地域包括支援センターは,2005(平成17)年の介護保険法の改正によって誕生しました。
介護保険制度のうちの包括的支援事業の一部を実施しています。
具体的には,以下の4つの事業を実施します。
介護予防ケアマネジメント事業 |
二次予防事業対象者に対する介護予防ケアプランの作成などの事業 |
総合相談・支援事業 |
住民の各種相談を幅広く受け付けて,制度横断的な支援を実施する事業 |
権利擁護事業 |
成年後見制度の活用促進,高齢者虐待への対応などの事業 |
包括的・継続的ケアマネジメント支援事業 |
・「地域ケア会議」等を通じた自立支援型ケアマネジメントの支援 ・ケアマネジャーへの日常的個別指導・相談 ・支援困難事例等への指導・助言 |
このほかにもう一つ忘れてはならない業務があります。
介護予防支援 |
要支援者に対するケアプラン作成 |
介護予防支援は,地域支援事業ではなく,保険給付です。
地域包括支援の4事業は委託可能ですが,その場合は,一括して委託しなければなりません。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題126 地域包括支援センターに関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 地域包括支援センターが創設されたことにより,在宅介護支援センター(老人介護支援センター)が再編され,介護保険法上のセンターとされた。
2 包括的支援事業を実施することを目的とする特定非営利活動法人においては,市町村から包括的支援事業の委託を受けることができる。
3 地域包括支援センターが行う介護予防支援は,要支援認定には至らない虚弱な高齢者が要支援・介護状態等になることを予防するために必要な援助を行うものである。
4 地域包括支援センター運営協議会は,原則として当該市町村で設定される日常生活圏域ごとに一つ設置されることになっている。
5 地域包括支援センターの人員配置基準は,同センターの担当する区域における第1号被保険者数及び第2号被保険者数に応じて決められる。
地域包括支援センターは,社会福祉士の配置義務がある唯一の事業(2022年1月現在)なので,確実に覚えておきたいです。
それでは解説です。
1 地域包括支援センターが創設されたことにより,在宅介護支援センター(老人介護支援センター)が再編され,介護保険法上のセンターとされた。
老人介護支援センターとは,聞いたことがない人もいるでしょう。
老人福祉法では,老人福祉施設が規定されています。
老人介護支援センターは,今も老人福祉施設の一つです。
老人福祉法では,以下のように規定されています。
地域の老人の福祉に関する各般の問題につき、老人、その者を現に養護する者、地域住民その他の者からの相談に応じ、必要な助言を行う。 主として居宅において介護を受ける老人又はその者を現に養護する者と市町村、老人居宅生活支援事業を行う者、老人福祉施設、医療施設、老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者等との連絡調整その他の厚生労働省令で定める援助を総合的に行う。 |
介護保険法の地域包括支援センターとは異なる業務を行うことがわかるでしょう。
2 包括的支援事業を実施することを目的とする特定非営利活動法人においては,市町村から包括的支援事業の委託を受けることができる。
これが正解です。
NPO法人に限らず,さまざまな主体に委託可能です。ただし,委託する場合は4事業を一括することが必要です。
3 地域包括支援センターが行う介護予防支援は,要支援認定には至らない虚弱な高齢者が要支援・介護状態等になることを予防するために必要な援助を行うものである。
介護予防支援は,要支援認定を受けた者への介護予防を行うものです。
4 地域包括支援センター運営協議会は,原則として当該市町村で設定される日常生活圏域ごとに一つ設置されることになっている。
地域包括支援センター運営協議会は,地域包括支援センターを公正かつ中立的に運営するために市町村が設置する外部団体です。
設置は,原則として,市町村に1つとされています。
5 地域包括支援センターの人員配置基準は,同センターの担当する区域における第1号被保険者数及び第2号被保険者数に応じて決められる。
地域包括支援センターの人員配置基準は,同センターの担当する区域における第1号被保険者数に応じて決められます。
第2号被保険者が介護保険を利用する率は極めて低いと考えられるので,そこに着目すると消去できそうです。