2019年8月7日水曜日

組織に関する基礎理論~組織学習②

今回も組織学習を続けます。

組織学習とは,組織が変化し発展することをいいます。

今日の問題の前にシングルループ学習とダブルループ学習の復習です。


















それでは早速今日の問題です。

第26回・問題121 組織学習に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 組織学習論では,組織の偶発的,一時的な適応についても,組織学習としてとらえる。

2 ダブルループ学習とは,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組識学習の形態である。

3 組識学習は,新しいものを取り入れたり変革する過程を対象とするのであって,それが組織に定着する段階は対象としない。

4 組織学習では,試行錯誤や実験的取組により生み出される内的な知識獲得を重視し,他組織で成功したシステムの模倣は避ける。

5 医療・福祉事業のような非営利組織においては,営利組識に比較して組織学習の意義は低い。


第25回に続いて第26回国試の問題です。

第25回問題とほとんど同じような内容が出題されています。
連続した回で,これだけ同じような問題が出題されるのは極めて珍しいと言えます。
第25回国試は,合格基準点も合格率も最も低くなりました。

合格率を30%程度のところまで引き上げようとしたら,合格基準点はどこまで引き下げたらよいのかわからなくなるほどの大波乱となったものです。

その余波で,このような問題を出題したのではないかと思います。

この問題は,第25回国試を下書きにしているだけあって,答えはすぐわかるものとなっています。


正解は,

2 ダブルループ学習とは,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組識学習の形態である。

前回は,ダブルループ学習のところをシングルループ学習に変えて出題して間違い選択肢を生成していましたね。

それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。

1 組織学習論では,組織の偶発的,一時的な適応についても,組織学習としてとらえる。

この選択肢は,前回は

組織学習は,組織が短期的に適応していくプロセスについて説明するための概念である。
と出題されていました。

短期的,偶発的,一時的どれであっても,組織学習ではありません。
組織学習は,組織が変化し発展することだからです。

それらをきっかけとして組織に定着し,変化し発展すると組織学習になります。


3 組識学習は,新しいものを取り入れたり変革する過程を対象とするのであって,それが組織に定着する段階は対象としない。

これは前回の問題で対応するものがありません。

しかし,学習は,定着することが本来の変化です。定着する段階ももちろん組織学習に含まれます。

4 組織学習では,試行錯誤や実験的取組により生み出される内的な知識獲得を重視し,他組織で成功したシステムの模倣は避ける。

この選択肢は,前回は

他組織の成功体験や先進事例から学び,自組織に取り入れることは組織学習には含まれない。

と出題されて同じように間違いとなっています。

模倣ももちろん組織学習です。心理学の学習理論でも観察学習(モデリング)があります。


5 医療・福祉事業のような非営利組織においては,営利組識に比較して組織学習の意義は低い。

非営利組織,営利組織にかかわらず,組織学習の意義は,高いです。

変化・発展しない組織は,衰退していくからです。


<今日の一言>

組織学習は,第25回・第26回の2年連続で出題されていますが,実は出題されたのは,たった2回です。

出題基準では,「組織に関する基礎理論」の小項目(例示)がないこともあり,様々なものが出題されるからです。対応が難しいと思うかもしれませんが,事前の勉強なしのものも正解できる問題もあります。

そういった問題は,勉強不足の人も正解できてしまうので,絶対に間違ってはならない問題だと言えるでしょう。

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