「現代社会と福祉」は,はっきり言うと,かなり得点するのが難しい科目です。
覚える内容もさることながら,普通の人は勉強しない内容が出題されるからです。
現時点での直近の国家試験である第32回では以下のように出題されています。
問題22
|
社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
|
問題23
|
「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題24
|
1950年代から1970年代にかけての社会福祉の理論に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題25
|
「1973年(昭和48年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。ベヴァリッジ報告」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題26
|
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題27
|
国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題28
|
社会福祉法の改正(2016年(平成28年))において明記された,社会福祉法人の「地域における公益的な取組」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
問題29
|
文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017年(平成29年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
|
問題30
|
社会保障審議会福祉部会に設置された福祉人材確保専門委員会の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(2018年(平成30年))に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
|
赤字で示した問題は,報告書などのトピック的なものです。
第32回では,実に半分がこのタイプの問題となっています。
受験生にとっては,あんなに勉強したのに,勉強しないものが出題されている,と勉強不足を実感する問題だと言えるでしょう。
しかし,それは多くの受験生も同じこと。条件は同じです。
辛い気持ちを抱きながらも冷静に問題を読むと,実は正解できそうな問題も含まれます。
こういった問題は,問題慣れしている人が圧倒的に有利です。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題30 「子供の貧困対策に関する大綱」(2014年(平成26年)8月関議決定)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 貧困の状況にある子供の体験活動を推進する自治体に,「子どもゆめ基金」から助成することとした。
2 ひとり親家庭に,生活支援と就業支援を組み合わせた支援メニューをワンストップで提供できるよう,就業支援専門員の配置など必要な支援を行うこととした。
3 低所得世帯の学校給食費を一律に無料化した。
4 生活困窮世帯の子供を対象に実施される学習支援事業を生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業に統合することとした。
5 両親が離婚した子供の養育費相当額を自治体が負担することとした。
こんな問題の内容を必死に覚えても,おそらく二度と出題されることはないでしょう。
重要なことは,問題慣れすることです。
国試は,単に知識を求めているわけではありません。
知識があっても知恵のない社会福祉士は,現場では使い物になりません。
社会福祉士は,多くの場面は,自分で考えて判断していることでしょう。
ソーシャルワークの途中で,人の判断を仰ぐことは通常しません。というかできません。
国家試験もそういった自分で考え国試は,単に知識を求めているわけではありません。
知識があっても知恵のない社会福祉士は,現場では使い物になりません。
社会福祉士は,多くの場面は,自分で考えて判断していることでしょう。
ソーシャルワークの途中で,人の判断を仰ぐことは通常しません。というかできません。
国家試験もそういった自分で考え行動できる社会福祉士を養成するための問題を出題します。
ただし,必ずしも解けなくても,今までの勉強で覚えてきた問題を確実に正解していくことで,ボーダーラインは超えることができます。
ただし,必ずしも解けなくても,今までの勉強で覚えてきた問題を確実に正解していくことで,ボーダーラインは超えることができます。
さて,今日の問題の正解は,
2 ひとり親家庭に,生活支援と就業支援を組み合わせた支援メニューをワンストップで提供できるよう,就業支援専門員の配置など必要な支援を行うこととした。
これが正解ですが,ほかの選択肢を消去することで,この選択肢が残るように作られた問題です。
それでは,ほかの選択肢を消去していきたいと思います。
1 貧困の状況にある子供の体験活動を推進する自治体に,「子どもゆめ基金」から助成することとした。
「子どもゆめ基金」を聞いたことがあった人はそれほど多くはなかったことでしょう。
しかし,貧困とゆめというのがつながらないように思えませんか?
こういった違和感の要因は,正しくないからです。
3 低所得世帯の学校給食費を一律に無料化した。
「一律に」は多くの場合は,正解になりません。
もし本当にこの選択肢が正解であったなら
低所得世帯の学校給食費を無料化した。
でよいはずです。
「一律に」をつけることで,本当は一律ではないだろうと推測することができます。
4 生活困窮世帯の子供を対象に実施される学習支援事業を生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業に統合することとした。
一見,正しそうに思います。
こういった場合は,冷静に△をつけて,次の選択肢を読みます。
5 両親が離婚した子供の養育費相当額を自治体が負担することとした。
死別なら何となくわかるように思いますが,離婚によって養育費が自治体が負担するほど,自治体はお人よしではありません。
さて,残った選択肢は以下の2つです。
2 ひとり親家庭に,生活支援と就業支援を組み合わせた支援メニューをワンストップで提供できるよう,就業支援専門員の配置など必要な支援を行うこととした。
4 生活困窮世帯の子供を対象に実施される学習支援事業を生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業に統合することとした。
どちらが,「子供の貧困対策に関する大綱」の内容にふさわしいかを考えます。
そう考えると,新しい施策について打ち出す方がふさわしいと思えてきます。
ということで,選択肢4を消去します。
<今日の一言>
今日の問題では,選択肢を3つまで消去することができました。
つまり2つまで絞り込めた状態です。
正解できる確率は,2分の1です。
勉強していない問題で2分の1の確率で正解できるなら御の字だと思います。
この問題で正解する確率を高めるためのポイントは,「大綱に含まれる内容としてふさわしいものは何か」を考えることでした。
こういったポイントは,問題それぞれによって異なります。
限られた時間の中で,そういったことを自分で考えて答えを出すためには,問題慣れすることが何よりも大切だと考えています。
ただし,こういった問題で正解できなくても,合格できます。
国家試験は,そのようにつくられます。
みんなが正解できる問題が多くなれば,第30回のように,いわゆるボーダーラインが上がっていまうからです。