2017年8月26日土曜日

国家試験に合格できる勉強方法とは?

私たちチームfukufuku21のメンバーの多くが受験資格を得た学校は,社会福祉士の国家試験に関する情報をたくさん提供してくれています。

しかも思いっ切り情報を絞り込んでいます。


しかし,受験の時は,過去問を見ても模擬試験を解いても知らない言葉や名前が出てくるのでとても不安でした。


今は・・・なぜ情報を絞り込んでいるのか,その意味がよく分かります。



このブログを読んでくれている人もその意味がよく分かるのではないでしょうか。


覚えなければならないものは,実はそんなに多くはない!!



めったに出題されないものは,間違い選択肢に配置され,何年か後の国家試験に出題されるのをもひっそりと待ちます。




初めて出題されるものが正解選択肢になるとしたら,他の選択肢は消去法が使えるもの。


あるいは,



ほとんどの選択肢が初めてのもので構成されているもの。


後者は,点数調整のための問題ですから,それは取れなくても良い問題です。



社会福祉士の国家試験を実施しているのは,厚生労働省の指定を受けている

社会福祉振興・試験センター

という団体です。

社会福祉士と介護福祉士の資格が制度化されて早30年が経ちます。


その間に実施された国家試験に出題された内容は膨大なものです。


試験センターは,これまでに受験生の回答傾向に関する膨大な情報を蓄積してきています。


私たち,チームfukufuku21は,実施された国家試験の問題を分析することで,試験センターがどのような意図で問題を作っているのかを考えていきたいと思っています。


そんな目で模擬試験を実施している団体の問題を見てみると,国試のロジックを考慮しないで作成されているものもあることが分かります。



それはさておき,今日の問題です。



第25回・問題19 


社会的行為やその働きに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。




1 ヴェーバー(WeberM.)は,行為を行為者にとっての主観的意味から4つの類型に分け,そのなかで目的合理的行為や価値合理的行為に着目して近代の合理性を論じた。



2 ミード(MeadG.)は,自我のなかでImeが行う対話に着目し,その過程で社会性を有する動的な自我が成立してくるとして,鏡に映った自我という考え方を論じた。


3 マルクス(MarxK.)は,労働を重視しつつも,それが生む剰余価値は私有財産制のもとでは生産手段を有する資本家の正当な取り分であるという考え方を提示した。


4 ゴッフマン(GoffmanE.)は,人々の微細な自己呈示の背後にもドラマのような社会の台本があり,その台本に縛られる人間像をホモ・ソシオロジクスとして論じた。


5 パーソンズ(ParsonsT.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ・合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。



最もこの科目らしい問題です。



いやだなぁ,と思う人も多いと思います。


しかし,こんな問題は,たった1問です。


の科目でいくつもこんな問題は出題されません。



さて,それではそれぞれの出題回数を見てみましょう。


ヴェーバー(ウェーバー) 13回(出題率48.1%)

ミード 4回(14.8%)

マルクス 7回(25.9%)

ゴッフマン 3回(11.1%)

パーソンズ 9回(33.3%)



ヴェーバーの出題回数は突出しています。


パーソンズも33.3%ですから,この科目ではかなり高い方です。


覚える時に,絶対に外したくないのは,この2人だと言えるでしょう。


特にヴェーバーは,極めて重要です。



それでは,詳しく見て行きましょう。



1 ヴェーバー(WeberM.)は,行為を行為者にとっての主観的意味から4つの類型に分け,そのなかで目的合理的行為や価値合理的行為に着目して近代の合理性を論じた。


ヴェーバーが論じた4つの類型

目的合理的行為

価値合理的行為

伝統的行為

感情的行為


よって正解です。



2 ミード(MeadG.)は,自我のなかでImeが行う対話に着目し,その過程で社会性を有する動的な自我が成立してくるとして,鏡に映った自我という考え方を論じた。



これは,鏡に映った自我は,ミードではなく,クーリーだそうです。


よって×。

クーリーは,このように考え方自体は出題されていますが,その名前が出題されたことは,これまで29回も実施されてきた国試の中では,一度もないというかわいそうな人です。

つまり国試では,重要視されていないことが分かります。ヴェーバー(ウェーバー)とは扱いが全く違うことが分かるでしょう。

クーリーは,覚える優先度が極めて低いと言えます。というか,出題されたことがないわけですから・・・当然ですね。



3 マルクス(MarxK.)は,労働を重視しつつも,それが生む剰余価値は私有財産制のもとでは生産手段を有する資本家の正当な取り分であるという考え方を提示した。



マルクスと言えば資本論です。



学生運動が激しかった60年代の学生は資本論を読んで理論武装したそうです。


マルクスは,これで分かるように共産主義につながっていきます。



そのマルクスが,剰余価値が資本家の正当な取り分であるとは絶対に言わなそうです。



答えとしては,剰余価値は労働者に還元する,というものだそうです。


よって×。

国家試験では,「この人は,こんなことを言うだろうか」と思うような選択肢は,本当にそれは言っていないことがほとんどです。

このことは,近いうちに改めて解説します。



4 ゴッフマン(GoffmanE.)は,人々の微細な自己呈示の背後にもドラマのような社会の台本があり,その台本に縛られる人間像をホモ・ソシオロジクスとして論じた。



ゴッフマンと言えば,役割演技を提唱した人です。


これは行為を遂行しているように演技しているという考え方です。


ホモ・ソシオロジクス(社会学的人間)を提唱したのはダーレンドルフです。


よって×。



ホモ・ソシオロジクスは,社会の中の役割に従った意味のある行動をする人のことです。




5 パーソンズ(ParsonsT.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ・合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。




コミュニケーション的行為を提唱したのは,ハーバマスです。

試験センターの現代社会では頻出です。


社福の国家試験では,今年出題されたばかりですね。

お互いに理解し合うようにコミュニケーションする,というものです。


まさしく,話せば分かる,グローバリゼーションの時代であっても,対話が重要であるということです。


よって×。


逆機能は,マートンです。




国家試験の問題の組み合わせ



①誰もが解ける問題

②勉強した人が解ける問題

③誰もが解けない問題


この問題では,最もよく出題されているものが正解の選択肢となっています。



つまり,②勉強をしっかりした人が解ける問題です。



前回の問題は,③誰もが解けない問題 です。



②勉強した人が解ける問題,も十分難しい問題が,勉強した人は分かる選択肢を中心にして構成されているのが,現在の国家試験の姿です。


現在の国家試験は,しっかり勉強した人なら解ける問題を中心に出題している!


知らない外国人の名前・理論・制度が出題された場合の多くは,間違い選択肢に配置されます。

それを正解選択肢に配置した問題は,③誰もが解けない問題のレベルになります。

国家試験に臨む気持ちとして,「これだけ勉強したのだから,自分が知らないものは,誰もが解けない問題だ」と思える割り切りが大切です。



国家試験に合格する勉強方法は? 

国試当日にそのように少しでも思えることである。



そう一人でも多くの人が合格をつかめることができるように,私たちチームfukufuku21は,決して色あせることのない情報を発信していきたいと思っています。








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