう。チコちゃんなら,どのように教えてくれるか気になるところです。

ということで「副交感神経は,消化管の運動を亢進する」は正解です。



2 脳幹は,上部から延髓・中脳・橋の順で並んでいる。


脳幹の順番は,中脳,橋,延髄の順で並んでいます。

中脳と延髄の橋渡しをする「橋」と覚えます。


3 大脳の側頭葉は,視覚に関わる。


側頭葉は,聴覚にかかわります。耳に近いから聴覚と覚えます。

後頭葉が視覚にかかわっています。


4 脊髓神経は,中枢神経である。


脊髄神経は,末梢神経です。

脊髄が,中枢神経です。


この問題が出題された当時,この選択肢を選んでしまった人は多かったのではないかと思います。


5 三半規管は,外耳と中耳の境目に位置する。


三半規管がうまく働かないとめまいを生じます。

ここからイメージできる人もいるかもしれませんが,三半規管が位置するのは,中耳です。

2022年1月28日金曜日

エリクソンの発達理論

エリクソンの発達理論は,人生を8つの段階に分けて,それぞれの発達課題を設定しているのが特徴です。

 

エリクソンによる発達段階の発達課題vs危機

乳児期(0~1歳) 基本的信頼 vs 基本的不信

幼児前期(1~3歳) 自立性 vs 恥・疑惑

幼児後期(3~6歳) 自主性 vs 罪悪感

児童期(7~11歳) 勤勉性 vs 劣等感

青年期(12~20歳) 同一性獲得vs 同一性拡散

前成人期(20~30歳) 親密 vs 孤立

成人期(30~65歳) 世代性 vs 停滞

老年期(65歳以降) 統合 vs 絶望

 

訳し方によって,表現が異なるものもありますが,おおよそのことだけを理解していれば何とかなります。

 

それでは,今日の問題です。

 

 

第31回・問題1 次の年齢のうち,エリクソン(Erikson,E.)の発達段階に関する理論にいう「アイデンティティ」が発達課題となる年齢として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1  3歳

2  7歳

3 15歳

4 30歳

5 50歳

 

発達段階がわからなくても,落ち着いて考えると正解できそうな感じがします。

 

正解は,選択肢3です。つまり15歳です。

 

15歳は,日本で言えば中学3年生です。

 

自分が何者なのか,何をすべきなのか,どこに向かおうとしているのか,いろいろ悩む時期です。

これがアイデンティティ(同一性)です。

 

かつて校内暴力が激しかった時代があります。

そんな時代に,尾崎豊さんは「15の夜」という歌を作りました。

 

この歌の歌詞を改めて見てみると,アイデンティティを確立するために,もがいている様子が描かれています。

 

少年の犯罪事件が減少している昨今,「盗んだバイクで走り出す」なんて歌詞を理解できる若者はほとんどいないかもしれませんが,時代を映し出した名曲だと思います。(盗みを肯定しているわけではありません)

 

エリクソンの8つの発達課題で確実に覚えておきたいのが,アイデンティティです。

 

アイデンティティが出題されたら,「15の夜」を思い出すと良いと思います。たとえが古いですね。

 

ということで,今日から第31回国試問題に取り組んでいきたいと思います。

改めましてどうぞよろしくお願いします。

2022年1月27日木曜日

最後にしなくても良いこと

学校の先生や試験対策の先生は,「〇〇白書に目を通しておきましょう」と言います。


こういった先生方は,その分野に詳しいので,白書や報告書を見ても,どこに着目すれば良いかわかっていることでしょう。


しかし,そうでない人は,1回くらい目を通したところで,頭に残るのはとても難しいことのように思います。

そんなに簡単に頭に残せるなら,それ以外の勉強にこれほど苦しむことはないでしょう。


ということで,最後にしなくても良いことは,これから新たに白書や報告書に目を通すことです。


目を通したところで,その問題が出題されて正解できるようには思えないです。

そう思いませんか?


