2016年に改正された社会福祉法は,社会福祉法人の経営のガバナンスと透明性の強化を目指したものです。
社会福祉法人は,利益の配当が認められていないために,赤字経営ではない限り,過去の利益は蓄積していきます。これは以前に出題されていましたね。
そこで,この改革では,厚生労働省が定めた額以上の社会福祉充実残額がある社会福祉法人に対して,その使い道を定める社会福祉充実計画の作成を義務付けました。
それでは今日の問題です。
第30回・問題122 社会福祉法人の財務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。
2 土地は,減価償却の対象となる資産である。
3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。
4 財務諸表に関する開示義務はない。
5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。
社会福祉法人改革にかかわる出題です。
今見返してみると,過去最高の合格基準点となった第30回国試らしい問題だと思います。
具体的にいうと,簡単であるということです。
正解は,
1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。
これを正解にする意図は正しいと思います。
しかし,ほかの選択肢があまりにも簡単すぎます。
それでは,ほかの問題も確認していきましょう。
2 土地は,減価償却の対象となる資産である。
この問題で注意しなければならないのは,この選択肢です。
土地は減価償却の対象にはなりません。
しかし,今までの出題に比べると格段にやさしくなっています。
第23回
減価償却とは,長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した支出を,その資産が使用できる期間にわたって費用配分する会計上の手続きであり,福祉サービスのために利用する土地や建物もその対象となる。
第27回
財務諸表では,「土地」のように価値が上下する資産については,毎期一定の方法により償却計算を行わなくてはならない。
第29回
減価償却費はコストであるため,法人外部に資金流出する。
第30回
土地は,減価償却の対象となる資産である。
4回を並べてみると,第23回が最も長い文章で構成されていて,だんだん短くなっていることがわかります。
問題文が短くなればなるだけ,引っ掛けポイントが少なくなるので,勉強した人はわかりやすくなります。
3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。
財務会計はもちろん内部での使用を目的としていますが,対外的な説明責任を果たすためにも用いられます。
4 財務諸表に関する開示義務はない。
以前は,財務諸表は事業所に備え付けていればよかったですが,法改正により,インターネットでの公表が義務付けられています。
そのため,ネットで検索すると,たくさんヒットすると思います。
それよりも,義務のないものをわざわざ出題する必要がありません。
5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。
法改正によって,役員の報酬等の支給の基準の公表が義務づけられています。
これも選択肢4と同様に,義務のないものをわざわざ出題する必要がありません。
<今日の一言>
減価償却のところでも書きましたが,魔の第25回国試以降,年々問題の文字数が少なくなっていきました。
その傾向を改めるきっかけになったのが,第30回国試です。
過去最低の合格基準点となった第25回とは逆に,第30回国試は過去最高となりました。
90点を基準にすると
第25回は,マイナス18点
第30回は,プラス9点
現時点で直近の国試である第31回は,第28回国試問題レベルまで文字数が増えました。
そのことによって
合格基準点は89点となりました。
これだけ振れ幅が違うと,どんな勉強をすればよいかわからなくなる人も出てくることでしょう。
合格基準点が上下するのは,問題の難易度によるものです。
合格できるのは,上位30%のみです。
いかに上位30%に入るかが重要です。
しかし,今は第30回国試よりも文字数が長くなったとは言え,第25回国試と比べると短いです。
そのため,勉強した人は,点数が取れる問題となっています。
国試は,勉強した人が得点できて,勉強が足りない人は得点できない問題でなければなりません。
そういった意味で,今はバランスが取れている問題が出題される傾向にあります。
そこで重要なのは,取れる問題は確実に得点することです。
国試問題には,出題の癖があるので,解答テクニックでもある程度の点数が取れます。
過去問を解くときは,出題の癖を考えながら解くようにしましょう。
つまらないミスは命取りになります。
つまらないミスとは,今日の問題で言えば,選択肢4や5をしてしまうことをいいます。
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