2017年9月12日火曜日

地域包括ケアシステムの構築が急がれる!!

今日は,前置きなしに今日の問題です。


25回・問題41


地域のケアシステムに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 2000(平成12)年に改正された社会福祉法第4条において,市町村が地域福祉の推進に努めなければならない,と規定された。


2 日常生活自立支援事業において,基幹的社会福祉協議会の常勤職員である専門員は,利用者への定期的な訪問等の直接的な支援の業務を行っている。


3 高齢者介護研究会によりまとめられた「2015年の高齢者介護」では,地域包括ケアが有効に機能するためには,関係者の連絡調整=サービスのコーディネートの役割を担う機関が必要であり,地域包括支援センター等の強化を求めていた。


4 地域包括支援センターは地域のケアシステムの中核を担うことから,介護保険法上の規定とともに,社会福祉法の第二種社会福祉事業として規定されている。


5 地域包括ケアシステムの推進について,2011(平成23)年の介護保険法改正において,国及び地方公共団体が保険給付にかかわる施策及び予防,生活支援の施策の推進と,医療,居住の施策との連携を含め,包括的推進に努める規定が置かれた。


地域包括ケアシステムの構築は,喫緊の問題です。

2025年は,団塊の世代が後期高齢者に突入していきます。

これに向けて,国は「医療介護総合確保推進法」を成立させて,一直線に突き進んでいます。

医療,介護,住まい,予防,生活支援サービスが身近な地域で包括的に確保される体制が地域包括ケアシステムです。


地域包括ケアシステムに限らず,地域福祉の重要はますます高まってくることと思います。

そんな中,前回の問題


地域福祉における社会資源とは,地域住民のニーズを充足するために用いられるものをいうことから,サービスを利用する住民は含まれない。


これは間違い選択肢ですが,国から見たら,これを正解にした受験生は,たとえ合格基準点に到達していたとしても,不合格にしたいと思う問題だと思います。


元気高齢者に限らず,サービス利用者であっても地域福祉を担う推進主体なのです。



さて,それでは詳しく見て行きましょう。


1 2000(平成12)年に改正された社会福祉法第4条において,市町村が地域福祉の推進に努めなければならない,と規定された。


社会福祉事業法が2000年に社会福祉法に改正された時に,地域福祉の推進が明文化されました。

その当時はよく出題されたものですが,地域のケアシステムにかけてしばらくぶりの出題です。


地域福祉の推進主体は,

地域住民

社会福祉を目的とする事業を経営する者

社会福祉に関する活動を行う者


市町村だけではなく,都道府県も推進主体ではありません。

よって×。


極めてスタンダードな問題ですが,地域福祉の推進主体については,これからも出題されることでしょう。


しっかり覚えていきましょう。



2 日常生活自立支援事業において,基幹的社会福祉協議会の常勤職員である専門員は,利用者への定期的な訪問等の直接的な支援の業務を行っている。


これもとてもスタンダードな問題です。


契約や支援計画を作成するのは,専門員


日常的な直接的な支援の業務を行っているのは,生活支援員


日常生活自立支援事業は,この科目でも出題されますし,権利擁護でも出題されます。

しっかり押さえておきましょう。



3 高齢者介護研究会によりまとめられた「2015年の高齢者介護」では,地域包括ケアが有効に機能するためには,関係者の連絡調整=サービスのコーディネートの役割を担う機関が必要であり,地域包括支援センター等の強化を求めていた。



2015年の高齢者介護」は,2003年にまとめられたものです。

2015
年はずいぶん先のことだと思っていたのに,いつのまにかそれさえも過ぎてしまいました。

映画「バックトゥザフューチャー」が公開された1985年に30年後の社会である2015年ははるか未来の話だと思っていたのに,その時になってみたら,スケボーは宙に浮きませんし,車が空を飛ぶこともありませんし,ましてやズボンのポケットを出したファッションも流行しませんでした。


その間,変わったのは,携帯電話が出てきてスマホになったということでしょうか。


さて,2015年の高齢者介護に戻ります。


地域包括支援センターが誕生したのは,2006年です。

この時点では,まだ存在していません。存在していないものを強化することはできません。

よって×。

この時点で存在していたのは,老人福祉法に基づく在宅介護支援センターです(もちろん現存)。

ちなみに,2015年の高齢者介護は,要介護状態になっても,住み慣れた場所から離れなくてもよい社会の実現を目指していました。

それを元に2005年の介護保険法改正で,地域密着型サービスが誕生しました。



4 地域包括支援センターは地域のケアシステムの中核を担うことから,介護保険法上の規定とともに,社会福祉法の第二種社会福祉事業として規定されている。


地域包括支援センターは,先述のように2005年の介護保険法改正で誕生したものです。

社会福祉法では規定されてはいません。

よって×。


地域包括支援センターは介護保険に基づくものです。

老人福祉法に規定されるならまだ分かりますが,社会福祉の基本法である社会福祉法に規定されることはないです。

もし地域包括支援センターが社会福祉法に規定されることになると,介護だけではなく,障害者,児童,などすべてのセンターとして位置づけられていることになります。

それを考えるとこの選択肢が正解になることは絶対に考えられません。



5 地域包括ケアシステムの推進について,2011(平成23)年の介護保険法改正において,国及び地方公共団体が保険給付にかかわる施策及び予防,生活支援の施策の推進と,医療,居住の施策との連携を含め,包括的推進に努める規定が置かれた。


今日の問題は。珍しく14までの選択肢は順調に消去することができました。

残る選択肢5が消去法で残ることになります。


今思い返すと,地域包括ケアの推進は,2011年に既に規定されていたことが分かります。よって正解です。


つまり,地域包括ケアシステムの出発点は,2011年改正にあったということです。

この改正のことは分からなくても,消去法でこれが残ったはずです。


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