2017年8月24日木曜日

解けなくても良い問題は点数調整! 解けなくても合格できる!! 

社会福祉士の合格基準点・・・

6割程度,つまり90点程度です。


それ以上になってはだめだということはありませんが,90点程度になるように試験問題は作られます。


試験委員は問題を作りますが,最終的にどの問題を出題するのかを決めるのは試験委員ではなく,試験センターの職員です。


どのような難易度のものをどのくらいのバランスで組み合わせるか,ここが試験センターの腕の見せ所です。


①誰もが解ける問題

②勉強した人が解ける問題

③誰もが解けない問題


③の部分が今日のテーマです。


誰もが解けない問題は,解けなくても良いです。


先述のように,解けないために出題されていると言えるからです。


試験センターから見ると,誰もが解けない問題だったはずなのに,簡単に解けたらだめなのです。


さて,それでは今日の問題です。



25回・問題17 


1970年代以降の都市のあり方に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 先進国の都市では人口や雇用の減少,財政の危機などによって都市の衰退力が問題となり,それまでの都市化現象から過剰都市化現象への移行が注目されている。


2 資本や情報の国際的移動を結節するグローバル都市では,そのグローバルな活動を担う管理職・専門職が増加し,低賃金移民労働者が減少する。


3 持続可能な社会を目指す視点から都市のあり方が問い直されており,都市形態の側面からは,中心市街地の活性化を図るコンパクトシティが提起されている。


4 脱工業化社会の到来を契機に登場してきたテクノポリス構想では,都市の発展は固有の文化や住民の創造性によってもたらされると説いている。


5 都市住民の生活が高度な情報科学技術に条件づけられている情報都市では,空間の制約を受けない社会関係が発達し,次第に都市間のヒエラルヒーが消滅する。



なんのこっちゃ,と言う感じの問題ですね。


25回の国試問題を改めてこのように見てみると,難しさが際立ちます。


それでも,問題文の中には,ヒントもあります。


それでは,詳しく見ていきましょう。



1 先進国の都市では人口や雇用の減少,財政の危機などによって都市の衰退力が問題となり,それまでの都市化現象から過剰都市化現象への移行が注目されている。



過剰都市化現象という用語は聞いたことがないかもしれません。


こんなものを見せられたら,今までの勉強は何だったのだろうか,と無力感にさいなまれるかもしれません。


結果的に分かりますが,この問題は解けなくても良いのです。


過剰都市化現象は,主に発展途上国で発生する,都市の急激な人口増加現象を言います。


過剰都市化現象の意味は分からなくても,過剰という言葉のイメージにはプラスのものはないので,それが注目されるというということはなさそうです。

過剰な人口の集中は生活環境の悪化をもたらします。

よって×。



2 資本や情報の国際的移動を結節するグローバル都市では,そのグローバルな活動を担う管理職・専門職が増加し,低賃金移民労働者が減少する。



グローバル都市は,資本や情報を結節(リンケージ=つなげるの意)だけではなく,そこにも集約されていきます。


資本や情報が集約されていけば,そこに人も集まります。


集まるのは管理職・専門職だけではないです。


低賃金の移民労働者も仕事を求めて集まってきます。


よって×。




3 持続可能な社会を目指す視点から都市のあり方が問い直されており,都市形態の側面からは,中心市街地の活性化を図るコンパクトシティが提起されている。



コンパクトシティもなんのこっちゃ,という感じですね。


答えは,これが正解です。

でもこんなのを知っている人は,本当に少なかったと思います。


そのため,これを正解にできた人は本当に一握りの人だったと思います。


正解選択肢に難しすぎるものを配置した問題は,得点できる率が下がりますが,この問題は消去法も使えず,その点でも極めて難易度が高い問題になっています。


コンパクトシティは,今は参考書などに載っているので,分かる人は多いと思います。


人口減少によって,すき間(歯が抜けたような状態)が生じた空間を集約することで,高齢者も車に頼らずとも生活できるようにすることを目指したものです。



4 脱工業化社会の到来を契機に登場してきたテクノポリス構想では,都市の発展は固有の文化や住民の創造性によってもたらされると説いている。


テクノポリス構想もなんのこっちゃ,という感じですね。


テクノポリス構想は,高度技術集積都市の計画です。

お金がかかります。

固有の分野や住民の創造性で出来上がるのは,難しそうですね。


産官民で作られるものです。


よって×。



5 都市住民の生活が高度な情報科学技術に条件づけられている情報都市では,空間の制約を受けない社会関係が発達し,次第に都市間のヒエラルヒーが消滅する。



ヒエラルヒーとは,階層のことです。




情報が自由にやり取りできる科学技術が進展すると,距離は縮まることでしょう。


しかし「どこでもドア」でもない限りは,人が自由に行き来することはできません。


都市の階層,つまり都市部と地方の格差は残ります。


よって×。


一つひとつを丁寧に解説してきましたが,最初に述べたように,このような問題は,解けなくても良い問題です。



<今日の一言>


解けなくても良い問題で,戦意を喪失することがないようにしなければなりません。

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