中枢神経とは,多くの神経が集まっている神経です。
中枢神経には,大脳,間脳,小脳,脳幹,延髄,脊髄があります。
脳幹は,中脳,橋(きょう),延髄の順に並んでおり,その先に脊髄があります。
脳幹の並びは,覚えるのが大変ですが,中脳と延髄の橋渡しをする「橋」,つまり,この3つの中では,「橋」が真ん中にあると覚えるとばっちりです。
末梢神経は,中枢神経から全身に分かれて分布する神経です。
末梢神経には,脳神経と脊髄神経があります。
脳は,中枢神経
脳神経は,末梢神経
脊髄は,中枢神経
脊髄神経は,末梢神経
それでは今日の問題です。
第31回・問題2 体の各器官の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 副交感神経は,消化管の運動を亢進する。
2 脳幹は,上部から延髓・中脳・橋の順で並んでいる。
3 大脳の側頭葉は,視覚に関わる。
4 脊髓神経は,中枢神経である。
5 三半規管は,外耳と中耳の境目に位置する。
この問題が出題された当時,とても「やられた~」という気持ちがしました。
というのは,脊髄は,中枢神経ですが,脊髄神経は,末梢神経だからです。
脳神経外科の医師にこの問題を見てもらったことがありますが,「こんな引っ掛けを出して何の意味があるのだろう」と頭をかしげていました。
社会福祉士,精神保健福祉士は,医療スタッフではないので,人体の構造として出題するとすれば,このような出題のしかたになってしまうのかもしれません。
それでは,解説です。
1 副交感神経は,消化管の運動を亢進する。
交感神経と副交感神経は,同時に活発に活動することがありません。
交感神経が活発化すれば,副交感神経は鎮静化します。
交感神経が沈静化すれば,副交感神経は活発化します。
人が活動しているときは,交感神経は活発化します。
人が休んでいるときは,副交感神経が活発化します。
交感神経は,動物学的に言えば,敵を発見したとき,攻撃したり,逃げたりするために血圧を高めて,運動神経を活発化させます。
副交感神経は,体を休めているときに活発化して,消化管などに作用します。攻撃するときや逃げるときに,悠長に消化しているわけにはいかないからでしょう。
人の体はなんと面白いことでしょう。チコちゃんなら,どのように教えてくれるか気になるところです。
ということで「副交感神経は,消化管の運動を亢進する」は正解です。
2 脳幹は,上部から延髓・中脳・橋の順で並んでいる。
脳幹の順番は,中脳,橋,延髄の順で並んでいます。
中脳と延髄の橋渡しをする「橋」と覚えます。
3 大脳の側頭葉は,視覚に関わる。
側頭葉は,聴覚にかかわります。耳に近いから聴覚と覚えます。
後頭葉が視覚にかかわっています。
4 脊髓神経は,中枢神経である。
脊髄神経は,末梢神経です。
脊髄が,中枢神経です。
この問題が出題された当時,この選択肢を選んでしまった人は多かったのではないかと思います。
5 三半規管は,外耳と中耳の境目に位置する。
三半規管がうまく働かないとめまいを生じます。
ここからイメージできる人もいるかもしれませんが,三半規管が位置するのは,中耳です。