現時点(2022年1月)での国家試験の最初の3科目は,以下のように並んでいます。
①人体の構造と機能及び疾病
②心理学理論と心理的支援
③社会理論と社会システム
この順番は,アセスメントする時の視点である
身体的(バイオ)・心理的(サイコ)・社会的(ソーシャル)モデル
に基づいているものです。
これは,WHOによる健康の定義
健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。
につながっています。
このため,第37回国試から始まる新しいカリキュラムでの出題もおそらく同じになるのではないかと考えています。
ちゃんとした根拠のある意図に基づいているからです。
第21回以前の国家試験は,以下のように並んでいました。
第1~10回(第1回と第2回の国家試験問題は非公開だったため,明確ではない)
①社会福祉原論
②老人福祉論
③障害者福祉論
第11~21回(精神保健福祉士が創設されたため)
①社会福祉原論
②社会保障論
③公的扶助論
今,改めて見ると不思議な並びです。
いずれにせよ,最初は社会福祉原論となっています。この科目は,現在の「現代社会と福祉」,そして新しいカリキュラムの「社会福祉の原理と政策」にあたります。
平成19年カリキュラム改正の前の最後の国家試験である第21回での第1問は,以下の問題です。
第21回・問題1 我が国の社会福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 明治維新の直後に制定された恤救規則は,イギリスの救貧法をモデルに制定され,救恤場を設置し,院内救済を原則とした。
2 日清戦争の前後には,労働者の貧困や都市下層社会の問題が発生し,政府は,救貧行政の強化を図るために,窮民救助法を制定した。
3 日露戦争後には,政府は,地方行政による救貧行政の進展を図るために,感化救済事業講習会を開催し,防貧だけでなく救貧の必要性を強調した。
4 第一次世界大戦末期には,物価高騰による生活苦を背景に勃発した米騒動が,社会連帯責任を強調した社会事業行政を発展させる一因となった。
5 日中戦争が全面化した時期には,政府は,軍人の保護を目的として,戦時厚生事業を行い,傷病軍人対策として廃兵院法を制定した。
多くの人が苦手とする歴史問題です。
この問題の正解は,選択肢4です。
4 第一次世界大戦末期には,物価高騰による生活苦を背景に勃発した米騒動が,社会連帯責任を強調した社会事業行政を発展させる一因となった。
問題に対する解説はしませんが,言いたいことは,とても難しい問題が第1問になっていたことです。
最初の問題でペースが崩されて,自分を見失ったまま,国家試験が遂行していくことにもなりかねません。
それに比べて直近の国家試験では,以下の問題が第1問です。
第33回・問題1 人の成長と老化に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生後2か月では,寝返りが打てる。
2 思春期には,第一次性徴が出現する。
3 青年期の終わりは,身体の成長が最も著しい時期である。
4 20歳頃には,生殖器系の成長が最も著しくなる。
5 老年期には,収縮期血圧が上昇する。
この問題の正解は,選択肢5です。
5 老年期には,収縮期血圧が上昇する。
収縮期血圧は一般に言われる最高血圧であることがわかっていれば,知識なしでも正解でそうな問題でしょう。
今の国家試験が簡単だということではありません。今も以前も合格するのは難しい試験であることには変わりはありません。
しかし,大きく違うのは,第1問にあたる科目です。
人体の構造は,知識なしでも正解できる問題が含まれるので,第1問が正解できなかったとしても,そのあとで挽回できます。
国試合格のために重要なことは
強い気持ちで国試に臨むこと
そのために,自己暗示が必要です。
自分は大丈夫だと,自分に言い聞かせること
これができた時,国試合格への道は,大きく開かれます。
正しい努力は必ず報われるのが今の国家試験です。