民生委員法が規定している民生委員は,地域福祉の担い手の中でも重要な職種です。
しっかり押さえておきましょう。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題35
民生委員・児童委員に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 子育てサロン活動を普及させていくため,民生委員・児童委員がその活動の立ち上げや運営に携わることが法的に義務づけられている。
2 児童福祉法に定められる児童委員に関しては別途推薦の要件があるため,民生委員と兼務できないことがある。
3 民生委員は,その職務を遂行するに当たり,個人の人格を尊重し,その身上に関する秘密を守り,差別的又は優先的な取扱いをすることなく,実情に即して合理的にこれを行わなければならないとされている。
4 民生委員は,住民の身近な相談・支援者として,自立支援や福祉サービスの利用援助などを行うことから,行政の補助機関とされている。
5 不登校の生徒に対する民生委員・児童委員の関与は,プライバシー保護の観点から,必要最小限にとどめるべきであるとされている。
民生委員に関する問題は,かなり頻出です。
絶対に押さえておきたいです。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 子育てサロン活動を普及させていくため,民生委員・児童委員がその活動の立ち上げや運営に携わることが法的に義務づけられている。
子育てサロン活動,ふれあい・いきいきサロン活動を行っている市町村社協は多いと思います。
しかし,それらは独自に行っている活動であり,法的根拠があるものではありません。
法域根拠のない子育てサロン活動に関して,その活動にかかわることが法的に義務づけられるわけがありせん。
もちろん×です。
こんな問題を間違えることはないだろうと思う人もいるでしょう。
何が起きるか分からないのが国家試験です。
深みにはまるパターンとして,「こんなこと知らない。勉強不足だった」と思ってしまうことです。
多くの場合は,勉強不足だから知らないのではなく,そのようなことは規定されていないため,つまりは間違い選択肢として無理に作成したため,見たことのないものとなります。
「義務付けられている」といった出題は,かなりの頻度でありますが,もし本当に義務付けられているなら,もっと広く知られているはずです。
ごちゃごちゃ考え込むとろくな結果になりません。
2 児童福祉法に定められる児童委員に関しては別途推薦の要件があるため,民生委員と兼務できないことがある。
民生委員は児童委員を兼ねます。
よって×。
3 民生委員は,その職務を遂行するに当たり,個人の人格を尊重し,その身上に関する秘密を守り,差別的又は優先的な取扱いをすることなく,実情に即して合理的にこれを行わなければならないとされている。
これは,民生委員法に規定されています。
よって正解です。
4 民生委員は,住民の身近な相談・支援者として,自立支援や福祉サービスの利用援助などを行うことから,行政の補助機関とされている。
民生委員が補助機関だったのは,旧・生活保護法までの時代です。
民生委員は現在,協力機関です。
現在の補助機関は社会福祉主事です。
よって×。
5 不登校の生徒に対する民生委員・児童委員の関与は,プライバシー保護の観点から,必要最小限にとどめるべきであるとされている。
必要最低限の関与とは,どのように誰がその範囲を決めるのでしょうか。
プライバシー保護は,いつも必要なことです。
これだと,民生委員,児童委員以外のフォーマルな職種はプライバシー保護ができるが,民生委員,児童委員はプライバシー保護ができない職種だということになってしまいます。
失礼な話ですよね。
もちろん×です。