大項目
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中項目
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小項目(例示)
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1 福祉サービスに係る組織や団体 |
1)社会福祉法人制度
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定義,役割,税制,実際,その他
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2)特定非営利活動法人制度
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定義,役割,税制,実際,その他
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3)その他の組織や団体
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医療法人,公益法人,営利法人,市民団体,自治会,その他
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<新しいカリキュラム>
教育に含むべき事項
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想定される教育内容の例
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①福祉サービスに係る組織や団体の概要と役割 |
1福祉サービスを提供する組織 |
・社会福祉施設の現状や推移
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・各種法人の特性
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・非営利法人,営利法人
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・社会福祉法人,NPO法人,一般社団法人,株式会社
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・福祉サービスと連携するその他の法人
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・法人格を有しない団体(ボランティア団体)等
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現行カリキュラムと第37回国試から実施されるカリキュラムの福祉サービス提供する組織を比べてみると,新しいカリキュラムでは,株式会社やボランティア団体等が加わっているところにポイントがあるように思います。
株式会社は,営利を目的とした法人です。
介護保険サービスを提供している経営主体を見てもわかるように,株式会社が多くのサービスを提供しています。
今日では,サービスの提供主体として,なくてはならない存在です。
現代では,クラウドファンディングのように,資金を集める方法も多様化しています。
そのために,新しいカリキュラムでは,資金調達についても学ぶことになります。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題112 福祉サービスに関係する法人に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 社会福祉法人は,社会福祉事業に対する社会的信用や事業の健全性を維持する上で,公益法人に代わる新たな法人制度を確立する必要があり,強い公的規制の下,助成を受けられる特別な法人として,第二次世界大戦前に創設された。
2 特定非営利活動法人制度は,市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進し,公益の増進に寄与するために平成10年に創設されたが,税制上の取扱いから国が活動領域を5分野に限定している。
3 医療法人制度は,第二次世界大戦後間もなく創設され,現在では,病院,診療所,介護老人保健施設の開設・管理を目的としているが,医師一人だけでは法人格を持つことが認められていない。
4 社会福祉法人は,補助金に依存し,措置費による裁量余地の小さい運営であること,零細な規模の法人が多数を占めていることが問題と考えられており,自立・自律と責任を重視する「施設単位の経営」が求められている。
5 平成20年度に内閣府が行った調査によれば,特定非営利活動法人の特定非営利活動事業の収入について,寄附金が占める割合は4%程度と低いのに対して,「定款上の特定非営利活動事業」によるものは約70%である。
今は,制度が変わってしまっている内容もあります。
この問題は,今までの時代への鎮魂歌(レクイエム)的に感じてしまいます。
正解は,
5 平成20年度に内閣府が行った調査によれば,特定非営利活動法人の特定非営利活動事業の収入について,寄附金が占める割合は4%程度と低いのに対して,「定款上の特定非営利活動事業」によるものは約70%である。
割合は若干変わってしまっていますが,傾向は同じです。
覚えていてほしいポイントは,寄附金収入はそれほど多くはないということです。
それではほかの選択肢も見てみましょう。
1 社会福祉法人は,社会福祉事業に対する社会的信用や事業の健全性を維持する上で,公益法人に代わる新たな法人制度を確立する必要があり,強い公的規制の下,助成を受けられる特別な法人として,第二次世界大戦前に創設された。
社会福祉法人が創設されたのは,昭和26年・1951年の社会福祉事業法(現・社会福祉法)です。つまり第二次世界大戦後です。
2 特定非営利活動法人制度は,市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進し,公益の増進に寄与するために平成10年に創設されたが,税制上の取扱いから国が活動領域を5分野に限定している。
現在の活動領域は20分野です。
※2019年03月31日現在
活動領域
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割合
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58.6%
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社会教育の推進を図る活動
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48.1%
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まちづくりの推進を図る活動
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44.1%
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観光の振興を図る活動
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5.6%
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農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
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4.8%
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学術,文化,芸術又はスポーツの振興を図る活動
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35.6%
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環境の保全を図る活動
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26.5%
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災害救援活動
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8.1%
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地域安全活動
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12.0%
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人権の擁護又は平和の活動の推進を図る活動
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16.8%
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国際協力の活動
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18.1%
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男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
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9.3%
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子どもの健全育成を図る活動
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46.6%
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情報化社会の発展を図る活動
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11.1%
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科学技術の振興を図る活動
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5.5%
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経済活動の活性化を図る活動
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17.6%
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職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
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24.9%
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消費者の保護を図る活動
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6.0%
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前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡,助言又は援助の活動
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46.5%
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前各号で掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
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0.5%
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覚えておきたいのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」を行っている法人が約6割を占めるということです。20分野の活動領域を覚えることには意味がありません。
3 医療法人制度は,第二次世界大戦後間もなく創設され,現在では,病院,診療所,介護老人保健施設の開設・管理を目的としているが,医師一人だけでは法人格を持つことが認められていない。
これは制度が変わっています。
現在の医療法人は
病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の開設を目的としています。
介護医療院が加わっていることに注意しましょう。
ただし,この選択肢が間違っていたのはその部分ではなく,医師一人でも医療法人の設立は認められるというところです。
4 社会福祉法人は,補助金に依存し,措置費による裁量余地の小さい運営であること,零細な規模の法人が多数を占めていることが問題と考えられており,自立・自律と責任を重視する「施設単位の経営」が求められている。
施設単位の経営とは,一つの法人が一つの事業といったものです。
現在は,法人単位の経営が求められます。
そのため,法人同士の合併が行われることもあります。
経営資源は,スケールメリットがあるからです。
<今日の一言>
社会福祉法人には,ほかの法人と違い,税制面などでの優遇があります。
その変わり,収益を配分することができないなどの制限があります。
新しいカリキュラムでは,医療法人に代わって,株式会社などが出題されるようになるかもしれません。