障害者福祉は,障害者分野になじみのない人にとっては,法制度を覚えるのはとても大変に感じることでしょう。
しかし前回ご紹介したように,他の分野と似た部分もあるので,それらと比較することで覚えやすくなるものもあります。
この分野が難しく感じるのは,覚えなければならない法制度が多いということもあります。
その中の中心は,障害者総合支援法です。しっかり覚えたいです。
さて,今日のテーマは,総合支援法と雇用促進法の就労支援の整理です。
障害者総合支援法の就労支援(福祉的就労)
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・就労定着支援
・就労選択支援(2025年10月~)
障害者雇用促進法の就労支援(一般就労)
・障害者職業センター(職業評価,ジョブコーチなど)
・障害者就業・生活支援センター(就業,生活両面の相談など)
その他(一般就労)
ハローワーク(職業紹介など)
等が中心です。
配置される職員等
障害者職業センター
ジョブコーチ
障害者職業カウンセラー
障害者就業・生活支援センター
就業支援担当者&生活支援担当者
ハローワーク
就職支援ナビゲーター
障害者就労支援チーム
これをもとに,今日の問題です。
第25回・問題59
障害者就労を支援する連携機関,専門職及び事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域の関係機関との連携による障害者就労支援チームは,障害者職業センターが中心となって設置する。
2 公共職業安定所(ハローワーク)は,職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成,研修を行っている。
3 障害者就労支援基盤整備事業は,福祉施設や学校等の関係者に対する,一般雇用についての理解の促進,就労支援に関する理解,ノウハウの向上を図り,障害者の福祉から一般雇用への移行を推進する基盤を整備することを目的とする。
4 障害者職業カウンセラーは,障害者就業・生活支援センターに配置され,就業に関する相談支援等を行う。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,精神障害者及び事業主に対して,主治医等の医療関係者との連携のもと,新規雇入れ,職場復帰,雇用継続等のための支援ニーズに対して,専門的・総合的な援助を行う精神障害者総合雇用支援事業を実施している。
先述の情報だけでは分からないものもあると思います。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 地域の関係機関との連携による障害者就労支援チームは,障害者職業センターが中心となって設置する。
障害者就労支援チームは,ハローワークが中心となって,福祉施設利用者,特別支援学校卒業者等の福祉的就労から一般雇用への移行を図るため、就職に向けた準備から職場定着までの一貫したチーム支援を行っています。
障害者職業センターではないので,×。
2 公共職業安定所(ハローワーク)は,職場適応援助者(ジョブコーチ)の養成,研修を行っている。
ジョブコーチは,地域障害者職業センターです。
よって×。
3 障害者就労支援基盤整備事業は,福祉施設や学校等の関係者に対する,一般雇用についての理解の促進,就労支援に関する理解,ノウハウの向上を図り,障害者の福祉から一般雇用への移行を推進する基盤を整備することを目的とする。
障害者就労支援基盤整備事業だけが分からないと思います。
国は,やっていることを広めたいという気持ちがあります。
よく知られていないものは,国試に出題すると広く知られることになります。
結論をいうと,これが正解です。
しかしこの国試が実施された時点では,知らなかったと思うので▲をつけておきます。
4 障害者職業カウンセラーは,障害者就業・生活支援センターに配置され,就業に関する相談支援等を行う。
障害者職業カウンセラーが配置されているのは,地域障害者職業センターです。
よって×。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は,精神障害者及び事業主に対して,主治医等の医療関係者との連携のもと,新規雇入れ,職場復帰,雇用継続等のための支援ニーズに対して,専門的・総合的な援助を行う精神障害者総合雇用支援事業を実施している。
精神障害者及び事業主に対しての支援を行っているのは,地域障害者職業センターです。
特に事業主支援は地域障害者職業センターの特徴です。
精神障害者総合雇用支援事業も知らないと思いますが,間違いであることを示すポイントを入れ込んでくれています。
ここに気が付かないと引っ掛けられます。
これを消去できた人は,▲をつけていた選択肢3を正解にすることができました。
国家試験の特徴として,「はじめまして問題」を出す時は,誰もが分からないので,次のような処理がされて出題されます。
はじめまして問題を正解選択肢にする場合
ほかの選択肢が間違いだと分かるような頻出のものを出題する。消去法ではじめまして問題が残る。
はじめまして問題を間違い選択肢にする場合
ほかの選択肢の中に頻出のものを出題し,その選択肢を正解にする。
「はじめまして問題」を見るとかなりドキドキしますが,落ち着けばこのルールに従って出題されていることに気が付くことでしょう。
決して怖くないです。