2020年6月3日水曜日

感覚・知覚の基礎知識

感覚・知覚は,出題頻度の高いものです。

近年では,第27回,第29回,第31回といったように1年おきに出題されています。

だからと言って,第33回に出題されるかどうかはわかりませんが,確実に覚えておきたいものの一つです。

3年間の過去問では,第31回に出題されたものしか覚えられないので,必ず参考書などに書かれているものを確実に覚えておくようにしましょう。

それでは今日の問題です。


第29回・問題10 感覚・知覚に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 明るい場所から暗い場所に移動すると,目が慣れるのに時間がかかる。これを明順応という。

2 中空にある月より地平線に近い月の方が大きく見える。これは錯視による。

3 コップの飲み口を斜め上から見ても丸く見える。これを大きさの恒常性という。

4 電光掲示板の文字が動いているように見える。これは近接の要因による。

5 風景を眺めていると奥行きを感じる。これは知覚的体制化による。


知識ゼロでは,偶然以外に正解できない問題です。
日本語的には解けないからです。

こういった問題を確実に正解できることが合格につながります。

それでは解説です。

1 明るい場所から暗い場所に移動すると,目が慣れるのに時間がかかる。これを明順応という。

明順応 → 明るさに目が慣れること。
暗順応 → 暗さに目が慣れること。

この場合は,暗いところで,暗さに目が慣れるので,暗順応です。

明順応は,朝起きて,カーテンを開けるとまぶしくて目を開けていられませんが,そのうち目が慣れてまぶしさを感じなくなります。トンネルから出たときも同じです。

暗順応は,映画館に入ったときは暗くて中の様子が見えないですが,そのうち目が慣れてくると中の様子が見えるようになります。トンネルの中に入ったときも同じです。


2 中空にある月より地平線に近い月の方が大きく見える。これは錯視による。

これが正解です。

錯視とは,現実とは違っているように見えることを言います。

社会福祉士の国試ではなく,精神保健福祉士の国試では,錯視と幻視を混同させるような出題があります。

錯視は,現実と異なるように見えること。
例えば,直線が曲がって見える,直線の長さが異なって見える,円の大きさが異なって見える,などです。

それに対して,幻視は,本来はないものが見えることです。
本当は存在していない虫が見えるなどです。

夜にカーテンが揺れているのを幽霊に見えるのは錯視です。
何もないところに幽霊が見えるのが幻視です。


3 コップの飲み口を斜め上から見ても丸く見える。これを大きさの恒常性という。

知覚の恒常性には,形の恒常性と大きさの恒常性があります。
大きさの恒常性は,大きさが異なって見えても同じものだと知覚することをいいます。
形の恒常性は,形が異なっていても,同じものだと知覚することをいいます。

この場合は,コップの飲み口は斜めから見ると本当は,楕円に見えています。
しかし,円だと知覚しているので,形の恒常性です。


4 電光掲示板の文字が動いているように見える。これは近接の要因による。

電光掲示板の文字は,本来は止まっていますが,それが連続するために,動いて見えます。
そういった知覚は「仮現運動」といいます。

たとえば,youtubeの映像は,動いて見えますが,本当は,静止画を1秒間に15コマや30コマなどで連続して流しています。
性能が低いPCで高画質の映像を再生しようとするとカクカクして見えるのは,静止画を処理しきれなくなるためです。

近接とは,隣り合っているものが規則的に並んでいることによって,まとまりがあるように見えることをいいます。


5 風景を眺めていると奥行きを感じる。これは知覚的体制化による。

奥行きを感じるのは,奥行き認知といいます。

知覚的体制化は,本来は意味のないものを意味のあるように知覚することをいいます。

たとえば,〇が三つあった場合,目が2つ,口が1つに見えて,顔が隠れているように認知するです。


<今日の一言>

感覚・知覚は,覚えにくいものの一つかもしれません。

だから出題頻度が高いのかもしれません。

しっかり勉強した人とそうでない人の差が明確に表れるからです。

勉強のコツは,今日の問題の解説にも書いていますが,具体的にはどのようなものなのだろうと具体的に考えることです。

心理学や社会学は,多くの情報があります。

もしどうしても思い当たらなければ,ネットで調べても良いでしょう。

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