「心理学理論と心理的支援」は,出題ポイントがほぼ決まっているので,しっかり勉強すれば,必ず得点を稼ぐ科目になります。
毎年,必ず出題されるものとして「心理療法」があります。
第29回では,なんと2問も出題されています。
今回は,心理療法のうち,系統的脱感作法を紹介します。
系統的脱感作法は,学習理論を活用した行動療法の一つです。
提示された刺激に慣れていく「レスポンデント条件づけ」を応用したものです。
不安を感じるものに対して,最初は弱い刺激から触れて,最後は不安を感じるそのものにふれていきます。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題13 系統的脱感作法の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分や周囲に対して過度に否定的で,挫折感に浸っている不安やうつなどの気分障害のクライエントに対して,考え方や感じ方を肯定的な方向に変化させていく。
2 受動的注意集中状態下で,四肢の重感,四肢の温感,心臓調整,呼吸調整,腹部温感,額部涼感を順に得ることで,心身の状態は緊張から弛緩へ切り替えられる。
3 「すべての人に愛されねばならない」という非合理的な信念を,「すべての人に愛されるにこしたことはない」という合理的な信念に修正していく。
4 観察者はお手本(モデル)となる他者の行動を観察することで,新しい行動を獲得したり,既存の行動パターンを修正する。
5 クライエントは,個別に作成された不安階層表を基に,リラックスした状態下で不安の誘発度の最も低い剌激から徐々に刺激が増やされ,段階的に不安を克服していく。
勉強不足の人は,5分の1以上の確率で正解するのはとても難しい問題だと思います。
しかし,心理療法は必ず出題されることがわかっているので,確実に覚えておきたいです。
それでは解説です。
1 自分や周囲に対して過度に否定的で,挫折感に浸っている不安やうつなどの気分障害のクライエントに対して,考え方や感じ方を肯定的な方向に変化させていく。
これは,認知行動療法です。
2 受動的注意集中状態下で,四肢の重感,四肢の温感,心臓調整,呼吸調整,腹部温感,額部涼感を順に得ることで,心身の状態は緊張から弛緩へ切り替えられる。
これは,自律訓練法です。
3 「すべての人に愛されねばならない」という非合理的な信念を,「すべての人に愛されるにこしたことはない」という合理的な信念に修正していく。
これは,論理療法です。
4 観察者はお手本(モデル)となる他者の行動を観察することで,新しい行動を獲得したり,既存の行動パターンを修正する。
これは,学習理論の観察学習です。
5 クライエントは,個別に作成された不安階層表を基に,リラックスした状態下で不安の誘発度の最も低い剌激から徐々に刺激が増やされ,段階的に不安を克服していく。
これが系統的脱感作法です。