今日から再び「社会理論と社会システム」に入ります。
この科目は,頻出のものは本当に少ないです。
第3回以降に広げても3回以上出題されているものは,本当に本当に少ないです。
つまり・・・
参考書をしっかり覚えても,国試に出題されるのはそのうちのほんのわずか!
しかし,その逆に・・・
知識がなくても,点数が取れる科目!
この科目の特徴は,現代に起きている問題を取り上げていることです。
多くの人は,ウェーバーやパーソンズなどの名前にとらわれていると思いますが,覚えても覚えなくてもわずか1・2点の差です。
それよりも日常の生活で見聞きしたものの知識を有効に活用した方が得点は伸ばせます。
もちろん社会理論という科目なので,社会理論はある程度は学ばなくてはならないと思いますが,経験豊富な社会人の方がこの科目は有利だと言えます。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題15
現代社会における人々の働き方に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 成果主義とは,終身雇用制のもとで,長期間にわたるその人の会社への貢献を多方面から幹部が判断し,賃金や昇進の処遇に反映させる仕組みのことである。
2 非典型雇用とは,労使協定に基づいて,仕事の進め方や時間配分について労働者に任され,みなし労働時間をもって働いたものとする専門職の働き方のことである。
3 フリーターとは,学校に通うことや職業訓練を受けることもなく,雇用機会を得られずに家事手伝いに従事する低年齢の若者層のことである。
4 ワーク・ライフ・バランスとは,男性・女性共に,仕事と家事,出産・育児や介護などとの両立を図って,多様な働き方・生き方を目指そうとする考え方のことである。
5 均等処遇とは,職業労働の影に隠れて見えにくい家事労働を正当に評価して,家族生活の安定に向けて性別役割分業の適切な改善を目指すことである。
この中で,過去に出題されたことがあるものは,フリーターとワーク・ライフ・バランスだけです。
その他のものはすべて一見さんです。
正解が比較的分かりやすい問題の中に配置される一見さんは,間違い選択肢となることが多い傾向があります。
特にこの科目ではそうです。
それでは詳しく見て行きましょう。
1 成果主義とは,終身雇用制のもとで,長期間にわたるその人の会社への貢献を多方面から幹部が判断し,賃金や昇進の処遇に反映させる仕組みのことである。
成果主義は,外国,特にアメリカでよく使われます。
成果を上げた人は多くの報酬を得ます。
成果を上げられなくなると,すぐ解雇となります。
終身雇用制のもとでは行われません。
よって×。
2 非典型雇用とは,労使協定に基づいて,仕事の進め方や時間配分について労働者に任され,みなし労働時間をもって働いたものとする専門職の働き方のことである。
非典型雇用は,今は少しずつ一般化してきていますが,まだまだ知られていないかもしれません。
正規雇用が典型雇用であり,パートなどの非正規雇用が非典型雇用を指します。
よって×。
典型雇用・非典型雇用の言葉はいつ頃できた言葉かはわかりませんが,古そうですね。
3 フリーターとは,学校に通うことや職業訓練を受けることもなく,雇用機会を得られずに家事手伝いに従事する低年齢の若者層のことである。
フリーターというのは,いつ頃から一般化されたのでしょうか。
もともとはフリーアルバイターと言っていたものがいつの間にかフリーターという言葉に変わっていました。
アルバイトはドイツ語なのでフリーアルバイターという言葉はないのですが,さらにフリーターとなるのは面白いですね。
フリーターはこれで分かるように,アルバイトで生活費を稼いでいる人のことですね。
よって×。
4 ワーク・ライフ・バランスとは,男性・女性共に,仕事と家事,出産・育児や介護などとの両立を図って,多様な働き方・生き方を目指そうとする考え方のことである。
ワーク・ライフ・バランスは,「仕事と生活の調和」意味します。
2007年に国が「ワーク・ライフ・バランス憲章」を制定したところから広がっていきました。
これは正解ですね。
5 均等処遇とは,職業労働の影に隠れて見えにくい家事労働を正当に評価して,家族生活の安定に向けて性別役割分業の適切な改善を目指すことである。
均等処遇は,今は下火になってしまいましたが,民主党政権だった時に,目指したものです。
具体的には,雇用形態が違っても,同じ仕事なら同じ報酬が得られるというものです。
よって×。
考え方は分かりますが,実際に実現するとなると,その壁は高そうですね。
<今日の一言>
社会理論は,人生の中で見聞きしたものが生きる科目です。
必要以上に苦手とせず,覚えられる範囲で覚えて,それ以上は,経験と知恵で乗り切りましょう。
そうすれば,得点は必ず伸びます。