私たちチームfukufuku21も,受験の時は,過去問を見ても模擬試験を解いても知らない言葉や名前が出てくるのでとても不安でした。
しかし,覚えなければならないものは,実はそんなに多くはない!!
重要なものを覚えていけば,何とかなるのが国家試験です。
不合格の要因は,重要なものでもしっかり覚えていないことです。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題19
社会的行為やその働きに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ヴェーバー(Weber,M.)は,行為を行為者にとっての主観的意味から4つの類型に分け,そのなかで目的合理的行為や価値合理的行為に着目して近代の合理性を論じた。
2 ミード(Mead,G.)は,自我のなかでIとmeが行う対話に着目し,その過程で社会性を有する動的な自我が成立してくるとして,鏡に映った自我という考え方を論じた。
3 マルクス(Marx,K.)は,労働を重視しつつも,それが生む剰余価値は私有財産制のもとでは生産手段を有する資本家の正当な取り分であるという考え方を提示した。
4 ゴッフマン(Goffman,E.)は,人々の微細な自己呈示の背後にもドラマのような社会の台本があり,その台本に縛られる人間像をホモ・ソシオロジクスとして論じた。
5 パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ・合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。
最もこの科目らしい問題です。
いやだなぁ,と思う人も多いと思います。
しかし,こんな問題は,たった1問です。
この科目でいくつもこんな問題は出題されません。
それでは,詳しく見て行きましょう。
1 ヴェーバー(Weber,M.)は,行為を行為者にとっての主観的意味から4つの類型に分け,そのなかで目的合理的行為や価値合理的行為に着目して近代の合理性を論じた。
ヴェーバーが論じた4つの類型
目的合理的行為 | 価値合理的行為 | 伝統的行為 | 感情的行為 |
目的を達成するために行う行為。 | 行動そのものに意味がある行為。結果は重視されない。 | 慣習や習慣によって行う行為。 | 感情によって行う行為。 |
よって正解です。
2 ミード(Mead,G.)は,自我のなかでIとmeが行う対話に着目し,その過程で社会性を有する動的な自我が成立してくるとして,鏡に映った自我という考え方を論じた。
これは,鏡に映った自我は,ミードではなく,クーリーです。
よって×。
3 マルクス(Marx,K.)は,労働を重視しつつも,それが生む剰余価値は私有財産制のもとでは生産手段を有する資本家の正当な取り分であるという考え方を提示した。
マルクスと言えば資本論です。
学生運動が激しかった60年代の学生は資本論を読んで理論武装したそうです。
マルクスは,これで分かるように共産主義につながっていきます。
そのマルクスが,剰余価値が資本家の正当な取り分であるとは絶対に言わなそうです。
答えとしては,剰余価値は労働者に還元する,というものだそうです。
よって×。
国家試験では,「この人は,こんなことを言うだろうか」と思うような選択肢は,本当にそれは言っていないことがほとんどです。
4 ゴッフマン(Goffman,E.)は,人々の微細な自己呈示の背後にもドラマのような社会の台本があり,その台本に縛られる人間像をホモ・ソシオロジクスとして論じた。
ゴッフマンと言えば,役割演技を提唱した人です。
役割演技は,人の行為は,人との関係性の中で,その役割にふさわしいようにふるまうことです。
ホモ・ソシオロジクス(社会学的人間)を提唱したのはダーレンドルフです。
よって×。
ホモ・ソシオロジクスは,社会の中の役割に従った意味のある行動をする人のことです。
5 パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ・合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。
コミュニケーション的行為を提唱したのは,ハーバマスです。
お互いに理解し合うようにコミュニケーションする,というものです。
まさしく,話せば分かる,グローバリゼーションの時代であっても,対話が重要であるということです。
よって×。
逆機能は,マートンです。