2025年3月15日土曜日

DSM-5に強くなる

  

精神疾患の分類には,WHOが作成した「ICD」とアメリカ精神医学会が作成した「DSM」があります。

 

日本の臨床現場では,ICDが診療報酬の分類になっているために,広く用いられているのはICDです。

 

国家試験の出題基準に示されているのは,共通科目はDSM,精神保健福祉士の専門科目はICDです。

 

現場で使われるICDは,精神保健福祉士で学びなさい,ということなのでしょう。

 

社会福祉士を目指す人は,DSMを学ぶことになります。

 

それでは,今日の問題です。

 

34回・問題6

次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,物質関連障害及び嗜癖障害群に分類されるものとして,正しいものを1つ選びなさい。


1 限局性学習症(限局性学習障害)


2 ギャンブル障害


3 神経性やせ症(神経性無食欲症)


4 強迫症(強迫性障害)


5 急性ストレス障害


 

精神保健福祉士の専門科目では,この問題スタイルで,ICDの分類が出題されてきました。

 

近年は,ICDは,第10版から第11版に変わっていますが,日本語版への改訂作業が進んでいないために,この問題スタイル(分類を問うもの)は,出題されていません。

 

そのために,共通科目で出題したものだと考えられます。

 

しかし,精神保健福祉士のように,分類を知らなければ仕事ができないわけではないので,分類を出題しても,手ごころを加えた問題となっています。

 

この問題の場合は,「物質関連障害及び嗜癖性障害群」に着目します。

 

この言葉から,薬物や趣向系の障害であることが推測できそうです。

 

それでは,解説です。

 

1 限局性学習症(限局性学習障害)

 「1 神経発達症群/神経発達症群」

 

2 ギャンブル障害

 「16 物質関連障害および嗜癖性障害群」

 

3 神経性やせ症(神経性無食欲症)

 「10 食行動障害および摂食障害群」

 

4 強迫症(強迫性障害)

 「6 強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群」

 

5 急性ストレス障害

 「7 心的外傷およびストレス因関連症候群」

 

ということで,正解は,ギャンブル障害です。

 

 

解説を見るとなるほどと思うはずです。

 

社会福祉士の試験なので,今後も攻めた内容にはしないはずです。

 

因みに精神保健福祉士では,以下のような出題がみられます。

 

22回・問題2

次のうち,ICD-10において,解離性(転換性)障害に含まれているものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 トランスおよび憑依(ひょうい)障害

2 強迫性障害

3 パニック障害

4 身体化障害

5 離人・現実感喪失症候群

 

22回は,社会福祉士の第32回と同じ年の試験です。

 

正解は,選択肢1です。

1 トランスおよび憑依障害

 

かなり専門的な感じがすることでしょう。さすが精神保健福祉士だという感じです。

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