2017年8月21日月曜日

頻出のものはどんどんひねられていく

出だしから,嫌味を一発。


これはよく出ていますね。


と言った書き込みを見ることがあります。



よく出るとは,どのくらいの頻度なのだろうか,と思います。



25回に初めて出題されて,第29回に2回目が出題されたようなものは「よく出る」と言うのでしょうか。


「よく出る」と言うには,3回以上は出ているものにしてほしいです。

それでさえ「よく出る」ではなく,「複数回出題されている」というレベルのものでしょう。

多くの人が言う

「よく出る」「頻出である」は,眉唾物です。


なぜなら,多くの人は,そんなに過去問を知らないと思われるからです。



さて,今日のタイトルは,「頻出のものはどんどんひねられていく」です。


チームfukufuku21が言う頻出のものは,本当に頻出です。


その理由はあとから分かります。



それでは,今日の問題です。



25回・問題14 


心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 森田療法では,主に学習の結果,身についた特定の好ましくない症状や行動を明確化し,新たな行動を学習したり修正を行う。


2 精神分析療法では,自我に脅威を与える無意識のエスの活動を抑圧して,意識的世界の自我の活動が円滑になるように援助を行う。


3 来談者中心療法では,クライエントの成長を促進するセラピストの態度条件として,共感的理解,無条件の肯定的配慮,役割行動が必要である。


4 構造的家族療法では,家族集団をセラピーの単位として扱い,個人の問題を家族という脈絡のなかでとらえようとする。


5 遊戯療法では,言語によって自分の考えや感情を十分に表現するに至らないクライエントを対象にして実施され,主に音楽を表現の手段とする。



今日の問題は,心理療法です。


心理療法は,現行カリキュラムになった22以降,毎年出題されています。


超頻出ですね。


それぞれの出題回数を見ます。(第329回。※第12回の問題は非公開)


森田療法 6回(22.2%)     ( )内は出題率。


精神分析療法 6回(22.2%)


来談者中心療法 6回(22.2%)


家族療法 9回 (33.3%)


遊戯療法 5回 (18.5%)


という感じです。


この回に出題されたものは2030%くらいのものが揃っていますね。


実はもっと多いものがあります。


行動療法 18回 (66.7%) これがダントツです。


行動療法と言えば,学習理論。


これはセットで覚えておきたいです。


それでは詳しく見て行きましょう。



1 森田療法では,主に学習の結果,身についた特定の好ましくない症状や行動を明確化し,新たな行動を学習したり修正を行う。



これは,森田療法ではなく,ダントツの行動療法です。

隠れたところにも出没します。絶対に覚えておきたいですね。



2 精神分析療法では,自我に脅威を与える無意識のエスの活動を抑圧して,意識的世界の自我の活動が円滑になるように援助を行う。



精神分析療法では,そんなに出題回数は多くはないですが,精神分析だと,実に18回(66.7%)なので行動療法と同じ出題頻度です。


精神分析は,抑圧されたものを開いて治療する過程を取ります。

抑圧しちゃダメです。

よって×。


抑圧したものは無意識の領域に追いやられています。


それを開くときは,自由連想法というものを使います。




3 来談者中心療法では,クライエントの成長を促進するセラピストの態度条件として,共感的理解,無条件の肯定的配慮,役割行動が必要である。



来談者中心療法は,ロジャースによって開発されたカウンセリング技法です。


共感的理解,無条件の肯定的配慮の態度でクライエントに接することで,クライエントは心を開きます。


役割行動は必要ではありません。


よって×。


この問題の中での役割行動とは,おそらくクライエントに気づきを与える,といったものではないでしょうか。


来談者中心療法は,そういう態度は取りません。

気づきを与えるというのは,パターナリズムです。




4 構造的家族療法では,家族集団をセラピーの単位として扱い,個人の問題を家族という脈絡のなかでとらえようとする。




以前は,家族療法のいろいろな学派が出題されていましたが,しばらくは出題がありませんでした。


また覚えることもないでしょう。


聞くところによると,20年以上前に日本に家族療法が紹介されて,ブームになったことがあったそうです。

今はそれも落ち着いたので,いろいろな学派に関する出題がなくなったということでしょう。


家族療法の特徴は,問題がある人(IPと呼びます)に直接働きかけるのではなく,家族をシステムと捉えて,家族の他のメンバーに働きかけることで変化をもたらす,という手法をとります。


個人の問題ではなく,家族というシステムで捉えるのが特徴です。


よって正解です。




5 遊戯療法では,言語によって自分の考えや感情を十分に表現するに至らないクライエントを対象にして実施され,主に音楽を表現の手段とする。




精神分析療法は,自由連想法という手法を使って抑圧されていたものを開きます。


遊戯療法は,言葉をうまく使えない子どもなどに対して,行われます。


遊びを通して無意識に表現されるものは,抑圧されたものだととらえます。


表現の手段は,音楽ではなく遊びです。

よって×



さらっと流して解説しましたが,実際に自分で問題を読んだ時には,簡単ではないはずです。



なぜなら今日のテーマ「頻出のものはどんどんひねって出題される」ようになるからです。



これは,心理学理論に限りません。法制度も同じです。



なお,逆に初めて出題される時は,本当にさらっとしか出題されません。



そういう意味では,「目を通しておいてください」というのもまんざら間違いではないかもしれません。


頻出のものは誰もが知っているので


二度三度と出題されていくうちに,ひねり出します。


だから頻出のものが多く混ざった問題は,そんなに簡単ではないのです。




問題をたくさん解いてみれば,その意味はよくわかるはずでしょう。



因みに今年の試験委員は,この科目を長く担当されていた方から変わっています。


その委員の方は,心理療法の専門家でした。



その影響で,心理療法に関する出題の作り方がちょっと変わるだろうと予測しています。



そのため,これまでとひねり方が変わると思われるので,心理療法については,丸暗記ではなく,しっかりその本筋を覚えておきたいです。


もちろん本筋を覚える必要性は,心理療法に限ったことではありません。



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