精神疾患の分類には,WHOが作成した「ICD」とアメリカ精神医学会が作成した「DSM」があります。
日本の臨床現場では,ICDが診療報酬の分類になっているために,広く用いられているのはICDです。
国家試験の出題基準に示されているのは,共通科目はDSM,精神保健福祉士の専門科目はICDです。
現場で使われるICDは,精神保健福祉士で学びなさい,ということなのでしょう。
社会福祉士を目指す人は,DSMを学ぶことになります。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題6
次のうち,精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,物質関連障害及び嗜癖性障害群に分類されるものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 限局性学習症(限局性学習障害)
2 ギャンブル障害
3 神経性やせ症(神経性無食欲症)
4 強迫症(強迫性障害)
5 急性ストレス障害
精神保健福祉士の専門科目では,この問題スタイルで,ICDの分類が出題されてきました。
近年は,ICDは,第10版から第11版に変わっていますが,日本語版への改訂作業が進んでいないために,この問題スタイル(分類を問うもの)は,出題されていません。
そのために,共通科目で出題したものだと考えられます。
しかし,精神保健福祉士のように,分類を知らなければ仕事ができないわけではないので,分類を出題しても,手ごころを加えた問題となっています。
この問題の場合は,「物質関連障害及び嗜癖性障害群」に着目します。
この言葉から,薬物や趣向系の障害であることが推測できそうです。
それでは,解説です。
1 限局性学習症(限局性学習障害)
「1 神経発達症群/神経発達症群」
2 ギャンブル障害
「16 物質関連障害および嗜癖性障害群」
3 神経性やせ症(神経性無食欲症)
「10 食行動障害および摂食障害群」
4 強迫症(強迫性障害)
「6 強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群」
5 急性ストレス障害
「7 心的外傷およびストレス因関連症候群」
ということで,正解は,ギャンブル障害です。
解説を見るとなるほどと思うはずです。
社会福祉士の試験なので,今後も攻めた内容にはしないはずです。
因みに精神保健福祉士では,以下のような出題がみられます。
第22回・問題2
次のうち,ICD-10において,解離性(転換性)障害に含まれているものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 トランスおよび憑依障害
2 強迫性障害
3 パニック障害
4 身体化障害
5 離人・現実感喪失症候群
第22回は,社会福祉士の第32回と同じ年の試験です。
正解は,選択肢1です。
1 トランスおよび憑依障害
かなり専門的な感じがすることでしょう。さすが精神保健福祉士だという感じです。