2022年1月11日火曜日

児童虐待防止法の事例問題

 児童虐待防止法は,以下のように規定しています。

 

(児童虐待に係る通告)

第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

 

通告は,努力義務ではなく,義務です。

 

さらに,確実に覚えておきたいのは,これです。

 

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者

 

通告するのに,児童虐待があったかどうかの事実は,求められません。

 

それでは,今日の問題です。

 

22回・問題137 事例を読んで,保育所の対応に関する次の記述のうち,児童虐待の防止等に関する法律に照らし,最も適切なものを一つ選びなさい。

〔事例〕

 F子はP市に住んでおり市内の保育所に通っている。保育士がF子のほほに叩かれたような痣を発見した。1か月ほど前にも痣のようなものに気付いたことがあったので,虐待かもしれないと思い,所長に報告した。母子家庭ということであったが,最近,男性が送迎していることもある。母親は体が弱いということで就労していないが,生活状況についてはよく分からないことも多く,経済的には苦しいらしい。所内でF子への対応に関して協議が行われた。

1 F子に痣の原因を確かめてから,P市に通告することにした。

2 お迎え時に母親に痣の原因を確かめた上で,P市に通告することにした。

3 虐待であると確認できないため,所長の指示でP市に通告しないことにした。

4 安全確保のため帰宅させず,保育所で預かることにした。

5 速やかにP市に通告することにした。

 

この問題は,事例問題のスタイルですが,本来の事例問題ではなく,法制度に基づく事例問題であることが重要点です。

 

この問題では,慎重に「児童虐待の防止等に関する法律に照らし」という大ヒントをくれています。

 

つまり,通告義務を意識しなさいというメッセージです。

 

 

5 速やかにP市に通告することにした。

 

正解は,これしかあり得ません。

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