現在(2022年1月時点)の社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験は,年号(2000年など)を正しく覚えていないと正解できない問題はほとんどありません。
おおよその時代がわかっていれば十分です。
それにもかかわらず,年号を必死で覚えようとしている人がいるようです。
年号を覚える必要があるとすれば,おおよその時代を知るためでしょう。
戦前の出来事なのか
戦後の出来事なのか
昭和20年代の出来事なのか
昭和30年代の出来事なのか
おおよその時代とは,こういったきりの良い区切りです。
年号を正しく覚えないと解けない問題が出題されたのは,第21回国家試験が最後です。その問題を紹介します。
第21回・問題101 児童福祉分野の法律等の制定に関する次の記述のうち,年代の古い順に並べたときに第3番目に位置するものとして,正しいものを一つ選びなさい。
1 「児童手当法」が制定される。
2 「児童扶養手当法」が制定される。
3 「児童虐待の防止等に関する法律」が制定される。
4 「次世代育成支援対策推進法」が制定される。
5 「児童憲章」が制定される。
こんなタイプの問題は,見たことないでしょう?
因みに並べ替えるとこんな感じになります。
5 「児童憲章」が制定される。 1951年・昭和26年
↓ ↓
2 「児童扶養手当法」が制定される。 1961年・昭和36年
↓ ↓
1 「児童手当法」が制定される。 1971年・昭和46年
↓ ↓
3 「児童虐待の防止等に関する法律」が制定される。 2000年・平成12年
↓ ↓
4 「次世代育成支援対策推進法」が制定される。 2003年・平成15年
第21回よりも前にこの出題スタイルのものはよくありました(紹介すればいっぱいありすぎること,紹介する意味がないので,ここではほかに紹介しません)。
しかし,第21回を境になくなりました。
注目すべきなのは,第22回以降はこういった問題は出題されていないということです。
第22回は,平成19年カリキュラム改正の第1回国試です。
このカリキュラムによる国試では,年代を学び変える問題のようなスタイルの出題は不適切だとされたのではないでしょうか。
社会福祉振興・試験センターは,出題する際のルールをいろいろ取り決めているのではないかと想像しています。
そうでなければ,急に方向が変わることは考えられません。
そういったことから,重要なのは,年号を覚えることではなく,その内容を覚えることだと思うのです。
年号がわからなければ解けない問題が適切だとされていたなら,第22回以降も必ず出題されていたはずです。
年号は覚えられなくても大丈夫です。
ただし,これは平成19年改正のカリキュラムによる国家試験の場合です。令和元年改正のカリキュラムによる国家試験がどのようなルールを取り決めているのかは,第37回以降の国家試験を見てみなければわかりません。
しかし,年号についての取り決めはおそらく継続されます。一度不適切だとみなされていたものが復活させる必然性がないからです。
「点」で見ていてもよくわかりませんが,5年,10年,20年という長いスパンで流れを見ていると見えてくることもあります。それが私たちチームfukufuku21の強みだと言えるでしょう。