社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書
精神保健福祉士国家試験の在り方に関する検討会
令和元年カリキュラム改正の趣旨は,「地域共生社会」の実現を推進するために,社会福祉士には,ソーシャルワークの機能を発揮することが求められていることにあります。
こういった趣旨もいつかは国家試験に出題される時代もくることでしょう。
新しいカリキュラムでは,実習時間が増えたことにより,国家試験に関連する科目の履修時間が減りました。
そのため,報告書では国家試験の問題数を減らすことを提言しています。
知識だけで解けるタクソノミーⅠ型が今の国試問題には多いですが,それよりも高度な能力が求められるタクソノミーⅢ型の問題が示されています。
〈タクソノミーⅢ型〉
社会福祉に関連する基本的な知識を活用した、思考力や判断力を問う問題。
・事例文(もしくは選択肢)で与えられた情報の中から、問いに対応する状況を理解・解釈
し、その状況に応じた問題解決方針や具体的な問題解決方法を思考し、判断して解答を行
う。
・受験者が解答に要する理解・解釈の回数は2回であり、事例文の情報を解釈(1回目)
することに加え、各選択肢の持つ意味を解釈(2回目)することにより解答に行き着く。
どんな問題になるのか,楽しみだと思いませんか。
チームfukufuku21が報告書の中で着目したのは,試験委員への支援体制を強化することが望ましいという提言です。
私たちが今まで指摘してきた通り,国家試験には問題づくりが下手だと思う問題が存在しています。試験委員は,その領域の専門家ですが,問題づくりは素人です。大学では,国家試験のような問題で試験はしないからです。
下手な人が作ると,知識なしでも正解できてしまう可能性が高くなるので,資格試験には向かない問題となることがあります。
試験委員の問題作りが上手になると,勉強不足の人にとってはかなり厳しい問題になると思いますが,それが国家試験としては適切だと強く思います。
勉強不足の人が正解できて,勉強をしっかりしてきた人が解けない問題というのは最悪です。
タクソノミーⅢ型は,知識にプラスして思考力,判断力が求められる問題ということです。
クライエントが求めている社会福祉士を作ってくれることを期待したいです。
〈おまけ〉
平成19年改正の時の報告書では,択二の問題も検討すべきだという提言がなされていましたが,その当時,その部分はすっかり読み飛ばしていました。
第25回国試からそのスタイルの出題が登場しましたが,今となっては読み飛ばしてしまったことを強く悔やんでいます。
それはさておいて,これでわかるように検討会の報告書は,かなり重要です。