2017年9月29日金曜日

保護施設の覚え方

生活保護は,基本的には居宅保護ですが,保護施設もあります。

たった5つしかないので,しっかり覚えましょう

さて,今日のテーマは,保護施設の覚え方です。

急行は,伊豆にとまる(きゅうこうは,いじゅにとまる)



きゅう ・・・救護施設(生活扶助)

こう・・・・・更生施設(生活扶助)

(は)

い・・・・・・医療保護施設(医療扶助)

じゅ・・・・・・授産施設(生業扶助)

(に)

とまる・・・・宿所提供施設(住宅扶助)


現在は,5種類ですが,以前は養老施設もありました。

救護法で養老院として創設され,生活保護法で養老施設,老人福祉法が出来た時に,同法に基づく養護老人ホームに移行しています。


保護施設を設置できるのは,


都道府県

市町村

地方独立行政法人

社会福祉法人

日本赤十字社 
 
のみです。


たいてい「のみ」という出題があると間違い選択肢になることが多いですが,保護施設は,この5つに限定されていますので,「のみ」がついていても珍しく正解になります。


日赤はイメージしにくいためなのか,日赤部分を医療法人など変えて間違い選択肢にすることがあります。


急行は伊豆に停まる

のところの保護施設のうしろの(  )は,どの扶助を目的としているかを示しています。

重なっているのは,「急行」の部分の救護施設&更生施設の生活扶助だけです。

過去問では,ここに宿所提供施設も絡めて,

生活扶助を目的とする保護施設は,救護施設,更生施設,宿所提供施設である


という出題がなされているので要注意です。

宿所提供施設は住宅扶助です。

間違わないようにしっかり覚えておきましょう。


保護施設は実は意外と数が少ないのです。

全国でも約300施設しかありません。

そのうち約200施設は救護施設が占めています。

その他の施設は,更生施設(約20施設),医療保護施設(約60施設),授産施設(約20施設),宿所提供施設(約20施設)となっています。


圧倒的に救護施設が多いのが分かることでしょう。


救護施設の数が多いためか,大きな期待が寄せられ,退所者に向けた「保護施設通所事業」を実施することで,退所促進を図っています。

この事業は更生施設でも行っています。



それでは今日の問題です。


25回・問題65

生活保護法第38条における保護施設について,次の記述のうち,正しいものを1つ選びさい。


1 保護施設には,救護施設,更生施設・医療保護施設・授産施設,宿所提供施設,養老施設の6種類がある。


2 救護施設は,自立支援の観点から,保護施設退所者を対象に,通所による生活指導・生活訓練等と居宅等への訪問による生活指導等の事業も行うものとされている。


3 更生施設は,就業能力の限られている要保護者の就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて,その自立を助長することを目的とする施設である。


4 保護施設のうち,2010(平成22)年度現在で設置数が最も多いのは宿所提供施設である。


5 保護施設を設置できるのは,都道府県,市町村,社会福祉法人及び特定非営利活動法人に限定されている。 



先のヒントで答えはもう分かったと思います。


それでは詳しく見て行きましょう。


1 保護施設には,救護施設,更生施設・医療保護施設・授産施設,宿所提供施設,養老施設の6種類がある。


養老施設は,現在は老人福祉法に基づく養護老人ホームになっています。

保護施設は「急行は,いじゅに停まる」の5つです。

よって×。


2 救護施設は,自立支援の観点から,保護施設退所者を対象に,通所による生活指導・生活訓練等と居宅等への訪問による生活指導等の事業も行うものとされている。


先にヒントを出したので,これが正解だと分かることでしょう。

しかし国試時点では分からなかったと思うので,冷静に▲をつけます。

もちろん正解です。


厚労省は,実施している施策でよく知られていないものを周知したいという欲望をいつも抱いています。

救護施設&更生施設(生活扶助)は,退所したら「バイバイ」ではなく,保護施設通所事業を行っていることを知っている人はそれほど多くはないはずです。


しかし,一度出題したら,「広く知ってもらう」という目的は達成されているので,もう出題されることはないです。

このようにして「一見さん」が増えていきます。

参考書には記載されていくので,受験生は覚えるものが増えるように思いますが,実際には多くの「一見さん」は二度と出題されることはないのです。だから一見さんです。


3 更生施設は,就業能力の限られている要保護者の就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて,その自立を助長することを目的とする施設である。


更生施設の「更生」とは,リハビリテーションのことです。

そこから,「身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする施設」であることを連想すると良いです。


さて,問題に戻ります。

「就労及び技能の修得」というところから,生業扶助を目的とする授産施設であることが分かると思います。

よって×。


4 保護施設のうち,2010(平成22)年度現在で設置数が最も多いのは宿所提供施設である。


「最も少ないのは何?」と聞かれると分かりませんが,最も多いのは,救護施設であることは分かります。

圧倒的に多いです。

よって×。


5 保護施設を設置できるのは,都道府県,市町村,社会福祉法人及び特定非営利活動法人に限定されている。


NPO法人は,保護施設を設置できませんよね。

よって×。

ここではNPO法人となっていますが,先述のように医療法人といったように間違い選択肢が作られます。

正しくは「日本赤十字社」です。

日赤は「日本赤十字社法」に基づく特殊法人で,「この法律では,日本赤十字社は社会福祉法人とみなす」といった規定がされることが多いです。


<今日の一言>


国家試験における一見さんの取り扱い


いわゆる「一見さん」が正解選択肢として出題されるのは,他の選択肢が消去できる場合が多いです。


今日の問題でも,その他の選択肢は明確に間違いであることが分かるものでした。



これが分かってくると,もっと難易度が高い「はじめまして問題」であっても,正解できる率が高まります。

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