心理学と心理的支援は,攻略しやすい科目です。
<得点しやすい理由>
②間違い選択肢には言い回しの不自然がある。
特に
①出題基準に沿って出題されている。
はありがたいです。
たった6問しか出題されないにもかかわらず,今のところ,毎年出題される領域があります。
それが今日のテーマの心理療法です。
社会福祉士は実際に心理療法を行うことはないため,詳細な知識は求められていません。
おおよそどんなものであるかを理解していれば,十分です。
種類が多くて覚えるのが大変だと思う人もいると思いますが,出る可能性が高いものを覚えることなく国家試験に臨むのは,戦略ミスです。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題14
心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 精神分析療法では,無意識のエス(イド)の活動と,意識の自我(エゴ)の活動とが適切に関連するよう援助する。
2 家族療法は,家族問題を抱える個人を対象とする療法である。
3 遊戯療法(プレイセラピー)は,言語によって自分の考えや感情を十分に表現する方法であり,主として心理劇を用いる。
4 系統的脱感作法は,四肢の重感や温感,心臓調整,呼吸調整,腹部温感,額部涼感を順に得ることで,心身の状態を緊張から弛緩へと切り替える。
5 臨床動作法は,「動作」という心理活動を通して,身体の不調を言語化させる療法である。
この問題は,知識ゼロでは正解するのは,5分の1以上の確率で正解することは困難です。
しかし,この問題の中には「言語」が含まれているものが2つあります。
3 遊戯療法(プレイセラピー)は,言語によって自分の考えや感情を十分に表現する方法であり,主として心理劇を用いる。
5 臨床動作法は,「動作」という心理活動を通して,身体の不調を言語化させる療法である。
この試験委員が言語にこだわっていることが推測できますが,遊戯療法と臨床動作法は,いずれも言語を用いるのは,それらの言葉からそぐわない感じがしませんか。
ここに気がつくことができれば,正解できる確率を3分の1まで引き上げることができます。
それでは,解説です。
1 精神分析療法では,無意識のエス(イド)の活動と,意識の自我(エゴ)の活動とが適切に関連するよう援助する。
これが正解です。
この問題の難易度が高いのは,これが正解だからです。
エス(イド)とエゴの働きについては,多くの教科書には掲載されていると思いますが,国家試験に出題されるのは多くありません。
生まれたばかりの時は「●●したい」という「エス(イド)」の塊です。
成長するにしたがって,「●●してはいけない」という「超自我(スーパーエゴ)」が生まれてきます。
「●●したい」という欲望を「●●してはいけない」という「超自我(スーパーエゴ)」が抑圧していきます。
フロイトの精神分析学では,無意識の領域に抑圧したものが心身に影響を及ぼすと考えました。
「エス(イド)」と「スーパーエゴ」のバランスを取るのが,「自我(エゴ)」と呼ばれるものです。
エゴは,別な言い方をすれば,「冷静な自分」ということができるかもしれません。
精神分析療法では,エゴの適切に働くようにアプローチしていきます。
2 家族療法は,家族問題を抱える個人を対象とする療法である。
家族療法は,家族問題を抱える個人ではなく,家族全体を対象とする心理療法です。
家族の成員同士が影響を与え,影響を受けるものだからです。
3 遊戯療法(プレイセラピー)は,言語によって自分の考えや感情を十分に表現する方法であり,主として心理劇を用いる。
心理劇を用いるのは,サイコドラマです。
遊戯療法は,遊びの中に抑圧されているものが表現されていると考えます。うまく言語化できない子どもなどを対象として実施されます。
4 系統的脱感作法は,四肢の重感や温感,心臓調整,呼吸調整,腹部温感,額部涼感を順に得ることで,心身の状態を緊張から弛緩へと切り替える。
四肢の重感や温感,心臓調整,呼吸調整,腹部温感,額部涼感を順に得ることで,心身の状態を緊張から弛緩へと切り替えるのは,催眠療法の一つである自立訓練法です。
系統的脱感作法は,学習療法を用いて,不安に思うものに徐々に慣れさせていく心理療法です。
5 臨床動作法は,「動作」という心理活動を通して,身体の不調を言語化させる療法である。
臨床動作法は,動作を通して心理的問題を改善させようとする心理療法です。