骨は,体幹に近い方が近位,遠い方が遠位と呼びます。
国家試験では,以下のように出題されています。
・前腕の骨折は橈骨遠位端に起きやすい。(第15回・問題75より) 正解
・手をついて転倒すると,前腕の橈骨近位端で骨折することが多い。(第23回・問題3より) 誤り
橈骨の骨折が遠位端に起きやすいのは,2つめの出題にあるように,転倒した場合,とっさに手をついて体を守ろうとするからです。
その時に,手首をひねって,遠位端が折れます。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題4
骨・関節疾患及び骨折に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 骨粗鬆症は女性より男性に多い。
2 関節リウマチでみられる手指のこわばりは夕方に多い。
3 腰部脊柱管狭窄症は若年者に多い疾患である。
4 大腿骨近位部骨折は保存治療が優先される。
5 変形性関節症の中で最も多いのは,変形性膝関節症である。
選択肢4に骨折が出題されています。
この問題の正解は,選択肢5です。
5 変形性関節症の中で最も多いのは,変形性膝関節症である。
この時は,正解となっていますが,変形性関節症は多くの場合,引っ掛けで使われることが多い傾向にあります。
・変形性膝関節症は,廃用症候群に属する。(第28回・問題5より)
・廃用症候群の一つに変形性関節症がある。(第22回・問題2より)
・変形性関節症が頻発する部位は,肘関節である。(第26回・問題2より)
廃用症候群とは,生活不活発病と呼ばれるように,体を動かさないことで生じる身体上の問題です。
変形性関節症は,関節の軟骨が摩耗,変性することで,痛みを生じるものです。
加齢や肥満などが要因となり,発症します。
それでは,解説です。
1 骨粗鬆症は女性より男性に多い。
骨粗鬆症は女性に多く見られます。
2 関節リウマチでみられる手指のこわばりは夕方に多い。
関節リウマチでみられる手指のこわばりは朝方に多く見られます。
3 腰部脊柱管狭窄症は若年者に多い疾患である。
腰部脊柱管狭窄症は,加齢によって生じることが多い疾患です。
4 大腿骨近位部骨折は保存治療が優先される。
大腿骨近位部は,太ももの付け根の部分です。
大腿骨近位部骨折には,人工骨頭を入れるなどの手術によって治療します。
5 変形性関節症の中で最も多いのは,変形性膝関節症である。
先述のように,これが正解です。
変形性関節症の中で最も多いのは,変形性膝関節症です。
膝が全身の体重を受け止めているために,すり減りなどを生じやすいためです。