もし,どこが出るのか知っているなら,白書に目を通しなさいではなく,白書のどこどこを見なさい,と具体的に伝えてもらいたいものです。


「目を通す」は,それだけ重要なことです。


試験が終わってその白書等が本当に出題されたら「ほら,言ったように白書が出た」とその先生は満足することでしょう。


そんな満足のために振り回されたくはありません。


これからでも目を通しても良いと思われるのは,出題頻度が極めて高く,ボリュームの少ないものです。


例えば,

成年後見関係事件の概況

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2020/20210312koukengaikyou-r2.pdf


国民医療費の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/19/dl/data.pdf


といったものでしょう。


しかし,これらでさえ,今までの勉強で学んできたものです。


ということで,やっぱり白書や報告書は目を通すことは,これからの限られた時間の中で行う優先度は低いと言えます。


これからの時間で行いたいのは,出題頻度が高いものを確実に覚えることです。

例えば,民生費,社会保障給付費などです。


民生費

https://fukufuku21.blogspot.com/2021/10/blog-post_16.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2020/12/blog-post_9.html


社会保障給付費

https://fukufuku21.blogspot.com/2021/10/blog-post_21.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/11/blog-post_29.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/07/889.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2020/12/blog-post_15.html


ほかにもいっぱいありますが,ここだけに時間をかけるはもったいないので,このくらいでやめておきたいと思います。


しかし,こういった出題頻度か高いところを覚えているか。そうでないのかが,最後の最後に大きな差となることだけは覚えていてほしいと思います。

2022年1月26日水曜日

最後にやるべきこと

国家試験が近くなってくると,焦りがますます高まってきます。

だからといって,何か特別な解消法があるわけではありません。

 

今までの勉強をひたすら繰り返すのみです。

 

この学習部屋もネット情報の一つですが,ネットやSNSで「〇〇が出そうだ」という情報を集めるのは,時間がもったいないように思います。

 

それがプラス1点になることもあるかもしれませんが,スタンダードなものを押さえていくほうが,国家試験に出る確率は高いと言えます。

 

たとえば,相談援助の「様々なアプローチ」,心理学の「心理療法」などがそうです。

 

これらが必ず次の国家試験に出題されるとは限りませんが,少なくとも第22回国家試験以降では,毎回必ず出題されています。


 相談援助の「様々なアプローチ」

アプローチ名

援助方法

・心理社会的アプローチ

「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていく。

・機能的アプローチ

ワーカーの所属する機関の機能を活用して,クライエントの意志で問題解決できるように援助する。

・問題解決アプローチ

クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する。

・課題中心アプローチ

クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

・危機介入アプローチ

危機状態に陥っている人に対して早期にかかわり,危機に対して対処能力を高める。

・行動変容アプローチ

学習理論を活用して,クライエントの問題となる行動を消去や強化することにより,問題行動全体の変容を図る。

・エンパワメントアプローチ

クライエントが抑圧された状況を認識して,潜在能力に気づいて,対処能力を高められるようにかかわる。

・ナラティブアプローチ

クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。

・解決志向アプローチ

クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

・フェミニストアプローチ

女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。

・実存主義アプローチ

利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

・エコロジカルアプローチ

「人と環境」の交互作用に着目して援助する。


アンダーラインを引いているところが,それぞれのポイントです。国家試験では,そこを手掛かりに問題を解きます。

こういったものを知っていると国家試験では,凡ミスは防ぐことができます。


「心理療法に関する出題は100%」の記事

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/311001.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/311002.html

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/04/311003.html


〈今日の一言〉

 

社会福祉士の国家試験の特徴は,出題範囲が広いことです。

ヤマを張って国試に臨んだところで,合格基準点に到達するのはかなり困難です。

 

その点,まじめに勉強に取り組んできた人は,合格する権利があります。

 

それを信じることがとても重要です。

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