2024年6月16日日曜日

動向に関する問題は,当たったらラッキー程度です!!

国家試験では,社会の動向や〇〇報告のようなものが出題されます。

どんなに勉強していても,それらのほとんどは初めて見るものです。


しかも勘が効かないものも多くあります。


そのような問題では,分かる問題は確実に消去することが何よりも大切です。


確率論で言えば・・・


1つ選ぶ問題の場合( )は正解を選ぶ率


1つも消去できなかった ⇒ 20%

1つ消去できた ⇒ 25%

2つ消去できた ⇒ 33%

3つ消去出来た ⇒ 50%


となります。


一つでも多く消去できれば,正解できる確率が高まります。

よく「2つまで絞れたけれど,選んだのはことごとく間違いだった」という話を聞きます。


確率論で言えば,2つまで絞り込むことができたら


正解を選ぶ確率 50%

不正解を選ぶ確率 50%


どちらも同じです。


それにもかかわらず先述のような声が聞かれるのは,間違ったことの方が記憶に残りやすいためです。もし本当に,不正解の方を選ぶのであれば,それはそれですごい能力かと思います。


国家試験の合格基準は,6割程度です。

すべて2つまで絞り込むことができれば,確率的には5割取れます。


実際には答えがわかる問題もあるので,2つまで絞り込むことができれば,限りなく合格基準に近づきます。


確実に答えを選び出せなくても,消去する選択肢が1つでも2つでも多くなると合格に近づきます。


難しい問題であっても,消去できる選択肢があれば,正解できる確率が上がります。


今日の問題はいかにもそな問題です。


第25回・問題26

我が国の若年者の生活の現状と政策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高卒者の新規採用については,1980年代までに,「実績関係」と呼ばれる企業と学校との連携が確立し,その後も関係が強化されてきたため,現在は高卒無業者問題は解消している。

2 OECDの報告によると,高等教育への公財政支出の対GDP比は,OECD諸国の平均を下回り,国公立大学の平均授業料についても高いグループに属する。

3 近年の若年者非正規雇用比率の高さは,実際には女性の非正規雇用比率の高さに規定されているものであり,「平成19年就業構造基本調査」(総務省)によると,20歳~24歳での男性の正規雇用比率は80%を超えている。

4 若年者内部での経済格差は,正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間での結婚意欲の差異としても現れ,「第13回出生動向基本調査」(平成17年,国立社会保障人口問題研究所)によると,特に女性において顕著な差異が観察された。

5 いわゆるニートなどの若者の職業的自立を支援するための拠点として,政府は「地域若者サポートステーション事業」を実施し,この事業による就職等進路決定者を2020年までに100万人にする目標を掲げている。


これらも今は参考書に載っているかもしれません。

しかし再びこれらが出題される可能性は限りなく低いです。


これらを覚える意味は,社会構造を想像して,別の問題が出題された時に備えるというものです。


その訓練であることを頭に入れながら,取り組むことが大切です。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 高卒者の新規採用については,1980年代までに,「実績関係」と呼ばれる企業と学校との連携が確立し,その後も関係が強化されてきたため,現在は高卒無業者問題は解消している。


「実績関係」というのは分からなくても,問題が解消された,という言い切り表現は間違いが多いので消去できるでしょう。


もちろん×です。


実績関係とは,ここの学校から何人採用するといった関係のことです。


バブル期までは大学進学がそれほど多くはなかったので,この関係は続いて来ましたが,現在は高校で就職する人はそんなに多くはないので,強化ではなく弱くなっています。


それに加えて,卒業しても仕事もしないいわゆるニートもいます。


2 OECDの報告によると,高等教育への公財政支出の対GDP比は,OECD諸国の平均を下回り,国公立大学の平均授業料についても高いグループに属する。


これはまったく分かりません。


ぜんぜんわからないので,とりあえず▲をつけておきます。


3 近年の若年者非正規雇用比率の高さは,実際には女性の非正規雇用比率の高さに規定されているものであり,「平成19年就業構造基本調査」(総務省)によると,20歳~24歳での男性の正規雇用比率は80%を超えている。


女性の非正規雇用は全年齢で約半数です。

そこから考えると80%は多すぎる感じがします。


実際には近年でも約60%です。


令和4年調査

https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf


よって×。


4 若年者内部での経済格差は,正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間での結婚意欲の差異としても現れ,「第13回出生動向基本調査」(平成17年,国立社会保障人口問題研究所)によると,特に女性において顕著な差異が観察された。


これは女性よりも男性の方が顕著な差が出てきそうな感じがすると思います。


男性は稼ぐものという固定観念があるからです。


そこから考えると×です。


現時点の最新調査は,第16回(2021年)ですが,これと同様の質問はなかったようです。

第16回調査

https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ReportALL.pdf


5 いわゆるニートなどの若者の職業的自立を支援するための拠点として,政府は「地域若者サポートステーション事業」を実施し,この事業による就職等進路決定者を2020年までに100万人にする目標を掲げている。



これは分かりません。


▲をつけておきます。



選択肢1,3,4の3つが消去出来ました。



正解を選ぶ確率は50%です。



この手の問題にしては,3つ消去できたのは,とてもラッキーです。


答えは,2が正解。


5が不正解です。


5が不正解なのは,100万人ではなく,20万人だからです。


因みに,合格基準点が150点中72点となった魔の第25回国試でなければ,きっと選択肢5が正解になっていた確率は高かったと思います。


国試は,国の施策を広める効果があるからです。


国試に一度出題すれば,次の年の参考書に載ります。そうすると受験生は勉強します。確実に認知が広がります。


しかし,その時はこれを正解にしなかったのは,第25回という稀有な国試の問題であることと,国立大学の授業料が高いことを問題視している試験委員がいたこと(これは想像)だと思われます。


<今日の一言>


一つでも多く,消去できれば,正解できる確率が高まる!

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