つまり,第27回以降は,毎回出題されているということになります。
これだけの出題があれば,国試対策としてポイントは明確になりやすいので,しっかり勉強していけば,かなりの確率で得点できるようになるでしょう。
さて,今回も貸借対照表を続けます。
貸借対照表は,第30回以外はすべて出題されています。
そのうち,正解になったのはたった一回です。
6回も出題されているのに正解は一回だけです。
これが物語っているのは,財務諸表は理解しにくいので,間違い選択肢として出題されやすいということです。
貸借対照表を再び掲載します。
(自)●年●月●日(至)●年●月●日
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借方
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貸方
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資産の部
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負債の部
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資産
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負債
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流動資産
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流動負債
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固定資産
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固定負債
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負債の部合計
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純資産の部
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純資産
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基本金
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国庫補助金等特別積立金
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その他の積立金
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純資産の合計
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資産の部合計
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負債の部及び純資産の部合計
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左型の借方には,資産が計上されて,資金運用方法を理解することができます。
右側の貸方には,負債と純資産が計上されて,そのバランスを確認することができます。
さて,それでは今日の問題です。
【28-123】 会計や経営に関する次の記述のうち正しいものを1つ選びなさい。
1 直接金融とは,銀行などの金融機関から直接借入れることを指す。
2 貸借対照表の借方とは,どこから資金を調達したかを示し,貸方とは,どのように資金を使用しているかを示す。
3 減価償却とは,固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価を,その耐用年数にわたって費用化する手続である。
4 社会福祉法人のうち,収益が10億円未満の法人には財務諸表開示の義務がない。
5 会計用語上,収益と利益は同一である。
勉強不足の人は,問題を見たら投げ出したくなるような問題かもしれませんね。
この問題の正解は,
3 減価償却とは,固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価を,その耐用年数にわたって費用化する手続である。
財務管理の出題は,6回ありますが,その中に減価償却が出題されなかったのはたったの1回だけです。
ほとんどが減価償却を含めて出題されており,そしてほとんどが間違い選択肢として出題されています。正解になったのは,この回限りです。
それではほかの選択肢もどこが間違っているのか確認していきましょう。
1 直接金融とは,銀行などの金融機関から直接借入れることを指す。
おかしな問題だと思いませんか?
金融機関から直接借り入れるのが直接金融だとすれば,間接金融とはどんなものをいうのでしょうか?
金融機関から直接ではないということになると,金融機関の資金を闇金融ブローカーを通して調達するということになるのでしょうか?
2 貸借対照表の借方とは,どこから資金を調達したかを示し,貸方とは,どのように資金を使用しているかを示す。
借方と貸方の一般イメージと同じように出題してきましたね。
勉強不足の人は,こういったものに引っ掛けられます。
借方は,資産を記載して,資金運用方法を示します。
貸方は,負債,純資産を記載します。
4 社会福祉法人のうち,収益が10億円未満の法人には財務諸表開示の義務がない。
財務諸表の開示は,収益の規模にかかわらず,すべての社会福祉法人に開示義務があります。
5 会計用語上,収益と利益は同一である。
収益は,事業活動で得た収入です。
利益は,収益から費用を引いたものです。
意味が同じなら,2つの用語を存在させる意味がありません。
<今日の一言>
今日の問題では,
2 貸借対照表の借方とは,どこから資金を調達したかを示し,貸方とは,どのように資金を使用しているかを示す。
という特徴的なものが間違い選択肢として出題されています。
先に述べたように,言葉から受ける一般イメージは
借方 → 負債
貸方 → 資産
だと思います。
しかし,実際は,借りるという漢字が入っているにもかかわらず,資産を記載します。
正しくは
借方 → 資産
貸方 → 負債と純資産
となります。
こういった一般イメージと違うものは,間違いやすいので,注意深くしっかり覚えていきましょう。