2019年8月27日火曜日

社会福祉法人の財務管理~資金調達

新しいカリキュラムは,第37回から実施されます。

カリキュラム改正に向けての検討会の報告が遅れに遅れ,当初の予定では最短で第33回国試から新しいものに移行することになっていましたが,結局第37回となりました。

新しいカリキュラムに移行するまでたっぷり過ぎる時間がありますが,できるため早めに合格したいです。

新しいカリキュラムの内容では,以下のような内容が示されています。

教育に含むべき事項
想定される教育内容の例
③福祉サービス提供組織の実際
5会計管理と財務管理
・財務諸表の理解,財務規律の強化
・自主財源,寄付金,各種制度に基づく報酬
・資金調達,ファンドレイジング
・資金運用,利益管理

着目すべき点は,資金調達に関する内容が含まれていることです。

ファンドレイジングは,資金集めと訳されます。

それでは,今日の問題です。

第31回・問題121 福祉サービス提供組織の財務管理と資金調達に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 純資産の具体的中身は,土地や建物等である。
2 貸借対照表の借方は,資金運用方法を示す。
3 非営利組織は株式発行による資金調達ができる。
4 金融機関からの借入れを直接金融という。
5 会計上,収益とは利益を指す。


もう気づいた方もいると思いますが,資金調達について出題されています。

今後は,ファンドレイジングも出題される可能性はあると思います。

一応言葉だけ覚えておきましょう。

なぜ言葉だけでよいというかと言えば,初めて出題されるときは,ほかの選択肢を消去できるようになっていることが多いからです。


さて,この問題の正解は,

2 貸借対照表の借方は,資金運用方法を示す。


これを正解にするのは,ちょっと難しいと思います。

ほかの選択肢を消去することで,結果的にこの選択肢が残るタイプの問題だと言えます。

借方は,資産を記載します。

資産には,固定資産と流動資産があります。

その中には,

現金預金
有価証券

などが計上され,資産がどのように運用されているかを表わします。

この問題が「資金運用方法」ではなく,資産の内容といったように出題されていれば,すぐ正解できたのではないかと思います。


それでは,ほかの選択肢も確認します。


1 純資産の具体的中身は,土地や建物等である。


(自)●年●月●日(至)●年●月●日
借方
貸方
資産の部
負債の部
資産
負債
 流動資産
 流動負債
 固定資産
 固定負債
 
負債の部合計
 
純資産の部
純資産
 基本金
 国庫補助金等特別積立金
 その他の積立金
純資産の合計
資産の部合計
負債の部及び純資産の部合計


今まで,説明しませんでしたが,借方(左側),貸方(右側)の下の部分の合計は,同じ数字になります。

もし異なっていれば,どこか数字が間違っていることを意味します。
そうすると検算できますね。

借方と貸方の合計が同じなので,以下のような計算式ができます。

資産=負債+純資産
負債=資産-純資産
純資産=資産-負債

こんな計算式を知らなくても,純資産には,現金や有価証券等も含まれるだろうと想像することができます。


3 非営利組織は株式発行による資金調達ができる。

新カリで含まれる「資金調達」に関する出題です。

非営利組織の「非営利」とは,利益の分配ができないことを意味します。
株式発行は,営利組織である資金調達方法です。
株式を発行して,利益を配当します。


4 金融機関からの借入れを直接金融という。

またまたの出題です。

金融機関からの借り入れは,間接金融です。

























5 会計上,収益とは利益を指す。

利益は,収益から費用を引いたものです。



<今日の一言>

気づいた人もいるかもしれませんが,第28回と今日の問題は似ています。

第28回
会計や経営に関する次の記述のうち正しいものを1つ選びなさい。
1 直接金融とは,銀行などの金融機関から直接借入れることを指す。
2 貸借対照表の借方とは,どこから資金を調達したかを示し,貸方とは,どのように資金を使用しているかを示す。
3 減価償却とは,固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価を,その耐用年数にわたって費用化する手続である。
4 社会福祉法人のうち,収益が10億円未満の法人には財務諸表開示の義務がない。
5 会計用語上,収益と利益は同一である。


第31回
福祉サービス提供組織の財務管理と資金調達に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 純資産の具体的中身は,土地や建物等である。
2 貸借対照表の借方は,資金運用方法を示す。
3 非営利組織は株式発行による資金調達ができる。
4 金融機関からの借入れを直接金融という。
5 会計上,収益とは利益を指す。

しかし,完全に同じではありません。

少しずつ重なっていて,少しずつ違うのが国試です。

過去3年間の過去問では得点できる力がつかないことは一目瞭然です。

過去3年間の過去問を3回解いたら合格できるよ

なんて無責任なことを言う人が存在しますが,今の国試は絶対にそれでは合格できる知識も得点力もつきません。

そんな勉強で合格できるなら,合格率30%ということになるはずがありません。

それで合格できたと人がいたとしたら,それは極めてケアケースです。

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