2017年9月4日月曜日

丸暗記による勉強法の功罪

9/7(木)から,いよいよ受験申込みが始まります。

受験申込みするためには,「受験の手引き」が必要です。

まだ取り寄せていない人は,忘れずに取り寄せてくださいね。

苦労して得た受験資格です。

受験申し込みを忘れて受験できなかったというのであれば,悲しすぎます。


今日のテーマは,「丸暗記の功罪」です。


合格するための勉強法として,丸暗記は法制度には効果的です。

例えば


指定特定相談支援事業所の指定は市町村

指定一般相談支援事業所の指定は都道府県


といった感じです。


しかし理論系の問題は丸暗記は有効ではないことが多いです。

なぜなら,法制度のように定型の法の条文があるわけではないからです。



さて,今日の問題です。


25回・問題28

福祉政策に関する考え方や概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 政府による規制を,経済的規制と社会的規制に分けると,雇用・労働に関する規制は経済的規制,福祉サービスに関する規制は社会的規制に分類される。


2 社会福祉基礎構造改革の基本理念の一つである社会福祉における公私分離の原則に基づいて,2000(平成12)年に成立した社会福祉法(社会福祉事業法の改正)に,民間社会福祉事業の自主性の尊重に関する規定が新たに盛り込まれた。


3 福祉制度の捕捉率(テイクアップレート)とは,その制度の利用資格をもつ人々のうち実際にその制度を利用している人々の割合である。


4 フェルト・ニーズ(感得されたニーズ)とは,専門家が感じ取ってはいるが,社会調査等の客観的方法でその存在を証明できていないニードを指す。


5 措置制度のもとでは,福祉サービスの利用者と措置権者の間での契約に基づいてサービスが提供される。



今日もまた「現代社会と福祉」からの問題です。昨日の問題から比べるとまだ難易度はそれほど高くはないですが,それでも難しいですね。


捕捉率(テイクアップレート)が初めて出題されました。


難しそうに見えても,落ち着いて読めば,何とか答えは導き出せる問題です。



1 政府による規制を,経済的規制と社会的規制に分けると,雇用・労働に関する規制は経済的規制,福祉サービスに関する規制は社会的規制に分類される。


経済的規制,社会的規制については,初めて出題されました。それまでは参考書にも載っていなかったものです。

まったくお手上げです。


おそらく国試では,この選択肢を正解として選んだ受験生が多かったのではないでしょうか。


こんな時は,落ち着いて▲を付けておきます。


答えを言うと,雇用・労働に関する規制は社会的規制です。



2 社会福祉基礎構造改革の基本理念の一つである社会福祉における公私分離の原則に基づいて,2000(平成12)年に成立した社会福祉法(社会福祉事業法の改正)に,民間社会福祉事業の自主性の尊重に関する規定が新たに盛り込まれた。



公私分離の原則は,GHQSCAPIN775(社会救済に関する件)で示したものです。

これに基づき,旧・生活保護法が作られました。


現・生活保護法は,日本国憲法の第25条の生存権に基づき作られています。


社会福祉基礎構造改革の基本理念ではないです。

よって×。



3 福祉制度の捕捉率(テイクアップレート)とは,その制度の利用資格をもつ人々のうち実際にその制度を利用している人々の割合である。


テイクアップレートと出題されたら,お手上げだったところですが,捕捉率(テイクアップレート)というわように日本語で出題されています。


しかし,よく分からないので冷静に▲を付けておきます。


答えを言うと,これが正解です。


4 フェルト・ニーズ(感得されたニーズ)とは,専門家が感じ取ってはいるが,社会調査等の客観的方法でその存在を証明できていないニードを指す。



ブラッドショーのニーズの分類は,超頻出ですね。

それぞれしっかり覚えておきたいです。


フェルト・ニーズは,本人がニーズがあることを感じているニーズですね。


この時点ではまだ行動していません。


ニーズを充足するために行動すると表明されたニーズになります。


よって×。



5 措置制度のもとでは,福祉サービスの利用者と措置権者の間での契約に基づいてサービスが提供される。



措置制度は,契約ではなく,措置権者による行政処分として,サービスが提供されます。

よって×。


さて,▲をつけたものは,13です。


1はよく分かりません。


しかし,3は先述のように,捕捉率(テイクアップレート)と出題されています。


捕捉率というのは,制度を利用できる資格をもつ人のうち,実際にどのくらいの人が利用しているのか,という意味ではないかなぁ,と想像することができるでしょう。



日本語は漢字が意味を表わすので,このような想像ができます。



実際に,この想像は当たっています。


分からない時のヒントを考える時には,漢字の意味も考えてみましょう。


知らない,分からない

と思考を止めてしまった終わりです。


丸暗記勉強は,思考を止めてしまう恐れがあります。


十二分に気を付けましょう。


必ず考えながら覚えることです。

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