日本の社会保険制度は,
年金保険
医療保険
介護保険
労働者災害補償(労災)保険
雇用保険
の5つがあります。
社会保険は,保険料を支払い,規定の保険事故が生じた場合,保険給付されるものです。
この中で,被保険者でなくても保険給付されるものがあります。
それは,年金保険制度の障害基礎年金の20歳傷病の場合です。
初診日が20歳前であれば,20歳になった場合に障害基礎年金が給付されます。
さて,介護保険は,わが国5つめの社会保険として誕生したものです。
介護が必要な場合,自費で介護を受けるのは,負担が大変です。
そのため,「あなたには,この範囲で保険給付を行いましょう」とニーズ判定を行います。
これが要介護認定です。
この範囲を超えるサービスを受けることはできます。超えた分は自費となります。
別の言い方をすれば,サービスを受ける量は自由です。そのうち,要介護度別の支給限度額が保険給付されると言うことができます。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題124 我が国の介護保険制度と医療保険制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 サービス供給主体に関しては,いずれの制度も「非営利」を原則としており,営利法人の参入については原則として禁止されている。
2 いずれの制度も,一連のサービスについて,支給限度額や法定給付を上回るサービスを患者や利用者の負担によって提供することは,原則として禁止されている。
3 介護保険制度の創設に伴い,医療保険におけるサービスの一部が介護保険に移行したため,平成12年度の国民医療費は前年度に比べ減少した。
4 訪問看護については,介護保険制度創設後も引き続き医療保険から給付されており,介護保険からは給付されていない。
5 介護保険制度創設後の急速な人口高齢化に伴う介護給付費の増大の結果,平成13年度以降,国民医療費は減少を続けている。
この問題は「高齢者」で出題されたものですが,今見るとまるで「社会保障」の問題のようです。
それでは解説です。
1 サービス供給主体に関しては,いずれの制度も「非営利」を原則としており,営利法人の参入については原則として禁止されている。
営利法人の参入が禁止されているのは,医療保険制度です。
介護保険制度は,準市場(疑似市場)で展開されています。
一部の介護保険サービス事業は,営利法人は経営することはできませんが,それ以外は,参入は自由です。
2 いずれの制度も,一連のサービスについて,支給限度額や法定給付を上回るサービスを患者や利用者の負担によって提供することは,原則として禁止されている。
介護保険制度も医療保険制度も自己負担によって保険給付分を上回るサービスを受けることができます。
ただし,医療保険は介護保険よりも限定的です。なぜなら,保険診療と自由診療の混合診療は禁止されているからです。
そのため,保険外併用療養費という制度があります。この範囲で,保険外の医療サービスを受けることができます。
3 介護保険制度の創設に伴い,医療保険におけるサービスの一部が介護保険に移行したため,平成12年度の国民医療費は前年度に比べ減少した。
これが正解です。
国民医療費は,後述のように,増加していますが,前年より減少した年が何度かあります。
そのまうちの一つが平成12年度です。
理由は,問題にあるとおりてす。
4 訪問看護については,介護保険制度創設後も引き続き医療保険から給付されており,介護保険からは給付されていない。
訪問看護は,医療保険が適用されるものと介護保険が適用されるものがあります。
5 介護保険制度創設後の急速な人口高齢化に伴う介護給付費の増大の結果,平成13年度以降,国民医療費は減少を続けている。
これを正解にする人はほとんどいないと思いますが,国民医療費は,前年より減少した年もありますが,増加し続けています。「一貫して増加している」と出題されれば,誤りになるので,注意が必要です。