2022年1月6日木曜日

介護報酬と診療報酬の比較

介護報酬とは,介護保険サービス事業者が規定のサービスを提供した場合,介護保険から給付されるものです。


診療報酬と介護報酬の比較

 

診療報酬

介護報酬

点数

全国一律1点10

110円 ※ただし地域によって割増あり

改定頻度

2年ごと

3年ごと

審議機関

中央社会保険医療協議会

社会保障審議会介護給付費分科会

決定

厚生労働大臣

厚生労働大臣


上記のとおり,改定は,診療報酬が2年ごと,介護報酬は3年ごとに行われているので,同時に改定するいわゆるダブル改定は6年ごとということになります。


それでは今日の問題です。


第22回・問題125 我が国の介護保険制度における介護報酬に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 介護報酬の改定は,原則として3年に1回の頻度で実施されているが,これまでの改定はすべてマイナス改定であった。

2 介護報酬の改定について,改定内容の審議は提供側,支払側,公益側の三者構成の中央社会保険医療協議会において行われる。

3 介護保険施設に関する介護報酬については,定額の包括払い方式となっており,各種の加算は設定されていない。

4 介護報酬の額は,サービスの種類や要介護度等に応じた単位数に単価を乗じて算定されるが,この単価は全国一律に10円である。

5 市町村は,指定居宅サービス事業者から居宅介護サービス費の請求があったときは,所定の基準に照らして審査し,支払うものとされている。


この中で,知識なしで消去できるのは,選択肢1と選択肢3くらいかもしれません。


よく「国試は日本語の問題」と言う人がいます。


確かにできの悪い問題には,知識なしでも日本語的に正解できるものもあるかもしれません。


しかし,そういった問題で正解できても知識不足の人が合格するのは,かなり難しいと言えます。合格には確実な知識が必要です。


だからといって深い知識が必要なわけではありません。必要なのは確実な知識です。


それでは解説です。難易度は高いで問題です。


1 介護報酬の改定は,原則として3年に1回の頻度で実施されているが,これまでの改定はすべてマイナス改定であった。


この選択肢が消去できそうな理由は,「すべて」が含まれているからです。

「すべて」は,正解になることは少ないことを多くの人が知っているので,近年では極力使わなくなってきています。


もちろん「すべて」マイナス改定ではありません。マイナス改定とプラス改定があります。


2 介護報酬の改定について,改定内容の審議は提供側,支払側,公益側の三者構成の中央社会保険医療協議会において行われる。


中央社会保険医療協議会が審議するのは,診療報酬です。


介護報酬を審議するのは,社会保障審議会介護給付費分科会です。


3 介護保険施設に関する介護報酬については,定額の包括払い方式となっており,各種の加算は設定されていない。


この選択肢も消去できそうだと言えるのは,この文章の構成にあります。

勘の良い人なら,何となくわかるでしょう。


しかし,国家試験では,気持ちに余裕がなくなるので,普段なら見えることが見えなくなるものです。


国試会場には魔物が棲んでいると表現されることがありますが,本当にそうだと思います。


介護報酬には,もちろん加算があります。それだけではなく,各種減算もあります。


4 介護報酬の額は,サービスの種類や要介護度等に応じた単位数に単価を乗じて算定されるが,この単価は全国一律に10円である。


全国一律1点10点なのは,診療報酬です。介護報酬も基本的に1点10円ですが,地域によって割り増しがあります。


5 市町村は,指定居宅サービス事業者から居宅介護サービス費の請求があったときは,所定の基準に照らして審査し,支払うものとされている。


これが正解です。


介護保険の保険者は,市町村です。審査・支払いの権限を持つのは,市町村です。

ただし,市町村が実際に審査・支払いを行うのは大変なので,これらの事務を国民健康保険団体連合会に委託しています。

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