人名は覚える必要はありませんが,危機理論を提唱したキャプランは,予防の概念である予防モデルを提唱しています。
今日では,広くさまざまな分野で用いられています。
予防モデル
一次予防 |
問題を発生させないこと。 |
二次予防 |
問題を早期に発見すること。 |
三次予防 |
問題を進行させない,問題を再発させないこと。 |
それでは,今日の問題です。
第31回・問題4 健康に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一次予防とは,疾病の悪化を予防することである。
2 日本の特定健康診査は,メタボリックシンドロームに着目した健康診査である。
3 「健康日本21(第二次)」の基本的方向は,平均寿命の延伸である。
4 現在,日本の死因の第1位は心疾患である。
5 WHOが提唱したヘルスプロモーションは,ヘルシンキ宣言において定義された。
国家試験は,
少しずつ同じで,少しずつ違う
今まで何度も紹介してきた通りです。
心が弱くなると,少しずつ違うところにやられてしまいます。
落ち着いて試験に臨むことができたなら,正解できるでしょう。
しかし,浮足立ってしまうと,間違います。何度も国試にチャレンジして高い壁にはねつけられてしまっている人は,どうしたら合格できるのだろうと思うかもしれません。
結論は簡単です。少しずつ同じである部分に着目することです。そうすれば,答えが浮かび上がってくるでしょう。
それでは,解説です。
1 一次予防とは,疾病の悪化を予防することである。
一次予防は,問題を発生させないことです。
疾病に関して言えば,
市民に対する健康教室などが,一次予防にあたります。
病気の早期発見のために実施される健康診査は,二次予防にあたります。
疾病の悪化を予防することは,三次予防にあたります。
2 日本の特定健康診査は,メタボリックシンドロームに着目した健康診査である。
これが正解です。言われてみると「ああ,なるほど。そうかもね」と思うかもしれません。
特定健康診査について,メタボリックシンドロームの診断基準を覚えて試験に臨んだ人は多いはずです。
それでもこの問題を正解できたかどうかはわかりません。角度をちょっと変えて出題しているからです。これが「少しずつ違う」の部分です。
しかし,すぐこれが正しいかどうかわからないので,この段階では冷静に△をつけます。
3 「健康日本21(第二次)」の基本的方向は,平均寿命の延伸である。
平均寿命の延伸をテーマに取り組むことは,今後もないように思います。
重要なことは,人生100年時代を健康に生きることです。
つまり「健康寿命の延伸」です。
落ち着いて考えるとこんなものを正解にするということは考えられないと思うかもしれません。
しかし,ここが国家試験の怖いところです。普段しないミスをするのです。
この場合は,読み間違いというミスです。自分は,そんなミスはしないよ,と笑っている人は要注意です。
4 現在,日本の死因の第1位は心疾患である。
日本人の死因の第1位は,がんです。
これまで何度も勉強してきたことなのに「どうだったっけ?」と思うことはよくあることです。
こういった順位のあるものは,2位以下を問われることはまずないので,1位のものだけを強く覚えることがコツです。
地方財政では,民生費がよく出題されています。
市町村+都道府県=民生費
都道府県=教育費
市町村=民生費
民生費の内訳では,
市町村+都道府県=児童福祉費
都道府県=老人福祉費
市町村=児童福祉費
といった具合です。
5 WHOが提唱したヘルスプロモーションは,ヘルシンキ宣言において定義された。
ヘルスプロモーションが提唱されたのは,オタワ憲章です。
オタワ憲章と合わせて覚えるのは,アルマ・アタ宣言です。
さまざまな宣言が出てきて混乱しそうですが,だからこそ出題されます。覚えにくいものは,誰もが覚えにくいからです。
アルマ・アタ宣言は,プライマリ・ヘルスケアを提唱したことで知られます。
ヘルシンキ宣言は,インフォームドコンセントの概念を提唱したことで知られているものです。