今回は,心理学のうち,記憶の種類について学んでみたいと思います。
前説なしに今日の問題です。
第29回・問題11 記憶に関する次の記述のうち,エピソード記憶の例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 愛知県の県庁所在地は,名古屋市である。
2 幼少期に習得したピアノの曲を,大人になっても弾くことができる。
3 昨晩,近くのファーストフード店でハンバーグカレーを食べた。
4 「3-2-5-4-1」という5個の数字を聞き,「3-2-5-4-1」と反復する。
5 「12×21」という数字の掛け算を暗算で行う。
記憶の種類はたくさんあるので,覚えにくいかもしれませんが,こういった問題を確実に正解することが合格のために必要です。
それでは解説です。
1 愛知県の県庁所在地は,名古屋市である。
これは「意味記憶」です。
2 幼少期に習得したピアノの曲を,大人になっても弾くことができる。
これは「手続き記憶」です。
3 昨晩,近くのファーストフード店でハンバーグカレーを食べた。
これが「エピソード記憶」です。
4 「3-2-5-4-1」という5個の数字を聞き,「3-2-5-4-1」と反復する。
これはリハーサルです。
5 「12×21」という数字の掛け算を暗算で行う。
これはワーキングメモリ(作動記憶)です。
<今日の一言>
今日の問題の中で,間違えやすいのは,手続き記憶です。
これは,水泳や自転車に乗るなどの体で覚えた記憶のことですが,そこから手続き記憶ということばが推測できないためです。
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