2017年9月7日木曜日

「地域福祉」は得点できる科目です!!

難易度が科目で違うのは,科目の内容の性質によるので仕方のないところかと思います。


「現代社会と福祉」と「地域福祉の理論と方法」はどちらも10問の科目ですが,点数の取りやすさは,「地域福祉」の方が何倍も易しいです。

その年の難易度にもよりますが,10点中8・9点は可能です。


とはいうものの今日の問題は,難しい問題です。

さすがは第25回の問題だなあ,と思います。


それでは改めて今日の問題です。


第25回・問題32


地域社会の変化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 「住民基本台帳人口移動報告(平成23年結果)」(総務省)によれば,1996(平成8)年以降の3大都市圏(東京圏,名古屋圏及び大阪圏)全体の転入・転出超過数は,定年退職者の故郷へのUターンの増加により,転出が上回っている。


2 中山間地域とは,人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能及び生活環境の整備等が他の地域と比較して低位にある地域のことをいう。


3 「平成の大合併」の結果,地方自治法上の人口要件である5万人を満たす市が,全体の7割を占めることとなった。


4 「平成22年度版『過疎対策の現況』について」(総務省)によれば,過疎地域における人口の社会減は,2008(平成20)年より減少幅が縮小に転じ,自然減は出生率の低下傾向により減少幅が拡大傾向にある。


5 2035(平成47)年の75歳以上人口が,2005(平成17)年を下回る自治体は,大都市とその郊外に多い。



地域福祉の問題というよりは,社会理論か現代社会の科目で出題しても良さそうな問題です。


この手の報告書などからの出題は,解けても解けなくても良い範疇の問題だと言えます。


それはさておき,問題を詳しく見ていきましょう。


1 「住民基本台帳人口移動報告(平成23年結果)」(総務省)によれば,1996(平成8)年以降の3大都市圏(東京圏,名古屋圏及び大阪圏)全体の転入・転出超過数は,定年退職者の故郷へのUターンの増加により,転出が上回っている。



難しい問題ですね。



報告書等からの問題の難易度が高いのは,一般的に考えるものと違うものが答えになることがあるからです。



試験委員もびっくりしたことだから,出題するのかもしれません。



と驚かせたところで,問題に戻ります。



Uターンのために転出が多ければ,地方の人口は増加するはずです。



しかしそんなことはありません。



また3大都市圏に限らず主要都市は,まだ人口が増加しています。


それらのことから,転入の方が多そうだと言えるでしょう。


答えはもちろん転入の方が多いです。

よって×。



2 中山間地域とは,人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能及び生活環境の整備等が他の地域と比較して低位にある地域のことをいう。



中山間地というところから,山あいの地であることは想像がつくことでしょう。


因みに山間は「さんかん」ですが,「やまあい」とも読みます。


人口減少は関係ないです。


よって×。



3 「平成の大合併」の結果,地方自治法上の人口要件である5万人を満たす市が,全体の7割を占めることとなった。



平成の大合併では,市町村合併が進み,それ以前は3,000以上あった市町村数は半分近くの約1,700まで減りました。それに伴い市になったところもあります。


チームfukufuku21は,数字の割合の感覚を以下のように考えています。


1~3割 見かけることはまれ
4~6割 半分くらい
7~9割 よく見かける,ほとんどすべて



この感覚はしっかり押さえておいていただきたいです。

問題を解くためのヒントになります。


問題に戻ると7割であると出題されています。

7割は「ほとんどすべて」という感覚になります。

それはないだろうと思いませんか。


国試では,微妙な数字の違いを問うことはないです。


例えば,

7割を8割,3割を4割にするなどはないです。

もしそういう出題があるとすれば,悪問と言えます。


4割を6割,6割を4割と出題することはあります。

半分を超えるか超えないかはとても意味のあるものだからです。

突然出題されるものではなく,何度も出題されるものです。


この問題の答えは,7割ではなく3割です。


よって×。


4 「平成22年度版『過疎対策の現況』について」(総務省)によれば,過疎地域における人口の社会減は,2008(平成20)年より減少幅が縮小に転じ,自然減は出生率の低下傾向により減少幅が拡大傾向にある。



社会減は,転入よりも転出が多いこと,自然減は,死亡者数よりも出生数が少ないことです。


よく分かりませんでしたが,これが正解だそうです。


因みに社会減が一番多かった時代は,高度経済成長の時代です。


地方から若者が「金の卵」と呼ばれて都市に集まってきました。


合計特殊出生率は,2006年以降は上昇傾向にありますが,出生数は一貫して減少しています。



5 2035(平成47)年の75歳以上人口が,2005(平成17)年を下回る自治体は,大都市とその郊外に多い。



ここで引っ掛けられてしまうのは,高齢化率ではなく,人口です。



現時点では,過疎地域は若者がいません。

大都市は若者がいます。


20年後,高齢者が増えるのは,大都市圏であることがこれで分かります。


って×。



過疎地域は,若者世代自体が少ないので,高齢者人口は増えません。


今日のような難しい問題は,今は少ないです。


決して恐れることなく,覚えていきましょう。

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