試験時間は限られています。
分からない問題に時間をかけていたら,あっという間に時間は過ぎていきます。
それでは,今日の問題です。
今日の問題は,各国の福祉に関する問題です。
この当時の試験委員長は,古川孝順先生でした。
第19回の国家試験が古川先生が試験委員長になった最初の試験でしたが,古川先生の専門の「社会福祉原論」が難しすぎて,0点になった人が続出したのをよく覚えています。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 スウェーデンでは,1960年代初頭に福祉サービスを体系化した社会サービス法が制定され,それに基づき高齢者福祉や児童福祉のサービスが急速に発展した。
社会サービス法は,何度か出題されています。
1960年代ではなく,1982年です。
よって×。
この法律がもとになり,エーデル改革が進められました。
イギリス 地方自治体社会サービス法(1970)
間違えないように覚えておきましょう。
2 日本では,1960年代のいわゆる国民皆年金の成立を踏まえて,それを補完する形で企業による退職一時金制度の整備が行われ始めた。
退職金は,皆年金になる前から存在しています。
よって×。
この時にADC(クリントンによって廃止されたAFDCの前身)や医療保険などが整備されました。
この時に,メディケア,メディケイド,フード・スタンプ制度,ヘッド・スタート計画なとが成立していきます。
よって正解です。
いつ始まったのかは,多くの人は知らなかったはずです。
これを正解にするのは勇気が必要だったことでしょう。
4 イギリスでは,1970年代まで母子世帯の母親は自らが稼ぎ手役割を果たすことが自立であるとする政策理念のもとに,就労促進策力が展開された。
イギリスと言えば,ブレア政権の時のポジティブウェルフェア政策が有名です。
よって×。
ブレアと時を同じくして,アメリカではクリントンがAFDCを廃止して,TANFを導入しています。
5 ドイツでは,1980年代の失業長期化への対応として,失業保険での失業手当の請求権を有しない者に対してミーンズ・テスト付きでの給付を行う失業扶助制度が導入された。
ドイツの就労支援策はほとんど日本では紹介されていないので,分からない人が多かったことと思います。
失業扶助制度を導入したのは1970年代だそうです。
1980年代は,景気が冷え込み,失業扶助制度が批判されることとなり,給付の引き下げを行うこととなりました。
ドイツでは,イギリスやアメリカよりも先に「福祉から就労へ」の道を開いていたことになります。
<今日の一言>
世界の流れは,
「福祉から就労へ」です。