今年度の国試は,2/4(日)に実施されます。
国試まであと6か月を切りました
今までは,時間がありましたので,学習計画をしっかり立てなくてもよかったですが,これからはそうはいかないです。
再来年受験される方に,特によく覚えておいてほしいことは,
時間があるときは,勉強の選択肢はたくさんあります。
じっくり自分に合った勉強法を見つけ出すことができることでしょう。
しかし,時間の経過とともにその選択肢がどんどん少なくなっていきます。
10月から勉強しても合格できるよ
チームfukufuku21にとって有難くないアドバイスです。
10月から勉強しても合格はできます。
実際にそのようなアドバイスをするのですから,間違いではない情報だと思います。
しかし,そこには,どのような勉強をしたのか,どのくらいの時間をかけたのか,という視点が抜けています。
一日4時間ではだめ,一日5時間が必要,なんて落とし穴が待っているかもしれません。
来年の試験で確実に合格するつもりなら,8月にどれだけ自力をつけられるか,にかかっていると言えます。
これから勉強を本格始動する方は,特にしっかり学習計画を立てていただきたいと思います。
全過程を10とカウントすると,
インプット6:アウトプット4の割合が理想です。
既に勉強を進めている方は,その分量が逆になってもよいと思います。
インプットを終えてからアウトプットするという進め方をする方は,11月までインプット。12・1月がアウトプットということになります。
インプット・アウトプットを交互に組み合わせる方は,6:4くらいのバランスがよいです。
60分だったとしたら,インプット40分,アウトプット20分というバランスになるでしょう。
60分だったとしたら,インプット40分,アウトプット20分というバランスになるでしょう。
このような勉強法が取れるのは,
8月までにスタートを切った人だけです。
9月以降に勉強を始める方は,
どこかを端折っていくことを余儀なくされます。
そこでアウトプットが端折られることが多くなると思いますが,それは間違った勉強法です。
端折るとすれば,インプットです。
なぜなら,アウトプットに時間をかけて問題を解く力を上げれば,知識不足はカバーできる可能性があるからです。イ
ンプットに時間をかけると,知識がつきますが,言い回しを変えられたら対応不可になり,思考停止に追い込まれる恐れが高くなります。
端折らないように済み,バランスよく勉強できるためには,最低6か月が必要です。
今から本格スタートすれば,かなりの確率で合格できますが,遅くなればなるほど厳しくなるのがわかることでしょう。
今日から最後の科目「更生保護制度」に入ります。
それでは,まず出題基準を見ましょう。
更生保護制度 |
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大項目 | 中項目 | 小項目(例示) |
1 更生保護制度の概要 | 1)制度の概要 | 意義、歴史、更生保護法制 |
刑事司法・少年司法と更生保護 | ||
その他 | ||
2)保護観察 | 目的、方法、対象、内容、運用状況 | |
その他 | ||
3)生活環境の調整 | 目的、機能、手続き、関係機関との連携 | |
その他 | ||
4)仮釈放等 | 仮釈放と仮退院、意義、許可基準、手続き | |
その他 | ||
5)更生緊急保護 | 目的、対象、期間、内容、手続き | |
その他 |
||
2 更生保護制度の担い手 | 1)保護観察官 | 役割、任用と配属 |
その他 | ||
2)保護司 | 使命、役割、身分、組織 | |
その他 | ||
3)更生保護施設 | 運営主体、役割 | |
その他 | ||
4)民間協力者 | 更生保護女性会、BBS会、協力雇用主 | |
その他 |
||
3 更生保護制度における関係機関・団体との連携 | 1)刑事司法・少年司法関係機関との連携 | 裁判所、検察庁、矯正施設との連携 |
その他 | ||
2)就労支援機関・団体との連携 | 保護観察所、矯正施設、公共職業安定所、協力雇用主 | |
その他 | ||
3)福祉機関・団体との連携 | 福祉事務所、児童相談所 | |
その他 | ||
4)その他の民間団体との連携 | 日本司法支援センター(法テラス)、自助グループ、被害者支援団体 | |
その他 |
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4 医療観察制度の概要 | 1)制度の概要 | 目的、導入の経緯、対象者、処遇の流れ、保護観察所の役割 |
その他 | ||
2)審判の手続きと処遇内容 | 精神保健審判員、精神保健参与員、生活環境の調査、生活環境の調整、精神保健観察 | |
その他 | ||
3)社会復帰調整官 | 役割、任用と配属 | |
その他 | ||
4)関係機関・団体との連携 |
