児童福祉法の障害児支援は,障害者に対する支援と障害者自立支援制度の出題基準に含まれます。
第25回,第26回,第27回,と出題されてきて,第28回,第29回は出題されていません。
この流れでは,第30回の出題確率は低そうです。
2017年に,児童福祉法は改正されているのですが,改正ポイントは,児童虐待防止を強化するものなので,出題されるとすると,児童・家庭の出題範囲となると思います。
情緒障害児短期治療施設が児童心理治療施設に名称が変わっていますが,それも児童・家庭の出題範囲でしょう。
とはいっても,障害児支援の中でも「障害児相談支援」は重要なので,押さえておく必要があります。
障害児相談支援
障害児通所支援を利用する際,必要な場合,障害児相談支援事業者がケアマネジメントを実施するものです。
指定するのは市町村です。計画相談支援と同じです。
計画相談支援と同じように,
ケアプランを作成する障害児支援利用援助
モニタリングを実施する継続障害児支援利用援助
があります。
さて,これをもとにして,今日の問題です。
第25回・問題61
児童福祉法における障害児支援サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 この法律で,障害児とは,身体に障害のある児童又は知的障害のある児童をいう。
2 放課後等デイサービスは,就学している障害児につき,放課後又は休業日に主に見守りの支援を行うものである。
3 障害児通所支援とは,放課後等デイサービス,児童発達支援,医療型児童発達支援のことをいう。
4 保育所等訪問支援は,障害児の指導に経験のある保育士等が保育所等を訪問して,障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援等を行うものである。
5 障害児相談支援とは,障害児入所施設への入所の相談に応じて障害児支援利用計画を作成することをいう。
2012年の児童福祉法改正で,体系が整理されています。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 この法律で,障害児とは,身体に障害のある児童又は知的障害のある児童をいう。
先ほど紹介しましたように,第25回が障害児支援の出題の初めてでした。
第25回国試は,おかしなイメージがあると思いますが,最初に定義を持ってくるのは,実に律儀だと思いませんか?
法では
身体に障害のある児童
知的障害のある児童
精神に障害のある児童(発達障害児を含む。)
難病の児童
とされています。
よって×。
2 放課後等デイサービスは,就学している障害児につき,放課後又は休業日に主に見守りの支援を行うものである。
放課後等デイサービスは,この改正時に創設されたものです。放課後又は休業日に生活能力向上のために必要な訓練,社会交流の促進などの便宜を供与するものです。
見守りの支援を行うものではありません。
よって×。
3 障害児通所支援とは,放課後等デイサービス,児童発達支援,医療型児童発達支援のことをいう。
2012年改正で再編された障害児通所支援
児童発達支援
医療型児童発達支援
放課後等デイサービス
保育所等訪問支援
問題文では,保育所等訪問支援が抜けています。
よって×。
保育所等訪問支援もこの時創設されたものです。
4 保育所等訪問支援は,障害児の指導に経験のある保育士等が保育所等を訪問して,障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援等を行うものである。
この問題は,第25回の割に律儀だと本当に思います。
新設された「放課後等デイサービス」と「保育所等訪問支援」をきっちり出題し,一つは間違い選択肢だと分かりやすく出題して,もう一つは正解選択肢にしています。
ということで,
これが正解です。
5 障害児相談支援とは,障害児入所施設への入所の相談に応じて障害児支援利用計画を作成することをいう。
障害児相談支援は,障害児通所支援で障害児支援利用計画を作成するものです。
入所は対象外です。
よって×。
入所する場合,障害児相談支援の対象となっていないのは,児童相談所が専門的な判断を行うため,障害児支援利用計画は作成しないためです。
制度は,理由があって作られています。
どうしてもおぼえにくい制度は,ネットで概説などを見てみるのも一つの手です。
参考書で理解しにくいことも氷解することがあります。
勉強は,遠回りのように見えても,後から考えると実は近道であることもあります。
このブログもそんな存在になるように頑張って情報を発信していきたいと思います。