2020年6月27日土曜日
白書・報告書などの問題の解き方
試験対策等の担当の先生は,「〇〇白書に目を通しておきましょう」と言います。
確かに「厚生労働白書」は出題頻度が高いです。
ほぼ毎回使われています。
しかし,分厚い白書に目を通しても出題されるのは,たったの1問です。
同じ勉強時間を使うなら,別なものに使ったほうが良いと考えています。
目を通したくらいで覚えられるものではないからです。
大学で勉強したときに目を通したことがあるなら,それで十分でしょう。
国試勉強としてもう一度読むのは,非効率的だと思いませんか?
それよりも日常生活で福祉に関する情報に敏感になった方がより実力アップできると思います。
そのためには,国試でどのような問題が出題されるのかを知っておかなければなりません。
最初に過去問を解くのはナンセンス
という人がいます。
正解する,という意味ならナンセンスかもしれません。
しかし,まずは敵を知ること,というつもりで問題を読むと,日常の感性は必ず上がります。
新聞やニュースなどで,それまでスルーしていたものが耳に残るようになります。
さて,それでは今日の問題です。
第29回・問題31 「平成24年版働く女性の実情」(厚生労働省)に示された家族を介護する者の仕事と介護の両立の状況と課題に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 雇用者総数に占める介護をしている者の年齢階級別割合は,「45~49歳」が最も高い。
2 介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人の割合は,男性より女性の方が高い。
3 仕事と介護の両立のために勤務先に希望する支援として,「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」と「残業をなくす・減らす仕組み」の割合が高い。
4 介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人の割合は,5割を超えている。
5 家族の介護等を理由とする離職者数は,男性が女性より多い。
このような問題は,もともと勉強していないのですから,考えても無駄です。
解答テクニックを活用して,消去できるものは消去して,残りの中から,それっぽいものを選ぶのが適切です。
この問題で,消去できそうなものは,
2 介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人の割合は,男性より女性の方が高い。
5 家族の介護等を理由とする離職者数は,男性が女性より多い。
着目ポイントは「より」です。
「AよりB」が正しいものを「BよりA」に変えれば,それっぽく間違い選択肢を作ることができるからです。
しかし,試験委員は,これを逆手にとって,「より」を使っても正解にすることをしますので,単純に「よりは間違い」と考えるのはやめましょう。
次に消去できそうなのは,
4 介護をしている雇用者のうち介護休業を取得した人の割合は,5割を超えている。
着目ポイントは「5割」です。
具体的な数字は,数字を入れ替えることでそれっぽく問題をつくることができます。
残るは
1 雇用者総数に占める介護をしている者の年齢階級別割合は,「45~49歳」が最も高い。
3 仕事と介護の両立のために勤務先に希望する支援として,「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」と「残業をなくす・減らす仕組み」の割合が高い。
選択肢1は「45~49歳」と具体的な数字が入っているので,間違いっぽいと考えることができますが,ここで日常的な知識を活用したした方が確実です。
今は晩婚化しているので,40歳でも子どもを産むことはそれほど珍しいことではないかもしれません。
しかし,もっと前の時代なら,30歳前に第一子を生むことが多かったように思います。
これは事実でなくてもよいです。
自分の知っていることをフル活用して,考えるヒントにします。
さて,30歳前に子どもを産んだとしたら,その子どもが45~49歳になったときの親は,まだ70歳です。
要介護状態になるリスクが高いのは,一般的に考えると,70歳代よりも80歳代でしょう。
そう考えると,残るのは
3 仕事と介護の両立のために勤務先に希望する支援として,「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」と「残業をなくす・減らす仕組み」の割合が高い。
これが正解です。
<今日の一言>
今日の問題のタイプは,国試勉強で学んだ知識では,正解するのは難しいです。
それでも,合格する人は,こういった問題でも正解します。
不合格になる人はやっぱり間違います。
この違いは,決して焦ることなく,落ち着いて考えることができるか,焦って上滑りして,混乱の中で問題を解くのか,だと考えています。
ただし,こういったタイプの問題は,正解できなくても合否にはかかわらないので,大胆に推測して,次の問題に進んだ方が良いです。
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