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5 更生保護における近年の動向と課題 | 1)近年の動向と課題 | 刑務所出所者等総合的就労支援対策、各種処遇プログラムの導入、高齢者・障害者等の社会復帰・再犯防止施策、更生保護のあり方を考える有識者会議等 |
その他 |
基本的に,この科目は,更生保護法と医療観察法しかありません。
しかし多くの人にとってなじみのない領域だと思います。
最後の科目ですし,なじみがないので,あまり勉強時間をかけない人が多いと思いますが,しっかり勉強すれば4問中3点,あるいは4点満点を取ることが可能な科目です。
更生保護制度をおろそかにするのはもったいです。
こういうところをしっかり押さえるか,最初のほうの,心理学理論と心理的支援や社会理論と社会システムに時間をかけすぎてこの科目に時間を割くことができないのか,が大きく差がつくポイントです。
理論系科目よりも法制度が中心の科目の方が点数が取りやすいことを忘れてはなりません。
さて,それでは今日の問題です。
第26回・問題147
更生保護法における保護観察に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより, 再犯を防ぎ,非行をなくすことである。
2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。
3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。
4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。
5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。
保護観察は,更生保護の中心です。
必ず出題されます。
しかも覚えるべきポイントは限られます。
参考書,過去問を使えば,しっかり押さえられます。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより, 再犯を防ぎ,非行をなくすことである。
この科目がカリキュラムに加わったのは,現行カリキュラムからです。
つまり第22回からです。
当初は,保護観察の目的は,繰り返し出題されていました。
繰り返し出題されると間違い選択肢にだんだんひねりが加えられていきます。
第26回では久しぶりに正解選択肢として出題されました。
よって正しいです。
そのまま覚えましょう。
2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。
仮釈放の許否を決定するのは裁判所ではなく地方更生保護委員会です。
保護観察官は置かれていますが,保護観察は行いません。
保護観察を行うのは,保護観察所です。
よって×。
3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。
保護観察には,設問のように「指導監督」と「補導援護」があります。
指導監督の中には,誰もが守らなければならない「一般遵守事項」と必要に応じて設定される「特別遵守事項」があります。
特別遵守事項には,「専門的処遇プログラム」があります。
現在は,「覚せい剤事犯者処遇プログラム」「飲酒運転防止プログラム」などが実施されています。
元・プロ野球選手の清原和博さんは薬物使用で有罪判決を受けました。
保護観察がつかない懲役刑(執行猶予あり)判決でした。
清原さんの今後の人生を考えると,保護観察になっていれば「覚せい剤事犯者処遇プログラム」を受けられたので,生活行動を変える大きなチャンスになっていたかもしれません。
保護観察なしでも立ち直ってくれるという裁判所の期待があったものと思いますが,薬物は再犯率が高いことから専門的処遇プログラムが実施されていることを考えると,保護観察つきの方が清原さんにとっては良かったのではないかと思われてなりません。
しかし,チームfukufuku21も清原さんには,保護観察なしでもちゃんと立ち直ってくれることを期待しています。
問題に戻ります。
指導監督ともう一つには福祉的な「補導援護」があります。
これはさらに個別対応が求められるので,法で具体的に定めるような性格のものではありません。もちろん具体的に定められていません。
よって×。
4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。
この問題は何度も同じスタイルで出題されています。
保護観察官と保護司は協働して保護観察を行うものであり,役割分担はありません。
よって×。
5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。
これはかなり難しい問題です。
というか間違い選択肢のためのものです。
選択肢1が確実に答えだ,と分かる問題なので,まったく知らなくても構いません。
ただし,今後はこの出題を足掛かりにして,出題される可能性があるので,しっかり覚えておきましょう。
正しくは,命じることができる,ではなく「指導,助言その他の適当な措置をとることができる」とされています。
よって×。